【完結】猫娘と化した緑谷出久
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猫娘と強化合宿編
NO.071 合宿二日目からが本番だ
前書き
更新します。
…………―――合宿二日目
AM5:30にA組の一同はB組の生徒達よりも早く訓練場の空き地エリアへと集合していた。
まだ時間も時間な為に、そして昨日も昨日で散々だったために疲れが抜けていないA組一同。
まだ眠いために目をこすったり欠伸をする生徒が多く見られる。
そんな一同の前で、しかし相澤はいつもと変わらずにこの言葉を発する。
「諸君、お早う。いい朝だな」
「「「…………」」」
いい朝どころの問題ではない。
この男の睡眠時間はどうなっているんだ?
一同も実のところ、起き抜けにさっさと短い時間で朝食を腹に納めてきたために体がまだ正常に動いていないので多少の胃もたれ感も感じているために動きも鈍い。
そんな中で、
「では、本日から本格的に強化合宿を始めていこうと思う。昨日のあれが如何に生易しかったかと感じるほどには鍛えていくぞ。覚悟しておけ。そしてこの合宿の目的は言うまでもないが、全員の個性の強化及び仮免の取得に向けてのものだ」
仮免……その言葉を、響きを聞いて一気に全員の眠気が消えて逆に力が漲ってくる気がしたのはきっと気のせいではない。
全員の表情を相澤は見つつ続ける。
「いい表情だ。もう体験したから分かると思うが、具体的になりつつある敵意に備え立ち向かうための準備段階が今回の目的だ。だからと言って仮免は言ってしまえばただの通過点でしかない……だが、お前らはまだその通過点すら潜り抜けれるかも怪しいのが現状だ……分かりやすく感じてもらうために……爆豪」
相澤はそう言っていつぞやの体力テストで使った球体を爆豪へと投げる。
キャッチした爆豪は「なんで俺に……?」と数瞬だが考えた。
「なぁ、先生よ……これを俺に出したってことはまた体力測定みたいなことをするんだろうと思うけどよ。なんで俺なんだ?」
「ほう……その理由は?」
「いやよ。それならデクでもよかったんじゃねーか? 認めたくはねぇが一応は主席であの時のトップだったんだからな」
「まぁ、それは一理ある。だが、あの時と今の緑谷は決定的に差が出来てしまっている。緑谷の秘密を知っているお前達なら分かっていると思うが、体力テストの時の緑谷は今ほど複数の個性をいくつも使えていたか……?」
そう言われて全員は考え込む。
確かにそうだ。
まだあの時は出久自身が把握していた個性は『猫の言葉を理解できる』『五感強化』『爪の伸縮自在』『爪の硬質化』『脚力強化』『身体強化・怪力』(+ワン・フォー・オール)のみだったのだ。
だが、今ではそれに加えて『叫ぶ事による衝撃波』『炎術』『変化』……。
そしてフォウとの接触により判明したサポート的な意味合いを持つ個性である『許容重量限界を無くす』。
フォウの力の根源である『生命力を奪う』『それに伴う自動回復』。
最後に超常黎明期に入り新たに取得した『与える』という個性。
…………それらすべてをオールマイトとフォウから受け継いだ出久は計13(14)個もの個性が使えるのだ。
だから、今となっては変化の個性で巨大な猫と化して、さらに増幅された力でボールを投げでもすればそれだけで体力テストの時の比ではなくなってしまう。
「緑谷は例外中の例外と言っても決して過言ではない。かと言って、無限大を叩き出している麗日も成長の伸びは確認は不可能だ。
だから爆豪だ。緑谷を例にしたら失礼だとは思うが他のみんなは緑谷みたいに個性が増えたり変化はしていない……だからあの時と同じ測定方法が適用される。こんなところか……分かったらさっさと投げてみろ。時間は有限だからな」
「お、おう……」
そう捲し立てられて爆豪は分かったような分からないような微妙な気分を味わいながらもボールを投げる準備をする。
「ちなみに、入学当時の体力テストでの爆豪の記録は705.2m……果たしてどれだけ伸びているかな……?」
そう言いつつ笑みを浮かべる相澤。
そんな相澤の表情を見た爆豪はいっちょ驚かしてやるかという意気込みを抱く。
それで聞いていた他の一同もようやく理解が追い付いてきたのか各自で話し始める。
「……なんとなく緑谷はダメだって事は分かったけど、つまり……成長具合の確認か!」
「そうだよねー。この三か月は色々濃かったからね!」
「いったれバクゴー!」
「800mくらい出してみろ!」
「いや、さすがにそれは無茶ぶりが過ぎるだろう……」
「かっちゃん、頑張れー!」
それぞれの声援を受けて爆豪は力を手に集めていく。
特に最後の出久の応援がさらに爆豪の気持ちを高ぶらせた。
スタンバイが終わり、爆豪選手、腰をひねり腕を大きく振りかぶって……、
「よっこらせっと……くたばれぇぇぇぇぇッ!!!!」
渾身の力を込めて投げました!
全員は爆豪の『くたばれ!』発言に思う事はあるだろうが、それでもこれでこそ爆豪だという感じでいつも通りに受け流していた。
爆破の個性も相まって投げられたボールはどんどんと飛距離を伸ばしていく。
数秒経った頃合いでボールはどこかに落ちたのだろう。
相澤の持っている測定器からピピッ!と音が鳴った。
果たしてその結果は?
「ふむ……諸君、期待していたところ気持ちを落とすようで残念ではあるが……測定された結果は“709.6m”だ」
「あれ……? 思ったより……?」
「伸びて、ない……?」
ざわざわと騒ぎ始める一同。
それは投げた本人である爆豪自身が感じているはずだ。
雄英高校に入ってここまで様々な困難や訓練も重ねてきた。
雄英体育祭でも準備の段階で爆豪は必死に訓練を重ねてきたのだ。
だからさぞや記録も伸びている事だろうと自負していたところ、一気に出鼻を挫かれた思いで、その表情は不満と困惑が綯い交ぜとなって唖然となってしまっていた。
「雄英に入学して三か月間弱……様々な経験を君たちは積んで成長を果たしてきている。だが、それはあくまで精神面や技術によるところによるものであり、あとは多少の体力的な成長が主なものだった……」
それを聞いた一同は考えてみればそうだと思わざるえない。
入学からここまでやってきたのは主に演習や救助などがメインの訓練。後はメンタルや知識を鍛えるために一般教養だけだったのだ。
あくまでも学校という部分を逸脱できていない以上は鍛えられるところも限定的だろう。
だが、そう考えてしまえば如何に出久がチート体質になりつつある事か……。
『許容重量限界を無くす』という個性柄、鍛えれば鍛えるほど強くもなるし限界も見えない成長を見込めるのだから。
それはともかく……。
「“個性”そのものは今見てもらった通りにそこまでの成長はしていない。だからな……これから強化合宿が終わるまで諸君らには“個性”のさらなる飛躍によって伸ばしてもらう」
「“個性”のさらなる飛躍……」
相澤はあくどい笑みをその頬に刻みながらも、
「これから行う訓練は死ぬほどキツイと思う、がそんな事を言っていたら我が校の校訓は体現できないぞ……? 我が校の校訓を今一度思い出せ……」
―――更に向こうへ!”Plus Ultra”!!―――
それを思い出して数名の生徒の目に火が宿る。
逆に峰田のようなものは怯え腰になりそうでもあったが……峰田に関しては昨夜の女湯覗き未遂でもろに校訓を汚してしまっていたために表情を引き攣らせていた。
「分かったみたいだな。最後に一言……くれぐれも死なないように」
最後に全員の不安を煽っていく相澤のスタイル……嫌いじゃないわ!!
それで尚の事全員はこれからやるであろう訓練内容に色々な思いを馳せていった。
個性を伸ばす……。一体どうやれば伸ばせるのか……?
その後にワイプシの面々が姿を現して、ラグドールによるそれぞれの個性を伸ばす訓練内容を言い渡されて、思った通りに表情を引き攣らせたとか……。
後書き
原作でもたった4ページのシーンなのだけど、アレンジを加えていったら物は書きようで意外と文字数が稼げたな。
いい感じに次回はB組から導入できそう。
問題は出久の訓練内容をどうするかだが、なんとなくだけどもう思い浮かんでいたり……。
それと別件ですけど、最新刊20巻の61ページに前は気づかなかったんですけど、猫娘がいた。
この個性社会でさすがにコスプレではないでしょうから、いるのでしょうね。
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