おぢばにおかえり
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第四十六話 受験が終わってその十八
「先輩ですから」
「だからなの」
「はい、先輩が言われることならです」
聞くとのことでした。
「よく人の話聞かないって言われますけれど」
「そうね、というか聞かないんじゃなくて」
何か阿波野君は人の話は聞いていると思えます、けれどそれが果たして言った人の望む通りかといいますと。
「その人の要求に応えていないのよ」
「応えているつもりで」
「阿波野君って妙に癖が強いから」
「個性が強いんですか」
「そのせいでよ」
個性が出てしまってです。
「私が思うに人の話は聞いてるわ」
「そうなんですね」
「ええ、確かにね」
「僕もいつもそのつもりです」
「それが自分ではしているつもりでもなのよ」
「言った人には思われないんですね」
「最初から聞く耳持たない人じゃないのよ」
このことは私にはわかります、ちゃんと人の話は聞いている子です。
「ただ癖が強くておまけに自分が強いから」
「自分、我ですね」
「そう、阿波野君は我が強いのよ」
個性です、本当のそれが強い子だと思います。このことはいいと言えばいいのですがそれでも時として悪くてです。
「人の話を聞いてないって思われるの」
「要求に応えていない、ですか」
「まあ全部の人の意見は聞けないわ」
そんなことをしたらかえって自分を見失ってしまうものとお母さんに言われたことがあります。
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