永遠の謎
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408部分:第二十六話 このうえもない信頼その一
第二十六話 このうえもない信頼その一
第二十六話 このうえもない信頼
王はだ。決意してだ。周りの者達に告げた。
「彼等をです」
「王宮にですね」
「呼ばれ、そしてですか」
「そのうえで」
「はい、話を聞きます」
そうするとだ。決めたというのだ。
「そうすることにしました」
「わかりました。それではです」
「早速あの三人を呼びましょう」
「まずはワーグナー氏」
最初に名前を挙げられたのは彼だった。
「そしてビューロー氏」
「最後にビューロー夫人」
「この方々をですね」
「呼びます」
そうすると。王は周りに告げた。
「そうしますので」
「わかりました」
こうしてだ。周りは王の言葉に頷くのだった。
しかしだった。王の前を退いてからだ。彼等は暗い顔で話すのだった。
「しかし。これは」
「そうですね。これはです」
「厄介な話です」
「あの三人は陛下に真実を話すことはないでしょう」
「決して」
このことをだ。彼等は確信していたのだ。
「そんなことをする筈がありません」
「信じるを話すことは彼等にとって破滅です」
「それで何故真実を話すのか」
「例え陛下をたばかっても」
彼等の庇護者である。王を騙してもだというのだ。
「このことを隠すでしょう」
「例え何があっても」
「真実は語られません」
「彼等の口からは」
そうなるとだ。確信している彼等だった。
そしてだ。彼等はワーグナー達についてこうも話すのだった。
「ワーグナー氏はそもそもが山師です」
「非常に信用できない御仁です」
「借金を重ねそれを踏み倒してきました」
「先々で女性問題を起こしてもいます」
「人種的な発言も気になります」
彼の反ユダヤ主義はだ。宮廷においても疑問視されていたのだ。
「そうした方を置けばです」
「必ず問題になります」
「それでよいのかどうか」
「甚だ疑問ですね」
「全くです」
「ましてやその言葉は」
信用できない。それに尽きた。
「陛下をたばかってもその名誉を守られるでしょう」
「彼の全てを」
こうだ。彼等は見ていた。
そして次は。ビューローについて話すのだった。
「そもそも師匠に妻を奪われるなぞ聞いたことがありません」
「逆でも眉を顰めさせますが」
「彼は弟子です」
「弟子が師匠に奪われる」
「それをさせる御仁というのも」
ビューローの夫としての器についても疑問が言われるのだった。
「まずありません」
「情けない話ですね」
「本当に」
こう話される。
「そうした御仁が今更名誉を守ろうとされても」
「誰も信じません」
「信じる方がおかしいです」
「そんな者はこの国にはいません」
「いえ、何処にもです」
いないというのだ。ビューローの名誉を信じる者は。
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