オズのエリカ
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第七幕その四
「ちょっと怖いしね」
「そうね、私だったら食べられるかもね」
「それも一口でね」
「それは遠慮するわ」
エリカはかなりはっきり言いました。
「絶対に」
「そうよね」
「食べるのは好きでも食べられるのは嫌いよ」
「自分がそうなることはね」
「嫌いよ」
こうアンに答えました。
「どうしてもね」
「そうよね、それじゃあね」
「食べられるのは御免よ、鯱だけじゃなくて」
「他のお魚にもなのね」
「どんなものにもね」
「ううん、そう言うけれど」
アンはエリカの今のお話にどうかというお顔になりました、それで彼女にこんなことを言ったのでした。
「それならね」
「何よ」
「貴女昔魔法使いさんの豚食べようって言ったわね」
「本気で食べたかったわ」
「それで騒動も起こしたし」
「そんなこともあったわね」
「あの時のことを思うと」
どうにもというお顔で言うアンでした。
「随分勝手ね」
「駄目かしら」
「ええ、どうかとは思うわ」
「いいじゃない、私は私でね」
「そう思うならなのね」
「はっきり言うわ」
実際にというのです。
「こうしてね」
「やれやれね、けれどね」
「けれど?」
「それが貴女ってことね」
「そうよ、私は私でね」
「勝手でもなの」
「私だからいいって思っているわ」
悪びれずに言うエリカでした、それも全く。
「何も疚しいことなくね」
「やれやれね、けれどね」
「けれど?」
「いや、貴女ね」
どうにもと言うのでした。
「その性格はちょっと女王向きじゃないわね」
「そうかしら」
「そこまで自分勝手だとね、私よりずっとじゃない」
「あんたも我儘っていうの」
「自覚しているわ、それでお父様やお母様にも注意されるし」
「あんたが我儘だと私は何なのよ」
「だから言うのよ、もっとね」
アンはエリカに結構真剣に注意しました。
「我儘勝手は抑えないとね」
「そんなこと考えたことないわよ」
「やれやれね」
「それだと女王には向かないっていうのね」
「そうよ、その性格何とかしなさい」
「そんなつもりはないわ」
これまたはっきりと答えたエリカでした。
「全くね」
「だからそれだとね」
「女王には向かないのね」
「もっとよ」
それこそとです、また言うアンでした。
「オズマ姫みたいにね」
「オズマね」
「グリンダさんもそうだけれど」
「私は私よ」
あくまでという返事でした。
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