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オズのエリカ

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第六幕その八

「こうしたお花からもです」
「蜜を採ってるのね」
「はい」
 まさにというのです。
「そうしています」
「いい感じね」
「そうですよね」
「ええ、他にはどうかしら」
「カボチャからも」
「ジャックね」
「あの方ですね」
「それもいいわ、他は?」
「これだけです」
 ここで女王バチのお話は終わりました。
「花は」
「あれっ、何か足りないわね」
 ここでエリカもこう言いました。
「確かに」
「そうだね、足りないものは」
 それは何かとです、ジョージも言いました。
「何かな」
「ううん、大事なお花が欠けている様な」 
 恵梨香もこう言います。
「これは」
「そうだね、とても大事なお花が欠けている気がするよ」
 神宝も同じ意見でした。
「何か一つね」
「ええと、何かしら」
 ナターシャも首を傾げさせています。
「そのお花は」
「皆が知っているお花じゃないかな」
 カルロスもそこがわからないです。
「これは」
「うん、何かとてもね」
「有名なお花が欠けているよ」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーもこのことはわかりますが。
「けれどね」
「それが何かがわからないよね」
「あら、こんなの簡単じゃない」
 ですがアンがここでこう言いました。
「皆一つ忘れてるわよ」
「あんたはわかるの」
「ええ、道理で足りない筈よ」
 こうまで言うアンでした。
「これでわかったよ」
「それは何なの?」
 エリカはアンに怪訝な顔で尋ねました。
「一体」
「薔薇よ」
 アンはエリカに笑顔で答えました。
「薔薇がないでしょ」
「あっ、そういえば」
 エリカは言われてはっとなりました、そして他の皆もです。アンの今の言葉にエリカと同じお顔になりました。
 そしてです、こう言うのでした。
「そういえばね」
「うん、薔薇がなかったよ」
「そうだったよ」
「何かが足りないって思っていたら」
「薔薇だったわ」
「ええ、薔薇はオズの国のあちこちにあるけれど」
 それなのにと言うアンでした。
「この辺りには薔薇がないの?」
「あります」
 すぐにです、女王バチはアンに答えました。
「薔薇は。ですが」
「それでもなの」
「はい、薔薇には棘がありますね」
「まさかと思うけれど」
 棘と聞いて聞き返したアンでした。 
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