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レーヴァティン

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第七十一話 南の港町その七

 それでだ、その金を得てというのだ。
「幅広く商売をやってな」
「大商人になっているか」
「今やセビーリア一らしいな」
「それは凄いな」
「まだ若い娘らしいがな」
「若い娘、な」
「これで察したついたよな」
 正は久志の顔色が変わったのを見て彼に問い返した。
「そうだな」
「ああ、まさにそいつがな」
「十一人目だな」
「間違いないな、今度は大商人か」
「そうだな、凄い奴みたいだな」
「わかった、じゃあ明日にでもな」
 早速とだ、久志は言った。
「そいつに会いに行くか」
「そうするな」
「皆もそれでいいよな」
 久志は正と話をした後で他の面々を見てそのうえで問うた。
「明日そいつのところに行くぜ」
「いいかと」
「じゃあ明日ね」
「行こうな」
「そうしましょう」
 それぞれの声で答えた、こうしてだった。
 一行は明日にその大商人のところに行くことにした、このことを決めてからだった。久志は一同にあらためて言った。
「それで今食ってるな」
「パエリアね」
 留奈が応えた。
「この魚介類の」
「ああ、これ美味いな」
 こう言うのだった、見ればパエリアの中には貝に烏賊にトマトにパプリカ、そして半分に切ったオマール海老があった。
 そのオマール海老を両手に持って食べつつだ、久志は言ったのだ。
「オマール海老な」
「そこでロブスターって言わないのね」
「どっちでも一緒だけれどな」
「それでよね」
「ああ、俺はこう呼ぶんだよ」
「オマール海老って」
「まあどっちでもいいけれどな」
 どちらにしても同じ種類だというのだ。
「この海老も美味いよな」
「そうね、私もこの海老好きよ」
「美味いからだな」
「ザリガニに似てるけれどね」
「というかそっくりだな、けれどザリガニもな」
「ああ、あれも美味しいわね」
「食ったころあるんだな、そっちも」
 ザリガニもとだ、久志は留美に返した。
「そうなんだな」
「まあね、泥を抜いたらね」
 そうすればとだ、留美もそのオマール海老パエリアの中にありトマトと香草で味付けされたそれを食べつつ言った。
「美味しいわよ」
「泥か」
「そう、泥をね」
「あれが問題にしてもか」
「それさえ抜いて調理したら」
 それでというのだ。
「いけるのよ」
「ザリガニの方もなんだな」
「そうよ、まあオマール海老の方が美味しいけれど」
「伊勢海老に似てるね」
 ここでこう言ったのは淳二だった。
「オマール海老の味って」
「同じ海老だしな」
「うん、こっちはハサミがあるけれどね」
「同じ海老だけあってな」
「味かなり似てるよね」
「確かにな」
「こっちはあまり生で食べないみたいだけれど」
 そうした料理は少ないというのだ、オマール海老の方は。 
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