文武両道なれど
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第一章
文武両道なれど
マークスは剣と術を学ぶ学校に通っていて日々剣と術を学んでいる、どちらも成績優秀で将来を期待されている。
それでだ、担任の先生にもこう言われていた。
「君は将来は士官学校か大学の軍事学に進むといい」
「そうしてですね」
「そうだ、立派な軍人になれるからな」
それだけにというのだ。
「立派な軍人になってだ」
「そのうえで、ですね」
「立派に生きていって欲しい」
「立派にですか」
「君の今の成績なら」
まさにとだ、担任の先生は言うのだった。
「かなり立派な軍人になれる、それに」
「騎士にもですか」
「なれる」
この国で最も誉れとされているこの階級になれるというのだ。
「学業の成績だとな、後は品行方正で」
「マナーも備えればですね」
「普通に士官になれば要求されるが」
そのマナーがというのだ。
「しかしだ」
「それでもですか」
「そうだ、騎士は貴族だ」
平民とは明らかに違う、その立場になるからだというのだ。
「普通の士官とは違う、それだけにだ」
「礼儀作法も厳しいんですか」
「そうなる、しかしだ」
「俺の成績ならですね」
「このままいくと騎士になれるぞ」
担任の先生はマークスに確かな声で話す、しかしマークスは士官学校なり大学の軍事学に進むなりする道には笑顔で是非と答えてもだった。
騎士については返事をしたことがなかった、このことに気付いたのは寮のルームメイトだった。成績は彼より少し下だが補給関係に強くそちらでの将来を期待されている。
彼は寝る前にだ、隣のベッドに入ったばかりのマークスに尋ねた。
「一ついいかな」
「どうしたんだ?」
「君は騎士になりたいんだよな」
「いいや」
マークスは彼にベッドの中からすぐに答えた。
「騎士はなりたくないな」
「この国の軍事に関わる者の誉れだぞ」
「そうだよな」
「しかも貴族になれるんだぞ」
彼もマークスも平民だ、それで彼にこのことも言うのだった。
「いいことじゃないか」
「いいことだけれどさ」
マークスはベッドの中で仰向けになって寝ていた、両手は頭の後ろにあってまだ眠気は来ていない。その中でルームメイトに話すのだった。
「騎士って凄い礼儀作法叩き込まれるよな」
「普通の士官より遥かに厳しくな」
「もう徹底的にだよな」
「文字通り骨の髄までな」
「そうなるよな、けれどな」
「それが嫌か」
「俺堅苦しいのはな」
そのことがとだ、難しい顔で言うのだった。
「苦手でな」
「それでなのか」
「ああ、騎士になることはな」
「考えていないか」
「貴族にならなくても生きていけるだろ」
こうも言うマークスだった。
「そして軍人としてもな」
「それはその通りだな」
ルームメイトも否定しなかった。
「騎士になれば将官にもなりやすいが」
「それでもだよな」
「しかし騎士はむしろそこから外交官や政治家になる人が多い」
「貴族だけにな」
「軍事知識を活かすということでそちらに行かされる」
軍人からそうなっていくというのだ。
「それはな」
「騎士なら当然の流れだよな、けれどな」
「それがか」
「俺考えてないしな」
マークスはまた答えた。
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