空に星が輝く様に
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91部分:第七話 二人の仲その十六
第七話 二人の仲その十六
何とか言う機会を狙っていたが今だった。それで言ったのであった。
「今度の休みだけれど」
「今度の」
「そう、日曜バスケ部オフなんだ」
「ああ、俺のところもだよ」
「あっ、そうなの」
星華はそれを聞いてすぐに笑顔になった。実に明るい顔である。
「あんたもなの」
「そうなんだ。何か久し振りでさ」
「じゃあ丁度いいわね」
うっかりと自分の考えを言ってしまった。しかし幸いにして陽太郎はそれに気付かないまま。そのままで星華の言葉を聞くのだった。
「あの、よかったら」
「ああ、よかったら」
「街行かない?灘の方に」
「あっ、悪い」
しかしだった。陽太郎はここで言ってきたのだった。
「その日な」
「何かあるの?」
「約束があった。今思い出した」
「約束って」
「だからな。そっちには行けないんだよ」
「そうなの」
そう言われた星華はだ。がっかりした顔になった。そのうえで顔を俯けてだ。溜息まで出してしまいそうして言葉を出すのであった。
「折角って思ったのに」
「本当に悪いな」
「いいわ」
こう言うしかなかった。
「仕方ないわよね。先約があるのなら」
「またな」
「ええ、またね」
そしてこう答えた。
「また機会があればね」
「誘ってくれよ。それじゃあな」
「ええ、またね」
こんな話をして別れた学校のある日のことだった。もう六月に入り衣替えの季節ともなっている。時間は確実に進んでいた。
陽太郎は自分の教室に戻った。するとそこに狭山と津島が笑顔で来た。自分の席に座った彼に対してすぐに声をかけてきた。
「なあ、あの店行ったか?」
「それはどうなの?」
「ああ、まだなんだよ」
こう答える陽太郎だった。二人に顔を向けてだ。
「今度行くけれどな」
「今度かよ」
「今度の日曜?」
「その日休みでさ。行くんだよ」
こう話すのだった。
「平日中々休みなくてさ」
「そうか。じゃあ仕方ないよな」
「その日にね。そういうことね」
「ああ、二人で行って来る」
彼一人ではなかった。今確かに二人と言った。それは確実だった。
「西堀とな」
「いいんじゃないのか?それでな」
「そうよね」
狭山と津島もそれを聞いて満足した声で述べた。
「俺達はもう行って来たぜ」
「やっぱり美味しかったわよ」
笑顔で言う二人だった。
「いや、こいつの親戚の店っていうからよ」
「何よ」
狭山は笑顔で自分の右にいる津島を指差し津島は横目で狭山に返す。
「期待していなかったんだけれどよ」
「期待しなさいっての」
相変わらず仲がいい程、の二人だった。
「そこは無理にでもね」
「期待できるかよ。糞まずいって思うのが自然だろ」
「それでどうだったのよ」
「美味かったけれどな」
狭山も味については素直だった。
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