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レーヴァティン

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第七十六話 ローマに行ってその一

               第七十六話  ローマに行って
 十二人全員揃いそうしてだった、双葉は一行と共にローマに向かうことになった。それでローマに発つ準備をしてだった。
 それが整ってから双葉は仲間達を大イギリス料理が美味い店に向かった、その店の料理を口にしてだった。
 芳直は唸ってだ、こう言った。
「美味いな」
「そうでしょ」
 双葉はその芳直に笑って応えた。
「この料理のお店は」
「フィッシュアンドチップスもローストビーフもな」
「ビーフシチューも美味しいのよ」
「鰻のゼリーも魚のパイもな」
 魚はニシンである。
「どれも美味いな」
「このお店のお料理はね」
「美味いんだな」
「そう、けれどね」
 それでもとだ、こう返した双葉だった。
「この世界のロンドンだから」
「俺っち達の世界のロンドンだとか」
「まずね」
 それこそと言うのだった。
「こんな美味しくはね」
「ないよな」
「そう、あっちの世界のロンドンだとね」
「こんな美味いものはか」
「あのハンバーガーのチェーン店だけよ」
「いや、あれアメリカだろ」
 芳直は双葉に即座に返した。
「ハンバーガーだしな」
「実際にあの国はね」
「ロンドン意外もか」
「旅行に行った時に絶望したわ」
 そうして料理を味わってというのだ。
「これはないってね」
「あそこは本当にまずいからな」
「世界帝国を築いても」
 大英帝国、日の沈まぬ国と言われたこの国をだ。
「食文化はね」
「発達しなかったんだな」
「オランダも凄いけれど」
「イギリスもか」
「もう世界に知れ渡っていて」
 自分達が起きた世界ではとだ、双葉はさらに話した。
「それで期待する人もいないけれど」
「逆にどれだけまずいか話題になってるな」
「そんなところよ」
「それそのロンドンとかは」
「こっちのロンドンは違うから」 
 それでというのだ。
「安心してね」
「この通りか」
「美味しいのよ」
「あっちのロンドンは何だ」 
 正がここで彼等の起きている時の世界のロンドンの話をした。
「要するに料理作る人が駄目か」
「そうでしょうね」
 双葉は正にもあっさりとした口調で答えた。
「だから普通の人が普通に作ったら」
「美味いんだな」
「普通にね」
「そんなイギリス人の料理の腕は酷いか」
「料理番組いきなり烏賊は何と食べられるからはじまって」
 双葉は今度はイギリスの料理番組のことを話した。
「こんなものでしょって適当に切って」
「烏賊をか」
「調味料は目分量でどばっとで」
「どばっとか」
「入れて何もかもがね」
「適当か」
「アメリカの料理番組は普通だけれど」
 最近ようやく料理について言われなくなりだしたこの国のそれとは違ってというのだ、イギリスのそれは。
「イギリスのはね」
「そんな感じで作ってるのか」
「ギャグじゃないわよ」
 双葉は真顔でこのことを断った。
「シリアスでね」
「そんな風か」
「料理番組からしてそれで」
「イギリス人はか」
「もうね、十九世紀シェフはフランス人っていうことがね」
 貴族の屋敷の話だ。 
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