ソードアート・オンライン~剣と槍のファンタジア~
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ソードアート・オンライン~剣の世界~
3章 穏やかな日々
23話 将来の旦那さん⁉Part3
前書き
どうも、白泉です!いやぁ、いよいよSAO3期、アリシゼーション編のアニメ放送が始まりましたね!今回はなんと4クールという長さw僕も聞いたときびっくりしましたよ。まあ、アリシゼーションはめちゃくちゃ長いですからね。
さて、今回は前回の続きから行きましょう。かなり気になるところで切りましたが、どうなるのでしょうか?今回は少々長めですが、では、早速どうぞ!
わいわいと騒がしく大きな食卓を囲む子供たち。その光景は見ているとほほえましくなるものである。だが、そこから離れた丸テーブルはというと…
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
痛いほどの沈黙で満ちていた。テーブルの上には4人分のパンとシチューがほかほかと温かそうな湯気を立てているが、テーブルを取り巻く空気は凍っている。
「この女が作ったご飯なんて食べられない」
不意に、毒が入った少女の声が沈黙を破った。言わずもがなミカだ。
リアの顔に笑みが浮かぶ。…もちろん、目は一切笑っておらず、それどころか氷ほどの冷たさだ。
「そっかぁ、別に無理して食べなくていいんだよ?君に食べられるだなんて食べ物もかわいそうだしね」
「あんたに調理されたこの料理のほうが可哀そうに思えるけど?」
ミカも負けじと言い返し、バチバチと見えない閃光が飛び交う。サーシャはこの雰囲気に耐え切れずに縮こまり、ツカサはあきれた顔をした。
「もうちょっと仲良くできないのか…?」
「「ツカサ(君)は黙ってて」」
「はい…」
2人の女からの強烈な視線に、ツカサも首をすくめた。
さっきからずっとこんな調子なのだ。さかのぼること、ちょうど30分ほど前。
『あたしの将来の旦那さんに近づかないでくれる?』
『…はい?』
唐突の発言に、リアは彼女が言った言葉の意味がよく理解できなかった。一方、ミカのほうは、勝ち気な瞳で下から敵意をむき出しにしてにらみつけている。
『…ちょっとまって、何それ、どういうこと?』
『どうもこうもない。私のツカサに近づかないで。…ツカサ、こんな女置いて、座ろう?』
『え、あ、いや…』
ミカは玄関から入ってからずっとつかんだままのツカサのコートの袖口を引き、硬直しているリアのわきをすり抜けていく。
そして食事時の今、である。
「ねぇ、なんで会って一時間ぐらいしかたってないし、年上のツカサ君のこと、呼び捨てにしてるの?おかしいよね?」
「だって、ツカサは私の将来の旦那さんなんだもの。それぐらい当然でしょ?」
ビキビキビキッ‼‼‼、と確かに音を立てて何かが割れた気がした。リアの頬が我慢できずにぴくっと動く。
「だいたい、何その将来の旦那さんって?」
「前に父さんが教えてくれたの、“私を危険から守ってくれた人はお前の将来の旦那さんになる人だから、絶対に離れちゃいけない”って。ツカサは私を助けてくれたから、私の旦那さんになる」
「……」
呆れてリアは物も言えなかった。なんていう子供なんだ!?いや、子供の一時の執着なのかもしれないが、それにしても胸糞が悪い。
「ツカサ君はずっと私と一緒にいるんだけど?」
「あら、あんた知らないの?小説や漫画なんかではよくあるけど、現実では幼馴染の恋は実らないもの。結局はポッと出てきた運命の人と結婚するのよ」
「…うん、一回表出ようか」
「リア、流石にそれはまずいよ…」
にっこり笑って吐いた言葉は“表へ出ろ”。いつの時代のヤンキーだ。ツカサは慌てて仲裁に入った。だが、
「暴力で解決しようだなんて、だからあんたは馬鹿なのよ。私に口で勝てないからって」
「…うん?ごめんね、よく聞こえなかったな、もう一回言ってくれる?」
「暴力ですべての物が片付くと思ってるあんたは、猿と同類って言いたかったの。わかる?人間の最大の特徴である言語を使おうとしないだなんて、ほんとに猿」
「やっぱり一発殴られたほうがいいみたいだね。生きてることを後悔させてあげる」
「リア、お願いだから抑えてくれ…」
―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―
夜の教会は、昼間の時の騒がしさが嘘のように静かになる。遊び疲れた子供たちは、毎日10時には全員深い眠りへと落ちるからだ。子供たちが寝る部屋が連なる教会の二階の廊下は、耳が痛くなるほどの静寂に包まれていた。
だが、真夜中の零時をとうに過ぎ、丑三つ時に差し掛かろうとした時だった。ドアがゆっくり開く音が微かに響くが、誰かが出歩く足音はない。しかし、確かに息をひそめた誰かが廊下を歩いている気配がある。
その気配はゆっくりと前進し、やがてあるドアの前で止まる。一番突き当りの左側の部屋だ。
カチャリ
静かな音を立てて扉があく。この教会の管理人のような名義のサーシャの意向で、教会に住んでいる子供ならだれでも、どの部屋でも開錠できることになっているのだ。
ドアの隙間はゆっくりと、だが着実に大きくなってゆく。やがて、その隙間が人一人入れるほどまで開いたとき、気配はするりと部屋の中に侵入する。
部屋の中は、角部屋で窓が二つあるせいか、月の光で廊下よりも明るく照らし出されていた。入って右隅には机といす、左側に一人で寝るには少々大きめのベッドという、粗末なつくりだが、今は月の光のせいで、妙に絵になる。
いや、月の光だけのせいではない。
微かに上下するベッドの掛布団、広がるダークブラウンの長い髪、月夜に浮かび上がる滑らかな肌。それはまさに、眠れる森の美女。精巧な作り物のような彼女の造形美は、本当に人間かと疑いたくなるほどだ。
今まで何の空気も乱さなかったその気配に、初めて怒りと憎しみの感情が漂いだす。そして、それはやっと姿を現した。艶やかな黒髪が光を照り返す。
それは…いや、少女はそっと布団の上に投げ出されている力ないリアの右手を持ち上げ、横に振る動作をさせる。リア本人にはメニューウィンドウが見えているだろうが、他人の目からは見えない。だが、見えなくてもそこには確実に表示されている。少女は何度も練習した手順で、体で覚えた場所を数回タップさせる。すると、少女とリアの頭の上にカウントダウンが表示された。
そう、これはデュエルのカウントダウンだ。
徐々に減っていく数字。
少女のその手に握られている大ぶりで、与えるダメージが大きくなるように刃に棘のようなものが生えているダガーは、紫色の粘膜を纏い、冷たい光を放っていた。
そして…
カウントがゼロになった瞬間、リアの体には、短剣9連撃斬撃技アクセル・レイド叩き込まれた。
短剣のソードスキルでは、かなり上位のスキルだ。だが、攻撃はリアのHPを1割程度削るのみ。しかも、少女が硬直している間にもみるみるうちに回復し、あっという間に全快になる。しかも、短剣に付与しているはずのレベル3の毒も効いていない。
少女の瞳は恐怖で大きく見開いた。だが、続けざまにソードスキルを放とうとする。
しかし、いつの間にか少女は自分の視界が回転していることに気が付いた。そして、強烈な衝撃とともに床にたたきつけられ、右手の短剣は金属音を立てて部屋の隅に転がった。
「まったく、こんな方法で私を殺せるとでも思ったの?ミカ」
右耳のすぐ横で低めの澄んだ声がする。あとで知ったことだが、彼女の体は柔道技の袈裟固をかけられていて動けなかった。
胸の上にかかる圧迫感を感じながら、少女…ミカは奥歯をギリッと噛み締めた。
「うる…さい!」
リアの腕から逃れようと足をじたばたさせるが、まったく起き上がれない。
「君の筋力値じゃ動けないよ。残念だけど」
わずか距離15㎝ほどにあるリアの端正な顔は、気味が悪いほどにまったくの無表情だった。
「だまれ、この人殺し…!」
ミカはかすれた声で叫んだ。わずかに、リアの瞳に感情が宿ったような気がするが、それが何かはミカにはわからなかった。
「父さんはラフコフなんかに入りたくなかったのに…!無理やり入らされてただけなのに…!父さんを殺しやがって…この悪魔!人でなし!」
ミカは目頭が熱くなり、熱いものがこみあげてくるのを感じた。涙がこぼれないようにするのに必死だ。
「だからヘッドに言われてこうしてお前を殺しに来たんだ!」
だが…
「…ふぅん」
罵倒されていることに対しての怒りを表すのでもなく、こうしてかすれ声で叫んでいるミカに対しての嘲りを表すのでもなく。ただ一言、そういっただけだった。リアの態度が、ミカの神経を逆なでする。
「なにがふぅん、だ!人殺して楽しかっただとか、殺すつもりはなかっただとか、少しは弁解してみろよ!言い訳してみろよ!」
「…じゃあ、君はそういう言葉が欲しいの?」
「っ…そういうことじゃ、ないっ、けどっ…!」
ミカは妙にむしゃくしゃした。こうして自分がいくら思いをぶつけ、叫んでも相手の心にはまったく届いていない状況が、どうにも腹が立って、悲しかった。こんな無感情なやつに殺された父親のことを思うと悔しかった。
「…そうだよ、その時は無性に楽しかった」
「っ!?」
唐突に言われたリアの言葉に、ミカは小さく息をのんだ。
「始めは、ツカサ君が傷つけられて、それに対して自分でも制御できないほどの怒りに駆られて、ツカサ君を傷つけた男を殺した。でもね、“久々”に人を殺すことが無性に楽しくて快感だった。ガラスが割れるような音、人を切り裂く感触、舞い散るポリゴンの花弁…。気がついたら、理性が吹っ飛んでた…」
徐々に光を失っていく瞳を間近に見て、ミカは背中の産毛が逆立つような感覚を憶える。得体のしれないものに対する恐怖で喉が張り付き、結局口から出た言葉は、
「ば、化け物だ…!」
とっさに漏らしてしまったミカは、瞬間的に殺される、と思った。まだデュエルの制限時間が残っているので、リアがミカを殺すのは非情に容易なことだと思う。彼女なら一切の感情なく自分を殺せるだろう。
だが、ミカの予想を大きく裏切って、リアの口角は徐々に上がり、弧を描いた。
「大当たり」
真っすぐミカの瞳を見つめ、リアはそう言った。リアの笑みはミカが今まで見てきた女性の誰よりも冷たく、そして美しく、まさに冷艶で、魂を抜かれてしまう気がした。
リアはすっと立ち上がると、扉のほうに歩いていく。体が解放されたミカだったが、指一本動かせないでいた。
扉の外には誰かがいたようで、少しの間その人物と話していたが、やがてその人物だけが部屋の中に入り、リアは出て行ったようだった。
「ミカ…大丈夫か?」
床に倒れたままのミカのすぐ脇に屈みこむ一人の人間。逆光であまりよく顔が見えなかったが、はらりと頬に垂れるその黒髪は、忘れようもなかった。
「ツカサ…っ!え、と、これは…」
どうしたらよいかわからなくなり、ミカは途端におどおどし始めた。だが、ツカサは特に何の表情も変えなかった。ただ一言、
「リアのこと、許してやってほしい…」
「…え?」
静かだが、確かに重みのある声で言った。ミカはツカサの唐突の言葉がよく理解できず、呆然として目をしばたたかせる。
「リアが、君の父親を殺したこと」
「あぁ…」
やっと合点が行き、ミカは息を吐いた。
「…確かに、憎いよ、あの女のこと」
「っ…」
ツカサの顔が、少しだけ先ほどよりも影を帯びる。かまわずミカは続ける。
「だけど、ツカサにそういう顔をさせるほうが嫌だ」
ミカの言っている意味が分からないのか、ツカサは少しだけ首を傾げた。ミカはやっと体に力が戻ってきたことを確認すると、上半身だけ起こす。だが、ツカサの瞳は直視できずに目はそらした。
「私ね、ヘッドの命令でここに潜り込んだんだ。オールラウンダーがここの教会に出入りしてるっていう情報をつかんだから。それで、潜りやすいからって理由で、まだ子供の私が抜擢された。でも、私はその命令の本当の意味を知ってる。だって、私のレベルじゃ、絶対にあの女は殺せない。あの人は、私があの女に殺されることをわかっていかせた。…つまり、もう私は用済みってこと。まあ、父さんも死んだしね。確かに憎かったけど、別にこれで死ぬなら死ぬでよかった」
「でもね、軍の連中につかまったとき、ツカサが圧倒的な強さでやつらを蹴散らして、私を助け出してくれた時、ああ、やっと私は報われたんだって、少し思っちゃった。母さんから虐待されて、父さんが殺されて、そしてこれから死にに行く任務も。全部この瞬間のための試練じゃないかって思った。私にも、やっと白馬の王子様が現れたんだって。…だから、嬉しかった。最後に、少しだけでも幸せな気分を味合わせてもらったから。あの女の仲間だとしてもね」
長い説明を終え、ミカは深く息を吸った。決心を決め、ミカは目を上げ、ツカサの瞳をまっすぐに見る。
「すっごく好きだよ、ツカサ」
「っ…」
今度はツカサがミカの瞳を見ていられなくなり、目をそらした。今のツカサにとってあまりにも純粋で真っすぐな瞳は、見ているとその視線で目が焼けるようだ。
そんなツカサを見て、ミカはクスッと笑った。
「そんな顔しないで。私だってちゃんと立場をわきまえてる。…ツカサがあの女のことを誰よりも大切に思ってるってことぐらい、わかる。…そうでしょ?」
「…ああ…俺は、生涯隣にいるのは、リアだけだと思ってる…でも、君のことは…っ!」
「っ、やめてよっ!」
落ち着いて話していたミカがいきなり声を荒らげ、ツカサのミカに伸ばしかけた手がびくっと止まる。前髪の間から涙に潤んだ瞳が、わずかばかりの殺気をもってツカサをにらんでいた。
「やめてよ…切り捨てるなら切り捨てるではっきりして。それ以上の優しい言葉をかけないでよ。…じゃないと、また嬉しくなっちゃうじゃん…!」
「ッ………ミカ…」
ミカの瞳から盛り上がり、とどめきれなかった涙がミカの頬を伝う。ツカサは、触れることも、言葉をかけることもできず、ただミカの名を呼ぶことしかできなかった。だが、すぐにミカは濡れた顔で笑って見せた。
「だから、ね。最後に、お願いがあるんだ。…私を、ツカサの手で黒鉄宮に入れてほしい」
「っ!?ミカ、それは…!」
「どうせ、兄さんは私を厄介払いしたくて送り込んだんだ、戻ったって居場所なんてない。かといって、この教会にも…私はきっとここの人たちに害を与えるからいられない。それにね、いろいろ考えたいんだ。今までの自分のこと、父さんのこと、そしてこれからのこと。ゆっくり、一人で。」
「ミカは、本当に、それでいいのか?」
「…うん」
ツカサは、じっとミカの瞳を見つめていた。そして、やがてふっと、息を吐いた。
「…ミカがそこまで言うんなら、俺は君の意見を尊重するよ」
「ありがとう、ツカサ」
ミカは涙を払って、微笑んだ。ツカサはアイテムウィンドウを開き、回廊結晶を取り出すと、「コリドー、オープン」とつぶやく。すると2人の前には、まるでブラックホールのような穴が出現した。
ミカは腕で床を押してゆっくりと立ち上がった。そして、ゆっくりと穴の淵まで足を進める。
「ごめん、ツカサ。またお願いがあるんだけど、いい?」
「なに?」
ツカサに背を向けたままのミカの肩が上がり、大きく息を吸ったのがわかった。
「あの女…ううん、リアに伝えてほしい。あんたが必ずこの世界を終わりにしてって。私たちを、この牢獄から解放してって。…待ってるからって」
不意に、ミカはツカサを振り返る。と、ミカはいきなりいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「それと、今度現実で会ったときは、あんたよりも絶対いい女になって、ツカサを奪ってやるって」
「っ!?」
ツカサが目を白黒させている間に、ミカは勢いよく穴に飛び込んだ。
ツカサは、穴が消えて元の床に戻る瞬間まで、ミカの姿が消えた場所を見つめ続けていた。
―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―
すべてが終わり、ツカサが部屋を出ると、すぐ右側にはリアが壁に寄りかかって立っていた。
「どうなった?」
「…彼女が、自分から黒鉄宮に行くことを望んだから…その通りにした」
「、そうなんだ…」
リアは伏目がちで歯切れ悪く言った。
「ツカサ君は、兄さんがミカをここの教会に潜り込ませた理由は何だと思った?」
教会を出て、夜の始まりの街を歩きながら、前置きなくリアは訊いた。
「ミカは、リアに殺されるために送りこまれたって思ってるらしいけど、俺は…違うと思った。確かに今の兄さんはただの一般人を殺して回る殺人鬼だけど、根っこは変わってないと思う。あの兄さんがまだ年端もいかない、しかも親を失ったばかりの子供を死なせに行かせるはずはない。…たぶん、俺たちなら、ミカをそのまま教会にいさせることを選択すると思ったんじゃないか」
「私もおんなじこと思ってた。きっと、ミカには人情の厚い温かい場所で生きてほしいって思ったんだと思う。厄介払いしたかったら自分で殺すだろうしね。それに、私たちがミカを殺すだなんて、思うはずがないと思うし」
「…でも…」
ツカサはうつむきがちな姿勢で、つぶやくように言った。
「俺は兄さんの期待とは違うことを、してしまった。…ほんとに、これでよかったのかな…」
今のツカサの表情にあるのは、迷いと少しの後悔。リアはツカサの背中にそっと手を置いた。
「ミカが自分で臨んだことを、ツカサ君は尊重しただけだよ。それにね、ミカは強い子だから。どこへいったって、たとえ黒鉄宮に行ってもきっと強く生き抜くと思う」
「…そうだな、そうだといいな」
ツカサはそう言ってほほ笑み、リアの顔も自然にほころんだ。
「…ああ、そうだ。リアに、ミカから伝言があったんだ」
「ミカから?…どんなの?」
「リアがこの世界を終わりにするのを待ってるって」
「…そっか、わかった」
なんとなく、心が温かくなったような気がして、リアの顔には自分でも意識しない笑みが浮かぶ。
…だが
「あー、えーと、その、リア、まだ続きがあってだな…」
「ん?まだあるの?なに?」
視線があちこち動き、落ち着かないツカサ。リアはなんとなく嫌な感じがした。リアが返事をした後も、しばらくためらっていたが…
「物凄く言いにくいんだが…その、現実世界に戻ったら、リアよりもいい女になって、あー、その、お、俺を奪ってやるって…」
ツカサは確実に夜の冷気が3度下がったのを感じた。リアの湯気を立てた温かい微笑みが絶対零度の笑みまでズドンと下がる。
「あの小娘…今度会ったときは絶対駆逐してやる」
「ほどほどにしてくれよな…」
苦笑いを浮かべながら、ツカサはふっと空を仰ぐ。人工の星がきらめくのを見ながら、ツカサは一人の少女に心の中で語り掛けた。
また、会おうな、ミカ…
後書き
はい、いかがでしたが?切る場所がなくて、長くなってしまいましたが…
これで「将来の旦那さん⁉」終了!個人的には結構好きな話です。それにしてもミカの毒舌っぷりがw
さて、次回はもう一本オリジナルをやろうか、本編に戻ろうか悩んでいます。うーん、どうしよう…!そんなこんなですが、次回もお楽しみに!
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