夜の烏
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第五章
「盗みも出来ます」
「そういうことやな、それでやけどな」
今度は芥川が言ってきた。
「下手人が使ってた獣達やけどな」
「はい、あの獣達は警察の獣使いに渡しました」
「これからは警察で使ってか」
「捜査に役立ってもらいます」
「盗むに使われてた連中をやな」
「今度はそちらに使わせてもらいます」
捜査にとだ、喜久子は芥川にはっきりと答えた。
「そのうえで活躍してもらいます」
「盗みと捜査は表裏一体か」
「盗みの技は捜査にそのまま当てはまります」
そのやり方にというのだ。
「ですから」
「今度はそっちで使うか」
「是非。ではこれからは」
「ああ、太平洋全土の治安をな」
「やらせて頂きます」
喜久子は芥川だけでなく三人に言った、そうして太平洋全域の警察の長として治安という内政の重要な仕事をしていった。その立場でも見事な働きであり芥川は綾乃と中里だけでなく他の太平洋の神星の面々に笑顔で言った。
「ほんまええ仕事してくれるわ」
「ほんまやね、ええ警察長官やわ」
綾乃が芥川に棟梁の座から述べた。
「あの娘は」
「政はあの通り出来て推理も出来る」
「最高の警察長官で名探偵でもある」
「まさに天は二物いや三物を与えたな」
「その最後の一つはあれやね」
「そや、顔や」
これのことだとだ、芥川は綾乃に笑って話した。
「顔もええさかいな」
「三物を与えたってなるんやね」
「そや、それで太平洋の治安はな」
「これからもやね」
「あの娘に任せてくれ」
「そうしてくな」
「さて、それでや」
芥川はあらためて言った。
「これから太平洋全体をどう治めるか」
「神星全員で話していこな」
綾乃が応えた、そうしてだった。
彼等は今回の事件のことから太平洋全体のことを話していった、それもまた政であった。喜久子のお白洲でのことと同じく。
夜の鳥 完
2018・5・14
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