オズのエリカ
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第五幕その二
その人を見てです、エリカは言いました。
「ピエロね」
「ええ、そうね」
アンもエリカの言葉に頷きました。
「あの人はね」
「そうよね」
「オズの国にもピエロっているけれど」
ジョージが言いました。
「旅をするピエロの人もいるんだ」
「何かオズの国のピエロって感じね」
ナターシャはそのピエロを見てこう言いました。
「オズの国の色で彩られているから」
「そうだね、緑に赤、青、緑、黄色でね」
神宝はナターシャのその言葉に頷きました。
「虹みたいにはっきりと分けているから」
「しかも動きが軽やかで」
このことを言うのは恵梨香でした。
「おどけている感じでね」
「うん、ピエロはピエロでもね」
最後にカルロスが言いました。
「オズの国のピエロだね」
「私あの人ははじめて見たわ」
アンもその人を見て言いました。
「オズの国には確かにピエロもいるけれどね」
「そうね、ただピエロってね」
エリカは皆の千頭でこうも言いました。
「どうもね」
「どうもっていうと?」
「いえ、怖いイメージないかしら」
アンに対して言いました。
「何かわからない、剽軽でおどけた中に何かある」
「素顔を隠していて」
「そんな感じがしないかしら」
「そうね、そう言われるとね」
「不気味なものもあるでしょ」
「ええ、確かに怖いものもね」
エリカが言う通りにというのです。
「含んでいるわね」
「だから私ピエロを見ているとね」
「時々怖さもなの」
「感じるのよ」
「怖いものはないっていう貴女が」
「怖いものを怖いって感じて乗り越えているからね」
その抱いた恐怖心をというのです。
「だから怖いものはないのよ」
「そういうことなのね」
「怖いものを乗り越えたらもう怖くはないでしょ」
「ええ、確かにね」
「そういうことなのよ」
「成程ね」
「それでだけれど」
そのピエロを見つつです、エリカはアンにお話していきます。
「あのピエロの人は何をするのかしら」
「何の芸をするのか」
「ピエロは芸をするものでしょ」
そして人を喜ばせるものだというのです。
「そうでしょ」
「それはね」
「じゃああの人も何かをするわよね」
「そうなるわね」
「じゃあ何をするのかよ」
「それが問題だっていうのね」
「ええ、一体何かしらね」
前から歩いて来るそのピエロの人を見つつ言います、一行も先に進んでいるのでそうしてなのでした。
一行は遂にピエロの人と対しました、するとピエロの方から挨拶をしてきました。
「やあ、はじめまして」
「ええ、こちらこそね」
エリカが応えました。
「はじめまして」
「猫のエリカさんとお見受けしますが」
「そうよ、会ったことはなかったわね」
「だからはじめましてと挨拶しました」
恭しくお辞儀をしての言葉ですがその仕草はどうもおどけています。
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