十一月三十一日
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二章
「いいのよ、美味しい食べものと飲みもの一杯出すのは同じだから」
「それでか」
「酒池肉林になるのね」
「それでその酒池肉林のパーティーをか」
「私達を招待してくれるのね」
「そう、そしてその日はね」
さらに言うジャパ子だった。
「十一月三十一日よ」
「そうか、十一月三十一日か」
「わかったわ」
「じゃあその日に行くな」
「皆でね」
ジャパ子に勝手に友人にされた彼等はまずは素直に頷いた、だが頷いてからすぐに気付いて言うのだった。
「いや、待てよ」
「十一月三十一日って」
「そんな日ないだろ」
「十一月も三十日まででしょ」
「これがあるのよ」
ジャパ子は自分の言った日にクレームをつけた彼等に即座に答えた。
「昔日本のプロ野球選手が言ったのよ」
「それ何処の誰だよ」
「だから十一月は三十日まででしょ」
「それで何で三十一日なんだよ」
「それが有り得ないでしょ」
「契約の日だったけれどすっぽかして」
そうしてというのだ。
「それで十一月三十一日があると言ったのよ」
「十一月三十日の契約すっぽかしてか」
「それでそう言ったのね」
「それ契約するフロントの人怒っただろうな」
「もう怒り心頭だったでしょうね」
「それこそ有り得ない位に怒って」
実際にそうなったというのだ。
「厳罰にしたらしいわ」
「そりゃそうだろ」
「大切な契約の日にそんなことしたら」
「どのチームのフロントだって怒るぞ」
「下手したらクビでしょ」
皆流石にそれはと思って話した。
「それこそね」
「怒って当然だろ」
「どんな厳罰でもおかしくないわよ」
「というかそうするのが普通だろ」
「その日にしようと思ったけれど」
ジャパ子はまた言った。
「皆駄目だっていうし三十日にしようかしら」
「十一月三十日な」
「普通の日でお願いね」
「そんな有り得ない日にパーティーなんかするな」
「他の日にしなさい」
こう言ってだ、そのうえでだった。
皆はジャパ子が開いた美味しいお菓子やジュースが沢山出るパーティーに参加することにした、その日はというと。
「じゃあ十二月三十一日ね」
「大晦日か」
「というか三十一日は一緒ね」
「そこは変わらないな」
「誕生日もそうだし」
「いいでしょ、ネタになるから」
その日もというのだ。
「大晦日だからね」
「やれやれだな」
「じゃあ大晦日にね」
「こいつの家でパーティーするか」
「そうしましょう」
彼等も何だかんだで付き合うことにした、そうしてだった。
皆大晦日にジャパ子の家でパーティーを楽しんだ、この日ばかりは彼女も煽らずに彼等を素直に歓迎してもてなした。
十一月三十一日 完
2018・9・23
ページ上へ戻る