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永遠の謎

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239部分:第十七話 熱心に祈るあの男その三


第十七話 熱心に祈るあの男その三

「それも最も大きいだろう」
「その。プロイセンとのことが」
「最もなのですか」
「やはり。そうなるのですか」
「そうなのだ。長い歴史を誇るヴィッテルスバッハ家はだ」
 どうなるかというのだ。そのヴィッテルスバッハがだ。
「また。他の家の下についてしまうのだ」
「神聖ローマ帝国と同じですね」
「そうですね」
 誰もがすぐにわかった。そのことはだ。
 そのまま神聖ローマ帝国に当てはめられる。かつてバイエルン、そしてヴィッテルスバッハ家はだ。神聖ローマ帝国の一諸侯だったのだ。
 その中に入るというのだ。それを話してだった。
「それがなのですか」
「陛下にとっては」
「本来はハプスブルク家の風下にもつきたくないのだ」
 そうだというのだ。王の本心はだ。
「バイエルンはバイエルンとして。誇りを以て立っていたいのだ」
「しかしそれは適わないと」
「バイエルンは」
「最早動いている」
 歯車が動く様にと。ワーグナーは話していく。
 その動くものはだ。何かというとだった。
「ドイツは。一つになろうとしているのだ」
「バイエルンもまたその中に入る」
「それは避けられないのですか」
「ドイツにとっていいことだ」
 そのだ。かつて神聖ローマ帝国があったその場所にとってはというのだ。
「だが。陛下にとってはだ」
「そのことはそのまま憂いになってしまう」
「バイエルン王として」
「一国の主としてですか」
「それから避けられたいのだ」
 憂いからだというのだ。
「避けられないとおわかりでもだ」
「そして旅にも出られましたか」
「憂いから逃れる為に」
「そうなる。だが最後まで逃れられるかどうか」
 話はそこに至った。結末にだ。
「やはり。それはだ」
「できませんか」
「どうしても」
「それは陛下ご自身が最もよくわかっておられる筈だ」
 王の心を読み取っていた。そのうえでだ。
 ワーグナーはその青い、様々なものが入り混じりお世辞にも澄んでいるとは言えない、だが深い叡智もある目で王の心を見てだ。話すのだった。
「その王を救えるとすれば」
「それは?」
「救えるとすれば」
「彼しかいない」
 一人の男がだ。出て来た。
「彼しかな」
「彼とは」
「その彼とは誰でしょうか」
「白銀の騎士だ」
 ワーグナーはまずこう表現してみせた。
「その彼だ」
「白銀の騎士といいますと」
「あの騎士ですか」
「ローエングリン」
 周りはだ。自然にこの名前に辿り着いた。そしてだ。
 ワーグナーもだ。こう話すのだった。
「彼しかいないのだ」
「ローエングリンがですか」
「陛下を救える」
「そうなのですか」
「そうだ。それに気付けるかどうかだが」
 その気付けるのは誰かも話される。
「周りがだ」
「その周りが気付かなければ陛下は」
 どうなるか。そのことも話されていく。
「救われないのですか」
「そうなってしまうのですか」
「そうだ。あの騎士が必要なのだ」
 それは何故か。ワーグナーの話は続く。
 
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