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永遠の謎

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428部分:第二十六話 このうえもない信頼その二十一


第二十六話 このうえもない信頼その二十一

 その統一の為には。何かというと。
「大ドイツ主義のオーストリアを排除する必要があったのだ」
「だからこそオーストリアと戦った」
「そうだったのですね」
「どうだ。あの戦争は数年かかると思っていた」
 それはだ。彼だけが見てはいなかった。
 しかしなのだ。その戦争は八週間で終わった。それは何故かというと。
「事前に準備していたのだ」
「事前にですか」
「準備していましたか」
「既に」
「そうだ。プロイセンは優れた鉄道網がある」
 それがあるのだった。プロイセンの大きな武器である。
「あれを使う兵を即座に動かしてだ」
「そして一気に戦争を終わらせたと」
「兵の迅速かつ大量の移動により」
「その他の物資もだ」
 兵だけで戦争はできない。銃に砲、火薬にだ。そして食糧もだ。
 そうしたものもありだ。ようやく戦えるというのだ。
 それを話してだ。ナポレオン三世は結論を出した。
「オーストリアも多くの兵を持っていたがだ」
「それでも兵を一気に大量にぶつけられはですか」
「敗れるのも当然」
「そうだったのですか」
「そうだ。それでオーストリアを破ったのだ」
 僅か八週間でだ。そうしたというのだ。
「そのうえでオーストリアを排除し小ドイツ主義を確かなものにさせ」
「ドイツの統一を確かなものにした」
「それで終わりではなくですか」
「小ドイツ主義、内は確立された」
 しかしそれで終わりではなかった。というとだった。
「その次は外敵だ」
「ではその外敵はですか」
「我が国だというのですね」
「このフランスだと」
「だからこそですか」
「フランスはドイツにとって不倶戴天の敵だ」
 何故敵かというと。このことは歴史的な事情もあった。
「カペー朝と神聖トーマ帝国の頃からのことだ」
「我々は常にあの国に介入してきた」
「ビスマルクもそれを知っていますか」
「あの男は歴史に学ぶ」
 ビスマルク自身が常に言っていることだ。
「そうしているからだ」
「それでいい」
「そうなのですか」
「そうだ。あの男は歴史から見てもだ」
 そこからドイツとフランスの関係を見ればよくわかることだった。ビスマルクが何故フランスとの戦争まもで望んでいるのか。それがだ。
「我が国との戦争を望んでいるのだ」
「フランスが介入してくるからですか」
「それを排除する為に」
「その為にですか」
「そうだ。フランソワ一世も」
 ヴァロア朝の王だ。この王も神聖ローマ帝国に常に攻撃を仕掛けていた。
「ルイ十四世もだ」
「そういえばリシュリューもですね」
「三十年戦争の時の」
「常にそうだった」
 ナポレオン三世は自国の立場からだが何故今ビスマルクがフランスとの戦争を望みそこに誘導したのかを言う。彼も今になりわかったことだ。
「それからも。我が叔父上もだ」
「あの方もそうでしたね」
「ドイツに対して」
「積極的に介入された」
 神聖ローマ帝国を解体しオーストリアとプロイセンの力を弱め諸侯に連合を組ませだ。そうして積極的に介入していっていたのだ。
 
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