空に星が輝く様に
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96部分:第八話 ファーストデートその四
第八話 ファーストデートその四
「コナン=ドイルが好きです」
こう述べるのだった。
「シャーロック=ホームズいいですよ」
「ああ、ホームズ確かにいいよな」
「そうですよね、斉宮君もホームズ読まれてたんですか」
「好きだしな」
実際にそうだというのであった。
「アニメも映画もあったし」
「はい、それもですか」
「女の人のホームズも凄かったけれど」
その話もした。
「映画であったんだよな」
「女の人のホームズですか」
「ああ、知らなかったんだそれは」
「はい、ちょっと」
首を傾げさせながら述べる月美だった。実際にそうなのがわかる。
「面白そうですね」
「面白いよ。あと俺さ」
「はい、何が」
「推理小説もいいけれど最近ホラーも好きなんだよな」
そちらもだというのである。
「そうした小説もさ」
「ホラーもですか」
「あの、ポーあるじゃない」
「エドガー=アラン=ポーですね」
月美はポーと聞いてすぐにフルネームを出した。アメリカの作家であり詩人でもある。推理小説を最初に書いた人物としても有名である。
「私もあの人の作品は」
「ああ、これこれ」
陽太郎は早速本棚からポーの小説を見つけた。
「これだよね。モルグ街の殺人だよね」
「それ凄い作品ですよね」
「動物が犯人ってないよな」
「本当に最初ですから」
「だよな。後は」
言いながらポーのコーナーをさらに見ていく。そうしてまた見つけたのは。
アッシャー家の崩壊だった。それも見つけたのである。
「これって怖かったんだよ」
「斉宮君って前からポー読まれていたんですね」
「いや、最近になってなんだよ」
「最近なんですか」
「ほら、西堀が色々と本を勧めてくれたじゃない」
「最初の頃ですか」
「その時に読んだんだよ」
そうだったというのである。
「ポーもさ」
「その時ですか」
「俺読むの早くて一日で二冊読めるんだ」
「それって凄いですよ」
「凄いんだ」
「はい、とても」
尊敬とまではいかないが羨む様な言葉だった。
「一日に二冊って。私一冊でやっとですし」
「こういうのは個人差だったんだろうね。それで何買うのかな」
「ええと、そうですね」
ここでだった。月美はドイルとポーを一冊ずつ手に取った。合わせて二冊だった。
「これだけです」
「じゃあ俺はこれにしようかな」
陽太郎は三冊買った。どれもドイルであった。
「じゃあ行こうか」
「はい、カウンターに」
「そうですね。それでは」
こう話してだった。二人でカウンターに向かいそうして買ったのであった。
本を買ってからだった。二人は店を出た。そのままデートは続く。
商店街のアーケードの中を進む。アーケードはかなり長く先も見えない。月美は左右に店が立ち並び人々も行き交うその中を進みながら陽太郎に言ってきた。
「ここいいですよね」
「気に入ってるんだ」
「はい、何度か来ていますけれど」
微笑みながらの言葉だった。
「やっぱり何度来てもいいですよね」
「そうだよね。俺もさ」
「斉宮君も?」
「時々ここに来るんだ」
彼もまた微笑んでいた。そのうえで月美に対して言ってみせたのである。
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