レーヴァティン
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第七十六話 ローマに行ってその三
「こうした意味でもね」
「奥が深いこともいい悪いがあるんだね」
「そう、そしてね」
それでとだ、さらに言う双葉だった。
「こっちの世界では普通の人が普通に作ってるから」
「美味しいんだね」
「この通りね」
「よくわかったよ、じゃあね」
「その普通のイギリス料理をね」
「食べるんだね、そういえばね」
淳二はローストビーフを食べつつこうも言った。
「このローストビーフってね」
「どうしたの?」
「いや、生卵の黄身とね」
これと、というのだ。
「それをといで上にかけるとね」
「美味しいの」
「そうなんだよね」
「じゃあやってみるか」
久志は淳二のその言葉を聞いてすぐに応えた。
「その食い方な」
「やってみるんだね、実際に」
「そこにソースもだよな」
「そう、それもね」
こちらも欠かせないとだ、淳二は久志に答えた、
「忘れないでね」
「いいな、ローストビーフはそのままでも美味いけれどな」
「卵も合わせるとね」
その黄身とだ。
「余計にいいんだよね」
「別に白身入ってもいいよな」
「うん、といだらね」
そうして完全に混ぜればというのだ。
「別にいいと思うよ」
「それは何よりだな、黄身だけ味わって白身だけ棄てるとかな」
「勿体ないっていうんだね」
「逆もな、俺としてはな」
「避けたいんだね」
「俺的にはな、黄身だけ白身だけってな」
久志としてはというのだ。
「抵抗があるからな」
「だからだね」
「ああ、それは避けてな」
そうしてというのだ。
「といでそうしてな」
「ローストビーフにかけて」
「食おうか。そういえばハンバーグもそうした食い方あるよな」
「ハンバーグの上に目玉焼き乗せるあれだね」
「あれも美味いんだよな」
ハンバーグの食べ方の定番の一つにもなっている、元々はハンバーグも卵も好物であったビスマルクが考えた食べ方であったという。
「それと一緒か」
「お肉と卵の組み合わせもね」
「いいからな」
「だからだね」
「それで食ってみるか」
久志はこう言って実際にその食べ方をしてみた、そうしてその食べ方に笑顔になってさらにその食べ方でローストビーフを食べていった。
その食事が終わってからだ、久志は一行に言った。
「よし、飯も食ったし準備万端整ったし」
「ではですね」
「ローマに戻るか」
順一に応えて述べたのだった。
「そうするか」
「そうして遂に」
「ああ、旗揚げだな」
「遂にこの時が来ましたね」
「ここまで随分とかかったな」
久志はこの世界に来てからのことを思い出した、英雄と出会い彼とも旅をして彼と別れ今の仲間達を集めるまで実に色々なことがあった。
それでだ、今もこう言うのだった。
「こっちの世界で何年もかかったしな」
「そうですね、ですが」
「こうしたものか」
「何もかもまずは仕込みです」
「仕込みに時間をかけるものか」
「はい、ですから」
それ故にというのだ。
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