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永遠の謎

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415部分:第二十六話 このうえもない信頼その八


第二十六話 このうえもない信頼その八

「ですからもうすぐです」
「御待ち下さい」
「わかりました」
 王も兵達の言葉に応えて言う。
 だがどうにも虚ろな声だった。その声でだ。
 王はだ。彼等について話した。
「あの方々は」
「ワーグナー氏ですね」
「そしてビューロー氏」
「ビューロー夫人もまた」
「わかっています」
 信じているのではなかった。その言葉を出さずにだ。
 その言葉でだ。それで話すのである。
「あの方々の潔白が」
「そしてそれをですか」
「ここで聞かれる」
「そうされるのですね」
「潔白は。確かにされなければなりません」
 王は虚ろな目でその真実を見ながら話した。
「ですから」
「あの方々は潔白ですか」
「そうなのですか」
「そうです。潔白です」
 また言うのだった。彼等は潔白だと。
「後はそれを公にするだけです」
「陛下」
 ここで、だった。王の前にだ。
 侍従の一人が来てだ。そのうえでだった。
 王に対して端整な仕草で一礼してからだ。こう述べたのだった。
「ワーグナー氏が来られました」
「三人共ですね」
「はい、来られました」
 そうだとだ。王に対して告げたのである。
「ではこちらに」
「はい。案内して下さい」
 すぐにこう述べる王だった。
「この部屋に」
「それでは」
 こうしてだった。その侍従は再び一礼してからだ。
 そのうえでだ。彼等を王の前に案内した。その彼等を見てだ。
 近衛兵達は表情には出さなかった。だがその仮面の裏でだ。
 顔を顰めさせてだ。こう囁き合うのだった。
「目がだな」
「ああ。泳いでいる」
「陛下をまともに見ようとしていないではないか」
「あれでは」
 すぐにだ。わかることだった。
「誰でもわかるではないか」
「嘘だ」
「彼等はこれから嘘を吐く」
「間違いなくだ」
 それがわかるというのだ。
「あの三人は嘘を吐く」
「既に目でそれを言っている」
「陛下を謀ってでもか」
「自分達の保身を考えるおつもりか」
「あくまで護ろうとされる方の御好意を逆手に取り」
「そうするおつもりか」
 そのことにだ。彼等は。
 非常に厄介なものを感じてだ。それでだった。
 三人を見ていた。三人は近衛兵や侍従達の軽蔑と嫌悪の、目から放たれる矢をその全身に浴びていた。だがそれでもであった。
 王に対してだ。恭しく一礼してだった。こう言ったのである。
「陛下、昨今の噂ですが」
「あのことですが」
 こうだ。堰を切った様に口々に主張する。
「全て根も葉もないことです」
「誹謗中傷に過ぎません」
 そうだというのだ。
 
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