和洋の折衷
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第一章
和洋の折衷
影や怨霊のことでいつも悩まされているマツ=ルドリーも普段はフラワーコーディネイターとして平和に暮らしている。
それはこの時も同じで午後の仕事を半ばまで終えてだった。
おやつになったがマツは自分でインスタントコーヒーを煎れた、この時に日本人の仕事仲間達に微笑んで言った。
「インスタントコーヒーは凄いですね」
「粉入れてお湯入れたらですから」
「それで出来ますから」
「確かに凄いですよね」
「凄い発明ですよ」
「日本人の発明した中で」
フランス人として言うのだった。
「インスタントラーメン、使い捨てカイロと並ぶ発明品ですよ」
「そこまで、ですか」
「そんなに凄いですか」
「インスタントコーヒーって」
「それでインスタントラーメンと使い捨てカイロも」
「この三つで人類がどれだけ助かっているか」
こうまで言うのだった。
「想像も出来ないです」
「インスタントラーメンはすぐ食べられますしね」
「それこそお湯入れたらですから」
「カップ麺とかチキンラーメンなんて特にそうで」
「凄いですからね」
「そうです、そして」
マツは今度は自分が食べるおやつを出して話した。
「お餅最高です」
「ああ、日本のお餅はですか」
「最高ですか」
「マツさんそういえばよくお餅食べられてますね」
「おやつの時には」
「あんこと一緒に食べてもきな粉を付けて食べても」
甘くしてもというのだ。
「お醤油とも大根おろしとも合って」
「辛口でもいいですよね」
「実際にお餅は」
「お雑煮にしても善哉やお汁粉にしても」
汁ものにしてもというのだ。
「どれもいいので」
「だからですか」
「マツさんお餅も好きですか」
「それも大好きなんですね」
「はい」
その通りだとだ、マツは大福餅を出しつつ日本人の同僚達に話した。彼女が食べる餅は今日はこちらだった。
「本当に。その柔らかさも」
「そうですか」
「それじゃあですね」
「その柔らかさも好きで」
「いつも召し上がられてるんですね」
「日本にある食べものの中で」
それこそと言うのだった。
「お餅が一番好きです、そしておやつには」
「コーヒーとお餅」
「この二つですね」
「その組み合わせですね」
「これが一番ですね」
実際にこう言ってだ、マツは笑顔でインスタントコーヒーを飲み大福餅を食べた。そうして午後の一時を楽しんだ。
マツはよくコーヒーと餅を楽しんだ、それが日本にいる楽しみの一つになっていた。それで日本に来た兄にも話した。
「インスタントコーヒーもいいですが」
「すぐに出来てかい?」
「そして味もです」
肝心のそれもというのだ。
「凄くいいのですよ」
「すぐに出来てそれだから」
「私はいつも飲んでいます」
そうしていることを話すのだった。
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