オズのエリカ
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第五幕その五
「後で後悔するかも知れないのです」
「騙されたとわかって」
「そうです」
「成程ね、それがなのね」
「私の芸です」
「このことを教えることが」
「そうなのです、オズの国を歩いて回って」
そうしてというのです。
「今の芸を披露しています」
「そうなのね」
「私は迂闊に信じないことです」
「そういうことね」
「ピエロの素顔はわかりません、そして」
「誰でもよね」
「まずは人をよく見て」
その人それぞれをです。
「どういった人か考え」
「そうしてからね」
「見極めてです」
「信じて好きになるべきね」
「さもないとです」
「騙されたりするのね」
「私が人気があっても」
それでもというのです。
「まずは私をよく見て考えてです」
「信じられるかどうかを見極めて」
「信じて好きになってです」
「その言葉もよね」
「その一言を正しいかどうか見極められることです」
「その人が常に正しいとは限らない」
「はい、間違っていることを言う時もあれば」
その人がというのです。
「ひょっとしたらです」
「実は悪いことを考えて言っている」
「その可能性もあるのですから」
「難しいことを言うわね」
「そうかも知れません。ですが」
「それがなのね」
「人間かも知れませんよ」
こうも言うのでした。
「そして生きものです」
「オズの国では悪意がなくても」
「外から攻めて来る人もいましたし」
「わからないのね」
「ギリキンには悪い巨人もいましたね」
「ええ、かかしさん達の姿を変えたね」
エリカもよく知っているお話です、この時かかしもブリキの樵もポリクロームも大変なことになりました。
「カリダも昔は性格が悪かったし」
「だからですよ」
「気をつけることね」
「その人には。人はじっくりと見て信じて好きになって」
「その人の言葉が常に正しいとは限らない」
「そのことをご承知を」
くれぐれもと言うピエロでした。
「その様に」
「わかったわ、そういうことね」
「それで旗はどうされますか?」
ピエロはまだその手に旗達を持っています、二十七枚の旗達は今も一枚の糸によってつながっています。
「一体」
「そのままでいいわ」
エリカはピエロに答えました。
「その方がなくさないし取られないしね」
「だからですね」
「そうしていくわ、全部揃っていた方が奇麗だしね」
「それでは」
ピエロも頷きました、そして旗は揃ったままでピエロの服のポケットに収められました。そしてです。
ピエロは一行に再び恭しくお辞儀をしてから去りました、一行もそのピエロに挨拶をして別れました。
その後で歩きつつです、アンは言いました。
「それじゃあ丁度十時だから」
「ティータイムね」
「それで少し休みましょう、そしてね」
「さっきのピエロのことをね」
「少しお話しましょう」
こうエリカに言うのでした。
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