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麗しのヴァンパイア

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第八十三話

               第八十三話  吸血鬼の朝
 カーミラも朝を迎えていた、吸血鬼もまた家に帰ったが彼女の帰宅の方法は人間とはまた違っていた。
「霧になって動けば」
「はい、蝙蝠や狼になるよりもです」
「素早く動けますね」
「あらゆる壁も窓も越えられますし」
「便利なものです」
「早く帰りたい時はこれに限るわ」
 朝日を観つつ周りにいる自身の使い魔達に述べた。
「まことに」
「はい、我々は瞬間移動で戻りましたが」
「移動の魔術で」
「霧もまたよしですね」
「素早く動けますね」
「ええ、それでだけれど」 
 朝日を観るだけでなく浴びもした。カーミラは日光を浴びても何ともない。だがやはり彼女が好きなのは夜であり月なのだ。
 それ故にだ、使い魔達にこうも言ったのだった。
「少し休むにしろ」
「今はですね」
「朝になりましたので」
「お食事の時間ですね」
「赤ワインをお願いするわ」
 朝食にこれをと言うのだった。
「そしてパンもね」
「そちらもですね」
「朝食に」
「それと無花果もお願いするわ」
 この果物もというのだ。
「パンに付けるものは苺のジャムを」
「わかりました」
「ではすぐに用意します」
「用意が出来次第お伝えします」
「お願いするわ、あと言い忘れていたけれどチーズもお願いするわ」
 こちらもというのだ。
「日本のプロセスチーズをね」
「あのチーズですか」
「近頃ご主人様あのチーズをお気に入りですか」
「今朝もですか」
「妙な美味しさがあるわ」
 日本のそのチーズにはというのだ。
「だから頂くわ」
「わかりました」
「ではです」
「チーズはそちらをお出しします」
「お願いするわ、ワインは一本でね」
 その本数も注文した。
「足りなければまたお願いするわ」
「では」
 使い魔達も応えた、そうして主の為に朝食を用意した。カーミラは朝食を待つ間も好きではないが朝日を観ていた。


第八十三話   完


                  2018・8・29 
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