| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ

作者:エギナ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

08.イベントに盛り上がる者達の観察日記(?)
HAPPY HALLOWEEN!!
  琴葉と涼花のDEADレース! ⑥

 
前書き
最後は涼花視点です!! 

 
「よいしょ……!」

 さっきのは見なかったことにして、私と琴葉お姉ちゃんで前方に現れた大きな扉を押し開ける。
 すると、その向こうには―――


「せーのお!!」

「「「「「Trick or Treat!!」」」」」


 白猫の幹部さん達と、黒猫の皆、そしてパパとママが、それぞれ可愛く、又は格好良く仮装した姿と、綺麗な屋外のパーティー会場だった!

「ふぇっ!? 私、御菓子持ってな……」
「ふふ、いいのよ、涼花。そのドレス、すっごく可愛いわ。だから涼花も、早く言わなきゃ」
「あ!」

 笑顔で振り返ると、其処には呆れた様な顔をしつつも、若干嬉しそうな琴葉お姉ちゃんが。

「Trick or Treat!! 琴葉お姉ちゃん」

 キュラルさんとグレースさんがお腹を抱えて笑い出す。ママとパパも優しく笑ってる。

 琴葉お姉ちゃんは目を閉じて指をパチンと鳴らす。
 すると、琴葉お姉ちゃんの手の中に鎌が現れ………………鎌!? それに不思議な、否不気味な半分に割れた仮面に、如何にも中二病っぽいフード付きのローブが生成される。

 その後ろに…………カボチャを被った白い布。


 御菓子を持ったお化け。


「お前等、死神からのプレゼントだからなあ!!」


 ドヤ顔をしながら言う琴葉お姉ちゃんは、顔がしっかりとくりぬいてあるカボチャを二つ持ち―――


「「ぶふぉっ」」


 キュラルさんとグレースさんの顔面に投げ付けた。


  ◇◆◇◆◇


「いやぁ、にしても、ヤッパリ琴葉は最高だねぇ!! 流石僕のお嫁さん!」
「あらぁ、フランさぁん? 酔っ払っていらっしゃるのぉ? 誰かぁ、此の方を海に運んで下さるぅ?」
「あははぁ、じょーだんがキツいよぉ、琴葉。でもぉ………君に酔っ払っちゃたのは確かだよぉ?」
「まぁ! 嬉しいわぁ」
「「あはははは/ふふふふふ」」

「…………なんだアレ?」
「まぁ、ドンマイだな葉月。彼が酔っ払ったお前の妹と、其の上司だ」
「あー。分かっては居るんだけどな。涙も頑張れよ、あんな上司の下で」
「葉月も頑張れよ」

「姐さん、酔うとあんなんになるんですねぇ」
「もう、"死んで死神になった吸血鬼"って設定がどっか行っちゃってるよね」
「あ、姐さんの衣装は其れがテーマ。宙チャンは? 涙クンに見せるために、彼の頭ヤバい上司かっこ姐さんかっことじに衣装頼んだんでしょ?」
「うん。紗耶香ちゃんは柳瀬さんにお願いしたんだよね? 凜くんに見せるために」
「…………姐さんのこと、ツッコまないのか。ってか、改めて言われると恥ずかしいんだけど」

「ママ、出張じゃ無かったの?」
「ふふ、涼花の為に、急いでやって、抜け出してきちゃった!」
「其れで良いのか?」
「琴葉ちゃんはしょっちゅうでしょ?」
「ふふっ、ママ大好き~!」
「あ、涼花。パパは?」
「も~! パパも大好きだよっ!」

「アアアアア、漸くカボチャ落とせたアアアアア…………」
「何でカボチャ投げるんですかね…………」
「カボチャの仕返しは? ラルくん」
「何ですか、"グレースくん"って呼べば良いんですか? …………仕返しは投げ返せば済むのでは?」
「うーん………んなことしたら、次は鎌でスパッと逝っちゃうよ?」
「まぁ、そしたら一足先に次の世界に行けますけどね」

 皆、お化けと一緒にパーティーを楽しんでるようだ。
 …………って、あれ? 机の影に女の子が居る。

 ―――何か私に伝えてる?

「…………」

 黒い髪をした、同い年くらいの女の子。でも、良く見れば毛先が白い………って、傷だらけ!

「ママ、パパ。一寸ジュースとってくるね!」

 ママとパパの傍を離れ、其の女の子に近寄ってみる。

「ねぇ、大丈夫?」
「………だい……じょ、ぶ…………ありが、と」
「名前は? 私は柳瀬涼花だよ」
「なま、え…………?」

 女の子はそう呟くと、俯いていた顔を上げ、パッと笑顔になった。





「わたしは、ことは! くろはな、ことは!!」





 …………………………………………え?


「くろはな…………ことはって!」
「んむぅ? 呼んだぁ?」

 顔を上げてみると、其処には誰にも居なかった。
 ただ、急に後ろから抱き上げられて何があった!? ともがいていると、持ち上げたのが琴葉お姉ちゃんだと言う事に気付き、謝る。

「涼花ちゃん、どぉかしたぁ?」
「あ、琴葉ちゃん! 涼花に手を出さないでよ?」
「わぁってます、わぁってますてば」

 琴葉お姉ちゃんは私を地面に下ろすと、上機嫌で建物の中に入っていった。





 にしても、さっきのはなんだったのかな――――――





 
 

 
後書き
 死んだ人間が行くところは私には分からない。
 だって、死んだことがないから。
 地獄かも知れない。星になるのかも知れない。
 けど、私に待っているのは―――

 …………楽しかったね!
 …………セット作りとか頑張った甲斐があったわ-。
 …………また来年も違うこと仕掛けてやりますから、来年も来て下さいね。
 …………琴葉ちゃん、御開にするよー! 下りてきてー!!

 皆が私を呼ぶ声がする。
 不意に後ろから誰かに押された感覚がした。
 次の瞬間、辺りに悲鳴が響き渡った。

 Trick or Treat。

 あは、漸く言えた。
 其れじゃ、また次の世界で待ってるよ。ね?

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧