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レーヴァティン

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第七十話 セビーリアに向かいその五

「哲学書には抵抗があっても」
「それでもか」
「はい、宗派ごとの違いは理解出来ているので」
「問題はないか」
「神学書を読まなくても」
 哲学の類には拒否反応がある彼でもというのだ。
「特にです」
「問題はないか」
「はい、それはです」
「俺もか」
「神学書まで読まれるとは」
「いや、暇だからな」
 それでというのだ。
「たまたま読んでるだけなんだよ」
「そうですか」
「ああ、俺も別にな」
「神学については」
「哲学もな」
 そうした学問はというのだ。
「あまりな」
「興味はないですか」
「鍛錬ばかりでもな」
「そして飲んでばかりでも」
「飽きるからな」
 そうしたものばかりしていると、というのだ。
「だからこうしてな」
「哲学の書もですか」
「読んでるんだよ」
「そうですか」
「暇潰しだよ」
 それで読んでいるとだ、久志は順一に言った。
「本当にな」
「そうですか」
「本も他のがあったらな」
 哲学のもの以外のものがというのだ。
「そっちを読んでるさ」
「そうですか」
「ああ、こうした本しかないからな」
「他に読むものがなくて」
「読んでるんだよ」
「そうですか」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「こうして読んでるとな」
 哲学の書もというのだ。
「勉強にはなるな」
「学問ですね」
「ああ、それにはなるな」
「哲学、この場合は神学ですが」
「神学は俺達の世界の欧州だとあれだよな」
 久志は順一に考える顔になって話した。
「あらゆる学問の基礎でな」
「まさにあちらの学問の根であり幹です」
「そこまでのもので」
「はい、まさに他の学問はです」
「神学から派生したものか」
「枝です」
 神学を根とし幹とするならというのだ。
「それぞれが巨大でもです」
「幹なんだな」
「独立していません」
「まさに神学からか」
「その哲学もそうであり」
「社会学や文学、法学もか」
「医学にも科学にも影響を及ぼしています」
 理系の学問にもというのだ。
「ですから」
「相当に大きいよな」
「それだけの位置にあります」
「何か教皇で三つの博士号持ってる人とかいたよな」
「アレクサンドル六世ですか」
 三つの博士号を持っていたローマ教皇と聞いてだ、順一はすぐにこの名前を出した。 
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