転生とらぶる
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機動戦士ガンダム
2217話
檻に閉じ込められた子供達は、上は10代半ばから下は5歳くらいまでの子供と様々だった。
一応檻はある程度の広さがあり、立ち上がったりも出来るようにはなっていたが、それでも檻は檻だ。
……せめてもの救いは、子供達の顔色が悪くないし、ガリガリに痩せていたりもしていないという事か。
つまりそれは、しっかりと子供達に食事は与えられていたという事を意味している。
それは別に子供達の為を思っての事ではなく、単純にニュータイプ研究の被験者として体調不良になられれば困るからだろうが。
実際、ルリとラピスが持ってきたデータの中には、その辺りについて書かれている物もあったが。
ともあれ、俺はこの研究所の被験者達を見て、口を開く。
「まず最初に」
そこまで言った瞬間、部屋中にいた被験者達が怯えるのが分かった。
いきなり壁を壊して姿を現したんだから、怯えるなという方が無理だろうが。
それでも先程まで泣いていた声が聞こえないのは……驚きすぎて泣くに泣けなくなっている、というのが正しいのか。
「この壁を破壊して入ってきたのを見れば分かる通り、俺はこの研究所の人間じゃない」
その言葉に、俺を見る視線の中にあった怯えが若干柔らぐ。
……この研究所の人間ではないと言っただけでこの有様なのを考えると、この被験者達がどんな扱いを受けていたのか、考えるまでもないだろう。
「そして、俺はお前達に危害を加えるような真似もしない。寧ろ、お前達を助けようと思っている。その証拠に、これから檻を壊す。けど、いいか。今はこの研究所を俺の仲間達が制圧しようとしているから、あまり騒がないようにな。研究者やら警備兵やらがここの様子を見に来る可能性もあるし」
一応そう言うが、スライムで壁を壊した音を聞いても誰も来ないのを思えば、そんな心配をする必要は基本的にはないと思う。
それでもこう言ったのは、泣き喚かれるような事になれば、面倒だと判断した為だ。
本当に俺の言葉を信じたのか、それとも単純にここを出られるのであればどうでもいいと思ったのか。その辺りの理由までは分からないが、ともあれ被験者達は俺の言葉に素直に頷き、黙り込む。
それを確認し、再びスライムを空間倉庫から呼び出し……次の瞬間、部屋の中にあった檻は、その全てが綺麗に切断さる。
『あ』
何人かからそんな声が聞こえてくるが、それでも檻がなくなったことにより、恐る恐るといった様子で檻の残骸から出てくる。
まだ触れてないからなのか、不思議な事にこの被験者達の近くにいても、特に被験者達は何かを感じている様子はない。
「ほら、取りあえず全員出てこい。いつまでもこのままって訳にはいかないだろ」
その言葉に、まだ檻から出るのを躊躇っていた何人かが、こっちに出てくる。
にしても……さて、これからどうするべきだろうな。
俺が迂闊に触れると、どんな事になるのかは分からないし。
セイラのように妙な空間に行くのならまだしも、アムロみたいにトラウマを抱えられたりしたらちょっと洒落にならない。
そう考えると、やはりここは誰か専門の者を呼んだ方がいいだろう。
ただ、その前にやっておくべき事があった。
「なぁ、この研究所の被験者は、お前達で全員か? それとも、他にも何人かいるのか?」
被験者のうち、一番年下の5歳くらいに見えるような子供は、そもそも被験者という言葉の意味が分からなかったのか首を傾げていたが、10代半ばの一番年上と思われる少女は、俺の言葉に頷く。
「……いるとは聞いてるけど、私達は会った事がないので分かりません」
一応、といった感じでそれ以外の者もいるのか聞いたが、返ってきたのは自分は会った事がないという言葉。
「分かった。それで、その連中がどこいるのか……会った事はなくても、予想も出来ないか? ここから近いなら、助けに行くけど」
「分からない。ただ、ちょっと前にここの研究者の人達が慌ててたけど」
ちょっと前。
その言葉が、微妙に嫌な予感を俺に抱かせる。
そのちょっと前というのが、具体的にどれくらい前なのか。
……出来れば、研究所の護衛をしていたMSのパイロットが、その2人でなければいいんだが。
「ちょっと待ってくれ」
そう言い、通信機を使う。
だが……ラルが出る様子はない。
何だ? もしかして、何かトラブルでもあったのか?
そんな疑問を抱き、俺は次にシーマに向かって通信を入れる。
すると、次の瞬間にはすぐにシーマが映像モニタに映し出された。
『何だい、アクセル。こっちはちょっと緊迫してるんだけどね』
「緊迫? 何かあったのか?」
『ああ。サイド6の警備隊のお出ましだよ』
「あー……なるほど。それでラルが通信に出なかったのか」
具体的にどのようなやり取りをしてるのかは分からないが、それでもやり取りをしている最中で通信機に出る訳にはいかないだろう。
『ま、そうなるさね』
「その辺の事情については分かった。それで、向こうの具体的な戦力は? 一応このサイド6は中立という名目である以上、MSを所有していたりとかはしてない筈だけど」
『装甲車や有線ミサイルを積んだ車がいるね』
「……まぁ、結局はそんなものだろうな」
そういう意味では、この研究所を守っていた20機近いMSの方が戦力としては圧倒的だ。
そもそも、ムサイ級ですら格納出来るのが4機なのを考えると、ここにはムサイ級5隻分の戦力があったという事になる。
うん、改めて考えるともの凄い戦力だな。
それだけ、ジオン軍にとってこの研究所の価値は高かったという事なんだろうが。
『それで? こっちはそんな感じだけど、アクセルは何で通信を送ってきたんだい? 何か問題でも?』
「あー、そうだな」
シーマの言葉にどう答えたらいいのか少し迷い、そんな俺を見て被験者の子供達が微妙な表情を浮かべる。
俺に向けられる視線は、見捨てないでといったものが多い。
勿論、俺に対する恐怖が完全に消えたという訳ではないのだろうが……それでも、こうして通信を聞いていれば、本当に俺が敵ではない……少なくてもこの研究所の人間ではないというのは分かったらしい。
「実は隠し扉の中で檻に入れられていた被験者達、それも大体5歳くらいから10代半ばくらいまで、大勢見つけたんだよ」
『へぇ』
俺の言葉を聞いたシーマは、短くそれだけを返す。
ただし、その一言に込められているのは、激しい怒りだ。
もしシーマがこの研究所の研究者を見つければ、半殺しにしてもおかしくはない程の。
……被験者の中でもまだ幼い者達は、そんなシーマの声が聞こえたのか、怯えた表情を見せる。
「落ち着け、取りあえずもう全員助け出したし、子供達がシーマの声を聞いて怖がってるぞ」
『……そうかい。まぁ、その辺の事情に関しては、研究者や職員達に聞けばいいだけだろうしね。今はこれ以上何も言わないでおくよ』
そう告げ、通信越しでも感じられるシーマの怒りは若干収まる。
それでも完全に収まった訳ではなく、ましてやその怒りはうちに秘めただけであって、研究所の研究者や職員に向けられる事になるのだろう。
その事を少し哀れに思いつつ……同時に、自業自得だという思いもあるので、俺からはそれ以上は何も言わず、本題に入る。
「とにかく、俺はこの研究所をもっと調べたいんだが、この子供達を連れて研究所を調べる訳にもいかないだろ。だから、誰かこの子供達を外に連れ出す兵士を送って欲しいんだが」
『そうだね。……3人。3人なら、何とかそっちに回せるけど、大丈夫かい?』
3人と聞かされ、俺は不安そうにこちらを見ている子供達に視線を向ける。
この人数の子供達が好き勝手に動き回るような事があれば、とてもではないが3人では足りないだろう。
だが、ここにいる子供達は全員がこの研究所の被験者で、好き勝手に動くという事は、基本的に考えなくてもいい。
「お前達、これからここに3人の兵士が来る。その兵士に従えば、ここから連れ出して、安全に暮らせる場所まで連れて行ってやるが……それでも構わないか? まずないと思うが、どうしても残りたいって奴はいるか? ああ、当然だが前に住んでいた場所に戻りたいって奴は、少し落ち着いてから送っていってやってもいい。……あまり勧めないけどな」
ここに連れてこられた連中が、元々住んでいた場所に戻るって事になれば、間違いなく怪しまれる。
いや、具体的にどうやってこの人数を集めてきたのかは分からないから、もしかしたら安全なままという可能性も捨て切れはしないが。
だが、俺の言葉に子供達は揃って頷き、俺の指示に従うと態度で示す。
当然の事ではあったが、どうやらここに残りたいと思う奴はいないらしい。
「ここにいる全員が、こっちの要請を引き受けた。こっちに来る3人に大人しく従ってこの研究所から出るらしい」
『そうかい。なら、そっちに向かわせるよ。それで場所は……』
尋ねてくるシーマに、研究所に入ってからここまでの道のりを教えて通信を切る。
影のゲートを使っての転移だと、詳細に説明とかは出来なかったかもしれないが、幸い俺はここまで来るのに歩いてきている。
おかげで、道順を教えるのに困る事はなかった。
問題なのは……やってくるのがシーマの部下という事で、多分、間違いなく強面の奴なんだよな。
そうである以上、この子供達が怖がらなきゃいいんだが。
ともあれ、シーマの部下が急いでこっちに向かっている以上、それが来るまでは俺がここで待つ必要があるか。
「ね、ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
不意に呼ばれ、声のした方を見ると、そこにいたのは10歳くらいの少女。
明らかにこっちを怖がってはいるのだが、それでも話し掛けてきたという事は、相応の理由があるのだろう。
「どうした? 何かあったのか?」
「うん。えっと、その……クスコお姉ちゃんとマリオンお姉ちゃんも助けて欲しいの」
「そのクスコとマリオンって2人は、助けて欲しいって事は、ここにはいないんだよな?」
「うん。お姉ちゃん達、毎日怖い人に連れて行かれるの。今日も……」
その怖い人ってのは、考えるまでもなくこの研究所の研究者だろう。
もしくは、研究者に指示された警備兵か。
その辺りの事情はしっかりとは分からないが、大人がその2人を連れ出しているというのは間違いないのだろう。
問題なのは、現状でその2人を見つける事が出来るかどうか。
いや、その前に聞いておく事が他にもあったか。
「この研究所でお前達みたいな被験者ってのは、どのくらいいる? ここにいるのと、そのクスコとマリオンって2人だけか?」
「えっと……うん。あたしが知ってる限りだと」
そう言って頷くが、子供達にしてみれば全てを知っている訳でもないのだから、本当にここにいるだけとは限らない。
なら、何故聞いたと言われてもおかしくはないが、この子供達が知ってるのであれば、それは確実に他にも被験者がいるという事になる。
それを考えれば、やはりその辺りの事情は聞いておいた方がいいだろう。
……まぁ、実質的には無意味だったのだが。
「そうか。なら、安心しろ。俺の仲間がこの研究所を制圧して、悪い事をしていた奴を捕らえようとしてるからな。そうすれば、クスコとマリオンだったか? その2人も、きちんと助け出すからな」
「……」
その言葉に、少女はじっと俺の方を見て……やがて、小さく頷く。
「うん、分かった」
この少女も、もしかしたらニュータイプとしての素質を持っているのかもしれないな。
とはいえ、こうして近くにいてもセイラやアムロのような時の事はない。
もしかしたら触れればそうなるのかもしれないが、まさかこの状況でセイラやアムロと触れた時のような事になったりするのは、色々と不味いのも事実だ。
そんな風に思っていると、こっちに近づいてくる足音と気配を感じ取る。
一瞬敵かとも思ったのだが、すぐに違うと分かった。
「お前達、安心しろ。迎えが来たぞ」
そう言っても、普通の人間――ニュータイプ研究の被験者だが――であるこの子供達は、俺が何を言ってるのか分からない様子で、首を傾げる。
だが、それから少し経つと、やがて足音が聞こえてきたのだろう。身体を強ばらせたり、怯えたりさせつつも、俺の方に視線を向けていた。
そして……やがて、何度かシーマの部下として見た事のある顔が壁の向こうから姿を現す。
「アクセル、ここか?」
そうして姿を現したシーマの部下を見て……その強面ぶりに、子供達の何人かは悲鳴を上げるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1435
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