転生とらぶる
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機動戦士ガンダム
2195話
「……おお……」
その人物は、治療ポッドから外に出ると自分の身体を確認するように手足を動かし、感嘆の声を上げる。
つい先程まで液体の中にいた影響もあって、服や髪は思い切り濡れているのだが……その辺りは、全く気にした様子がない。
今はそんな事よりも、現在の自分の状況を確認したいといったところか。
正直なところ、治療ポッドから外に出ただけでそんな違いが分かるのかといった疑問はあるのだが、その人物……ギニアスの様子を見る限りでは、間違いなく治療ポッドの外に出ただけで何か違うところがあるというのが分かったのだろう。
それは逆に言えば、ギニアスは治療する前は普段の生活から、宇宙線の影響でまともに生活出来ていなかったという事なのだろう。
俺が見た限りでは、そこまで影響しているようには思えなかったが……そこら辺は慣れの問題なのか?
「お兄様!」
まだ濡れているギニアスに、バスタオルを持って近づいていくアイナ。
その表情は嬉しさがあるが、同時に不安もある。
まぁ、シャドウミラーの技術力を知らなければ、そんな風に疑問に思っても仕方がないが。
だが、そのうち……ギニアスと一緒に生活していけば、本当に治療が完了したというのが分かるだろう。
「ううっ……」
そんな声が聞こえ、声のした方に視線を向けると、そこにいたのは涙を隠そうとしているノリスの姿。
あー……その気持ちは分からないでもない。
何でも、ノリスが護衛としてサハリン家に雇われたのはかなり前らしい。
そんな中でギニアスとアイナの両親が死んで、サハリン家を何とか没落させまいとしていた姿を見ているのであれば、強く感情移入してしまうのも当然だろう。
ノリスにとっては、息子や娘……というには少し大きすぎるから、親戚とか従兄弟とか、そんな感じに思っているのか?
「アイナ……これ程に身体が軽いと感じたのは、何年ぶりだろうな」
アイナの渡したバスタオルで身体を拭きながら告げるギニアス。
そんな兄の姿を、アイナは本当に嬉しそうに眺めていた。
ギニアスが嘘を言ってる訳ではないというのは、アイナにも理解出来たのだろう。
先程まで目に浮かんでいた疑念の光は、既に完全に消えている。
「で? どうなんだ? 完治したと思ってもいいのか?」
俺はそんなサハリン家一行から少し離れ、何らかの……恐らくはギニアスのデータをチェックしているレモンに尋ねる。
「そうね。こうして数値を見る限りでは、ほぼ全快していると言ってもいいわ。間違いなく身体能力も以前より上がってるだろうし」
「……もしかして、妙な事をしてないよな?」
量産型Wの技術を流用し、ギニアスの改造をしたのではないか。
レモンであればやらないと思うが、逆にやってもおかしくはないという思いもあった。
どちらであっても、レモンらしいと言える。
だが、レモンはそんな俺の言葉に呆れの視線を向けてくる。
「最低限……宇宙線の悪影響で弱っていた内臓を少し強化したけど、そのくらいよ? ギニアスがあそこまで調子が良いのは、やっぱり今までが今までだったからでしょうね。言ってみれば、マイナスの状況を普通だと思っていたんだけど、それがプラスになったから、自分でも思った以上に調子がいいように思える……といった感じかしらね」
「あー……なるほど」
ギニアスが宇宙線を浴びたのは、子供の頃だったらしい。
だが、今のギニアスは年齢としては20代半ば……もしくはそれよりも上なのか?
ともあれ、具体的に何歳の時に宇宙線を浴びたのかは分からないが、そうなってから10年前後くらいの時間は経っているらしい。
そうである以上、今のように調子が良いと思えてしまっても、おかしくはないか。
「少なくても、数値上での話では成人男性の平均値くらいの割合よ」
そう言い、レモンが俺に色々と数値の記入されている書類を見せてくるが、専門知識が必要なことを書かれているのを見せられてもな。
取りあえず、レモンがそう言うのであれば、俺はそれを信じる事しか出来ない。
まぁ、レモンが俺を騙そうとする筈も……ない事はないか? ともあれ、何らかの理由がない限りは心配ないだろうから、気にしない事にしておく。
「取りあえず、全快したのならそれでいい。何か薬とか、定期的な治療とか、そういうのは必要なのか?」
レモンに尋ねる俺の声が聞こえたのか、ギニアス、アイナ、ノリスの3人がこちらに視線を向けてくる。
だが、そんな視線を受けつつもレモンは特に気にした様子もなく、首を横に振る。
「いえ、そういうのは必要ないわ。……ただまぁ、完治はしたけど様子を見たいから、一応1週間後くらいにもう一度来て貰いたいと思うけど」
「そのくらいなら」
そう、ギニアスは告げる。
……とはいえ、ギニアスにはこれからハワイに作っている研究施設を具体的にどのようにするのか指示を出したり、協力を仰ぐ研究者達と顔を合わて打ち合わせをしたりといった事もしなければならない以上、そこまで余裕はないと思うんだが。
宇宙線の治療が終わったばかりだというのに、それこそ激務をこなす必要が……ああ、レモンが狙ってるのはその辺もあるのか?
激務をこなしているだけに、当然その消耗も激しい筈だ。
1週間後の経過観察で、その辺を指摘するつもりなのかもしれない。
「じゃあ、取りあえず今日はこれで帰ってもいいわよ。貴方達も、ギニアスに色々と報告する必要があるんでしょうし」
レモンのその言葉に、アイナとノリスは頷きを返す。
2人にしてみれば、ギニアスが治療ポッドで眠っている間に色々と起きた事を報告する必要があるのは、間違いなかった。
もっとも、それはギニアスにとっても色々と予想外の事もあるだろうが。
特に大きいのは、やはりアイナがシーマからMS操縦の特訓を受けているといったところか。
……幸い、本当に幸いな事に、海兵隊式の口の悪さはアイナに影響を与えてないようだったが。
もしかして、シーマもその辺は気を遣っているのか?
アプサラス計画にシャドウミラーが大きな興味を持っているというのは、シーマも分かっている筈だし。
そんな中で、もし何らかの理由によって偉い相手……セイラやラル、アンリ、それ以外にも幹部の面々の前に立って何らかの説明をしなければならなくなった時に、海兵隊式の口の悪さが出れば、色々と不味いだろうし。
「では、アクセル代表、レモンさん。私達はこれで失礼しますね。兄様の治療、本当にありがとうございました」
俺とレモンに向かい、アイナが深々と頭を下げる。
アイナにしてみれば、今回の一件は幾ら感謝してもしたりないのだろう。
実際、何日か前にレモンから聞いた話によれば、もう数ヶ月治療をするのが遅れていれば、シャドウミラーの技術を持ってしても治療は間に合わなかっただろうという話なのだから。
その辺り、ギニアスは今という時期にシャドウミラーと接触出来たのは幸運だのだろう。
それも、自分の身体を健康にしてくれる、これ以上ない程の幸運。
「ええ。ギニアスも一応問題はないと思うけど、まだ暫くは無理をしないでね」
レモンの念を押すような言葉に、ギニアスもまた深々と一礼する。
そして、ギニアスに続くようにノリスもまた。
やがて3人が部屋を出ていくと、ここに残るのは俺とレモンだけになり……
「ねぇ、アクセル。アプサラス計画……どうなると思う?」
「そうだな。ギニアスが健康になったし、順調に進むんじゃないか?」
「そうかしら。寧ろ、私はアプサラス計画だけを進めることを純粋に考えるのなら、ギニアスの治療はしなかった方がいいかもしれないと思うわ」
「……何? それはどういう事だ?」
もう数ヶ月で死んでいた可能性が高いギニアス。
その治療をしない方が、アプサラス計画の為には良かったのではないかと、そう告げるレモンに、俺は疑問を抱く。
だが、レモンはそんな俺の言葉に対し、少しだけ憂鬱そうにしながらも、説明を続ける。
「いい? もしギニアスが自分は助からないと知れば、恐らく全身全霊を……いえ、命そのものを燃やしてでも、アプサラスの開発に専念した筈よ。それは、サハリン家のこれからを思えば、当然かもしれないけど。そうすれば、普通に……そう、例えば今の健康な状況でアプサラスを開発するよりも、恐らくはもっと開発の進み具合は早かった筈よ」
「つまり、健康になった今の状態だと……そう、いわば余裕が出来たから、アプサラスの開発が遅くなるって事か?」
「そんな風に思って貰えればいいわ」
「……マジか」
「マジよ」
しつこく尋ねる俺に、レモンは短くそう答えてくる。
どうやら、レモンとしては本気でそう思っているらしい。
いやまぁ、同じ技術者としてレモンがそう言うのであれば、恐らくその言葉に間違いはないんだろうが。
「どうする?」
「そうね。今は健康な身体に戻ったことを喜んで貰って、もう少ししたら、他の技術者と会わせてみたらどう? シャドウミラーの技術班は駄目だけど、ルナ・ジオンにジオン公国や連邦からも色々と技術者が集まってきてるんでしょ? なら、それがギニアスにとって刺激になるんじゃないかしら。ヅダの開発者達もそろそろ到着する頃でしょうし」
なるほど。アプサラス計画などというものを考え、それを形にしようとしている以上、ギニアスは技術者としても相当の能力を持っている筈だった。
そのような能力を持っており、更にはサハリン家の当主という立場である以上、当然のようにギニアスは高いプライドを持っているのは間違いない。
であれば、同じような技術者と顔を合わせて話をさせれば、自然とアプサラス計画だったり、ヅダの改修計画だったりに興味を持つという可能性もある。
しかも、身体が宇宙線に蝕まれた事により追い詰められてアプサラス計画を進めるのではなく、健全な心でアプサラス計画を進める事も可能になる……と、思う。
その辺は結局のところ技術者の考え方次第である以上、俺からは何も言えないんだが。
「そうなってくれると、こっちとしては助かるんだけどな。既にハワイの無人島にアプサラス計画の為の研究施設は作り始めてるし」
もっとも、それを作ってるのはいつもの如く量産型Wや無人機達だが。
……HLVの打ち上げ施設を作る時にハワイの住民を雇用出来なかったのは、出来るだけ早く作る必要があったからだが、今回の研究施設にもハワイの住人を雇用して……という訳にはいかないな。
HLVの時とは違い、今回は出来るだけ人に知られないようにする必要があるし。
とはいえ、アプサラス計画が進めば試験飛行とかもする必要がある以上、いずれジオン軍、連邦軍の両方に知られる事になりそうだが。
特にジオン軍は、ギニアスが一度アプサラス計画を提出している以上、データの類は残っている可能性が高い。
その為、アプサラス計画で開発された物だといち早く理解出来てもおかしくはない。
まぁ、具体的にはアプサラスがどんな機体になるのか分からないが。
実際に実物が出来てから、初めてそれがアプサラスだと理解出来ても、おかしくはない。
「とにかく、ギニアスが健康になった以上、アプサラス計画も本格的に動き出すでしょうね。……ああ、そう言えば知ってた? 最近、アイナがシーマの訓練を受けてるんだけど、そこにガトーが顔を出してるらしいわよ?」
「……何がどうなって、そうなった?」
ガトーは、軍人としては非常に高い能力を持っている。
だが、軍人ではなく武人的な性格が強く、礼儀とかそういうのに厳しい。
そんなガトーが、礼儀? 何それ美味しいの? といった感じの海兵隊のいる場所に出向く?
一体、何がどうなればそんな風になるのやら。
だが、そんな俺の言葉にレモンは若干呆れの視線を向けてくる。
「あのね、本当に分からないの? ……まぁ、アクセルだから、しょうがないのかしら」
「何がだ?」
「……つまり、ガトーとアイナの仲は進展してるって事よ。まぁ、それが男女間の恋になるのか、師弟愛的なものになるのかは分からないけど」
レモンの言葉に、俺はそれ以上何も言えなくなる。
いや……ガトーとアイナが?
まぁ、あの2人はお似合いだと思わない事もないけど、それでも意外だ。
ただ、問題なのはギニアスがそれを認めるかどうかといったところか。
ギニアスにしてみれば、サハリン家を残す事が第一の筈だ。
つまり、アイナの相手にも相応の人物を求めるという事になる。
そういう意味で、ガトーはルナ・ジオン軍の中でも有能な軍人として知られている。
だが、問題なのはアナベル家というのが、別に名家でも何でもない事だ。
ガトーの性格を考えれば、もしかしたら血筋を遡れば武士の家系に連なっているのかもしれないが。
ともあれ、俺はそんな風に唖然としつつ、アイナとガトーの関係が拗れないように願うのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:235
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1435
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