空に星が輝く様に
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82部分:第七話 二人の仲その七
第七話 二人の仲その七
「普通に」
「それは普通じゃねえからな」
「絶対にね」
二人は彼女に対しても突っ込みを入れることになった。やはり目は点になっている。
「その小さな身体でな」
「何処に入るのよ」
「小さいのは余計」
クレームをつけるのはそこだった。
「それは関係ない」
「いや、関係あるだろ」
「そうよね」
また返す二人だった。目はそのままだ。
「どう見てもな」
「それは」
「お父さんもお母さんも飲める」
椎名はここでこうしたことも言った。
「それで私も」
「遺伝か、つまりは」
「そういうことなのね」
「そう、遺伝」
「僕は身体が大きいから」
そして赤瀬も言う。
「だからだろうね」
「御前はな。もうレスラー並だからな」
「っていうか柔道やってなかったらレスラーか力士でしょ」
「うん、そうだろうね」
赤瀬自身それを認める。とにかく異様なまでに大きい。
「そういうのも好きだし」
「これで酔って暴れたらどうなるかだよな」
「恐ろしいことになりそうだけれど」
「酔ったレスラーは台風」
椎名はここでぽつりと述べた。
「もうどうしようもない」
「何でそんなの知ってるんだよ」
「椎名って謎多いわね」
「うふふ」
今度は二人の言葉に思わせぶりな微笑みで返してみせた。
「私は何でも知っている」
「だからその言葉は怖いっての」
「そうよ」
すぐに言い返す二人だった。
「確かに成績もいいしな」
「クラスで一番だし」
「目指すは八条大学医学部」
ついでに希望の進学先まで話す。
「お医者さんになる」
「マッドサイエンティストだな」
「それしかないわね」
そう思ったのは二人だけではなかった。
陽太郎もだ。これまで大人しかったが今の椎名の言葉に再び口を開いて彼女に顔を向けてそのうえでこんなことを言うのであった。
「死神博士の後継者になるのかよ」
「東映の特撮大好き」
しかも否定しない。
「人類の歴史を変えたい」
「変えるっていっても破滅はさせないよな」
彼が問うのはこのことだった。
「それは止めてくれよ」
「そのつもりはないから」
それはないのだという。
「安心していい」
「だったらいいけれどな」
「けれどサイボーグやアンドロイドは好き」
しかしこんなことは言うのだった。
「それもかなり」
「サイボーグとかアンドロイドは医者の話だったか?」
陽太郎は今の椎名の言葉に首を捻って呟いた。
「理学とか工学じゃなかったっけ」
「じゃあそっちも勉強する」
あっさりと言う椎名だった。
「それだったら」
「そうか。まあ頑張ってくれ」
陽太郎もそんな椎名にもうこう言うしかなかった。
「それじゃあな」
「うん、そうする」
こんな話をしながら今は昼食を食べていた。そして食べ終わりそれぞれパンを買ってだ。中庭に行く。そのベンチの一つに月美がいた。彼女は今パンを食べようとしていたところだった。
その月美にだ。椎名が最初に声をかけた。
「つきぴー、一緒に食べよう」
「あっ、愛ちゃん」
月美も彼女の声に応えて顔をあげる。
「今からなのね」
「うん、今からパンを食べる」
「もうその前に食堂で食ってるんだけれどな」
「ちゃんとね」
椎名の後ろから狭山と津島が明るく言ってきた。
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