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永遠の謎

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190部分:第十三話 命を捨ててもその二


第十三話 命を捨ててもその二

「それはしない。そういえばだ」
「そういえば?」
「そういえばといいますと」
「今度は一体」
「何のことでしょうか」
「戦争は長引くと言われているな」
 その戦争のこともだ。ここで話したのだった。
「そうだな」
「何年もかかると」
「フランス皇帝もそう言われています」
「この戦争は長くなると」
「誰もが言っています」
 これも実際のことだった。多くの者が戦争は長くなると思っていた。だが王はだ。その意見に対してだ。こう話をするのであった。
「短いかもな」
「短いですか」
「すぐに終わると」
「そうなるというのですね」
「そうかも知れないな」
 王はだ。考える顔でだ。静かに話すのだった。
「もしかするとな」
「まさか。あの両国の戦争です」
「国力はどちらもかなりです」
「それならばです」
「かなり長引くのでは」
「過去もそうでしたし」
 歴史もだ。ここで話された。
「オーストリア継承戦争や七年戦争もそうでしたし」
「まさにあの戦争の再現ですから」
「ですから」
「それは」
「長くなるというのだな」
 王も彼等に問う。
「それでだな」
「はい、双方の国力が比較的拮抗しています」
「やはり。それでは」
「この戦争は。長くなります」
 あらためて話す彼等だった。しかしであった。
 王はだ。落ち着いた、いつもの全てを見透かした様な声でだ。こう彼等に話すのだった。
「あの頃とは違う」
「オーストリア継承戦争や七年戦争の時とはですか」
「違うと」
「そうなのですね」
「そうだ、あの頃にはないものがある」
 まずはそこから話す王だった。
「鉄道がある」
「鉄道ですか」
「あれがですか」
「あれはいいものだ」
 王はその鉄道について話した。
「線路さえあればすぐに目的の場所に行ける」
「その鉄道がですか」
「役に立つと」
「そう仰るのですか」
「この戦争に」
「有効に使えばな。そして」
 さらにというのであった。王の言葉は続く。
「あの方もおられるしな」
「あの方、ですか」
「プロイセンのビスマルク卿ですか」
「あの方がですか」
「私は王だ。それに対してあの方は貴族でしかない」
 王と貴族は違う。貴族は王に仕えるものだ。だから王は本来はビスマルクに対して敬語を使う必要はない。しかしなのだった。
 王はだ。ビスマルクという人物そのものに対して敬意を払っていた。だからだ。彼はビスマルクを『あの方』とも呼ぶのだった。
 そうしてだ。あらためてであった。王は話すのであった。
「そしてその目指すものは相容れないところも多いが」
「それでもですか」
「あの方にはですか」
「敬愛の念を持っておられますか」
「左様ですか」
「そうだ。あの方もまた純粋なのだ」
 ビスマルクをこう言う者は王だけだった。彼だけだ。
 
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