レーヴァティン
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第七十七話 八丈島その十
一行は山の頂上に向けて進んでいった、だが少し進むと蛇に似た身体に翼と鳥の頭と足がある魔物が出た。
その魔物を見てだ、英雄はすぐに言った。
「いつまでか」
「そうですね」
謙二もその魔物を見て言った。
「あの妖怪は」
「いるとは聞いていたが」
それでもとも言う英雄だった。
「この目で観たのはな」
「はじめてですね」
「そうだ、本当にだ」
「珍しい魔物ですね」
「空を飛ぶ蛇みたいだな」
その姿はというのだ。
「文字通り、しかしな」
「それでもですね」
「出て来たならばだ」
「そして襲い掛かって来るのなら」
「倒すまでだ」
天羽々斬をい抜いてだ、英雄はこうも言った。
「それならな」
「左様ですね」
「ではだ」
「これより」
「来れば倒す」
そのいつまでをというのだ。
「これからな」
「それでは」
「いつまではです」
今度は良太が言ってきた。
「中程度の術を使い敵はです」
「その術で攻撃してくるか」
「それだけでなくです」
「まだ何かあるのか」
「延々と攻撃してきます」
「しつこいのか」
「そもそも名前がです」
いつまでのその名前についても話した。
「以津摩天と書きますが」
「いつまでんか」
「何時まで、です」
そうなるというのだ。
「本来は人が弔われないと出て来て」
「何時まで放っておくのかとか」
「言ってくる魔物でして」
「それでか」
「はい、敵を攻撃するにも」
「しつこいか」
「逃げてもしつこくです」
何時まで、何時までという位にというのだ。
「とかくです」
「追い掛けてくるのか」
「それはまさに空を飛ぶ蛇です」
そう言っていいものだというのだ。
「むしろ蛇ですらです」
「そこまでしつこくはないのか」
「牛鬼も執念深いといいますが」
「一旦狙った獲物は逃さないというな」
「はい、それこそ丘に上がって家に逃れても」
「その家までだな」
「追い掛けてきますが」
このことは彼等が起きている世界でもそうだと言われている、つまり牛鬼は倒すしか逃れる方法がないのだ。
「いつまでもです」
「牛鬼と同じだけか」
「執念深い魔物です」
「随分な奴だな」
「ですから襲い掛かってきたならば」
「その時はだな」
「倒すことです」
それしかないというのだ。
「追いかけられてもお嫌ですね」
「鬱陶しい」
これが英雄の返事だった。
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