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大阪のキジムナー

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第三章

「お魚はね」
「普通ないけれど」
「けれど食べた後のお魚の目が落ちてるとか」
「変よね」
「ええ、どう考えてもね」
 二人でこんなことを話した、魚の目は秋奈が公園のごみ箱に捨てて終わった。だがそれでもだった。
 秋奈は家に帰って浩二にそのことを話すとだ、浩二は秋奈に話した。
「それキジムナーじゃないかな」
「キジムナーって?」
「沖縄にいる妖怪で」
 夫は晩御飯の水餃子を食べつつ妻に話した、それをおかずにしつつ御飯を食べているのはまさに日本の食べ方だ。
「ガジュマルの木に住んでるんだ」
「そのガジュマルの木になの」
「魚の目が好物」
「まさか」
「そのまさかじゃないかな」
 こう妻に言うのだった。
「漁師さんからお魚の目を片目だけ頂戴して食べるらしいんだ」
「そうなのね」
「八条学園にもいたと思うけれど」
「いや、色々妖怪や幽霊の話の多い学校じゃない」
 妻は八条大学に今も勤務しているので述べた。
「何十かは覚えているけれど」
「それでもなの」
「そう、その話はね」
 学園にいるキジムナーの話はというのだ。
「知らなかったわ」
「そうだったんだ」
「ええ、夜行さんとか河童とか鬼とか幽霊とか一杯あって」
「まあ僕も全部知らないけれどね」
 かく言う浩二も八条大学出身だ、しかしその彼も学園の怪談話を全部知っている訳ではなかったりする。
「キジムナーの話は知ってて」
「それで言うのね」
「うん、多分夜にその公園に行って」
「ガジュマルの木の方を見たら」
「いるんじゃないかな、キジムナー」
 その彼等がというのだ。
「家の近所だと思いし食べ終わったら行ってみる?」
「それじゃあね」
 秋奈は夫の言葉に頷いてだ、そうしてだった。
 二人でその公園のガジュマルの木の方に行ってみた、すると木を囲んでだった。
 丸いマリモに似た毛むくじゃらの身体から手足が生えていて目鼻と口もその身体の前にある五十センチ程の妖精の様な者達が賑やかに歌って踊ってで飲んで食べて宴を行っていた。多くの者が小さな目を食べている。 
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