仮面ライダーディロード~MASKED RIDER DELOAD~
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序章~全ての始まり、守護者の刃~
第3章 激闘!ディエンド編
第48話『誇りの国-lost pride-』
前書き
今回の話は、完全にオリジナルの話です。
一面の砂漠を、一台のモトラド(注:モトラドは二輪車。空を飛ばないものだけを指す。)が走っていました。
「ねえ、キノ。」
モトラドは運転手である十代半ばの少女に話しかけます。
「なんだい、エルメス?」
キノと呼ばれた少女はモトラドに質問します。
「あの商人の話、本当かな?この道を真っ直ぐ行った先にとても誇りを大切にしている国があるなんて。」
「ボクも少し疑ってはいる。でも、そろそろ食糧も尽きてきたし、エルメスの燃料も補給したい。ボクにとっては、少しの情報も大切だから。それとも、エルメスは置き去りにされたいの?」
キノはエルメスの質問に答えます。
「それは勘弁だね。」
「だから、ボクはその話を信じて向かってみるよ。」
キノとエルメスは砂漠を真っ直ぐ進みます。
「海東、この世界はお前の好きには絶対させない…」
この世界に着いた雅は決意を固めるようにつぶやきました。
「今まではそんなこと言わなかったのに、どうしたの雅?」
そんな雅にフェイトは質問します。
「この世界『キノの旅-the beautiful world-』は、かつて僕を救ってくれた─そんな世界なんだ。」
「それで、ここはどんな世界なの?」
雅は質問に答え、フェイトは更に質問します。
「この世界は、キノっていう名前の少女が、エルメスと名づけられたバイクに乗って色々な国を旅している色々な考え方を知る世界なんだ。」
雅は心が弾むように話す。
「雅、すごく幸せそう。一体どうして、雅はこの世界に救われたの?」
「これはまだ、僕がディロードになる前の話になる。僕が色々な目にあっていたことは、知っているよね?」
「うん。」
「あの頃の僕は、ただ怯えて隠れて、逃げることしか出来なかった。時には、その命を終わらせようと思った時もあった。」
「そんな…」
「大丈夫。だって今、こうやってフェイト、圭一、梨花、沙都子と一緒にいたいって思えるから。そう、あの日も図書室に逃げていた。図書室に逃げれば、奴らは何も出来ないから。いつものように、図書室で本を探していた時に、僕は一冊の本を見つけたんだ。」
「それが、この世界…」
「そう。表紙を一目見て、僕は咄嗟に取り、その本『キノの旅-the beautiful world-』を借りて、読み耽っていた。僕はこの世界に励まされて、生きる道を選んだんだ。だから、僕の命と心を救ってくれたこの世界は、僕の手で守りたいんだ。」
「辛いことを、教えてくれてありがとう。それなら、雅が一人で行って。私達は応援しているから。」
「フェイト…」
「俺も、応援しています。」
「私もよ。頑張りなさい、雅。」
「私もですわ。」
「圭一、梨花、それに沙都子も…ありがとう。行って来る。」
雅はそう言うと出て行き、マシンディローダーに乗って砂漠を進みます。
キノが砂漠を進んでいると、バイクに乗った一人の旅人に出会います。雅でした。
「旅人さん、待って下さい!」
雅の声に反応して、キノは止まります。
「どうしました?」
「この先にあると聞いた、誇りを大切にしている国について、聴きたくて。」
「そうでしたか。実はボクも、この道を真っ直ぐとしか知りません。」
「そうですか。それなら、目指している国は同じようですし、一緒に行きませんか?」
雅は提案します。
「そうですね。目は二人分あるにこしたことはありません。解りました。エルメス、問題ないよね?」
「別にいいけれど、お兄さんのモトラド、なかなか喋らないね。」
「ええ、こいつには人格が搭載されていないので、専ら運転しかできません。」
「そうなんだ。」
雅はキノの一緒に道を進むことにしました。
「もしかして、あれって城壁ではないでしょうか?」
しばらく走ると、雅がコンクリートで出来た壁を発見しました。
「どうやら、あれが話に聞いていた国のようですね。」
雅とキノは入国に向けて走ります。そして、1時間ほどで国に着きました。
「貴方達、旅のお方でしょうか?」
城壁の入り口で門番が訪ねます。
「はい、そうですが。」
門番の質問にキノは答えます。
「では、入国の手続きをお願いします。」
門番に書類を渡され、雅とキノはそれぞれ名前、入国目的、滞在期間の記入をし、入国します。
「旅人さん達、運がいいね!今、丁度お祭りをしていてね、きっと楽しめるよ!」
「ありがとうございます。それでは行きましょう。僕は雅。旅人さんの名前は?」
雅はあくまでも初対面のように接します。
「ボクの名前はキノ。こちらは相棒のエルメス。」
「どうも。」
「キノさんにエルメスさんですね。ここで出会えたのも何かの縁ですし、お祭り、一緒に見て回りませんか?お祭りなら、何か珍しい料理もあるかも知れません。」
雅は提案します。
「…解りました。大丈夫ですよ、ミヤビさん。」
キノは、疑いながらも雅の提案を受け入れ、国の中に入ります。
「…これは?一体…」
雅が驚くのも無理はありません。そこには、パレードのような光景が広がっていました。
「おっ、旅人さんだ!今日は、我が国が騎士道を世界に広めた日で、そのお祭りを開いているんだ!よかったらうちに寄るか?」
フランクフルトの屋台を開いている男性が雅とキノに話しかけます。
「では、お一つ。」
雅はフランクフルトを一つ買い、キノと一緒に歩きます。
「キノ、聞いていた話と全然違うね。」
「エルメス、ボクも言おうと思っていた。」
「キノさんとエルメスさんもですか?この光景を見る限り、とても騎士道とは関係無さそうに思えます。」
歩きながらキノ達は話しています。すると、
「旅人さん達!国王陛下が大変興味を示しておられる。明日の朝、お会い出来ますね?」
王族直属の兵士が呼び止めます。
「これは、一度行く方がいいかな?」
「国王陛下に会えば、この国のことが解るかも知れません。解りました。明日の朝ですね。それで、移動の手順は?」
キノと雅は意見を合わせ、雅が代表して兵士に聞きます。
「それは、旅人さん達が宿から我々の王城に来れば大丈夫です。それでは、お待ちしております。」
兵士は言う事を伝えると去ってしまいます。
「やはり、どうも騎士道を履き違えているみたいですね。」
「そうですね。とにかく、明日は朝一番で王城に行きましょう。それでは、お互いに宿を探しましょう。」
雅はキノと分かれて宿を探します。
「それにしても、本当に騎士道も誇りも感じられないな。」
雅は屋台のありとあらゆる所に張られた騎士道という文字を見て呟きました。
夕方になり、雅は漸く宿を発見して、宿泊の予約を入れます。しかし、
「相部屋ですか?」
「はい。現在、旅人さんが入れる部屋はこの部屋しかありません。」
部屋の話で問題が起きましたが、
「解りました。長期滞在しないので、その相部屋で大丈夫です。」
雅は折れ、受け入れました。
「それでは、こちらが鍵になります。」
チェッカーは雅に鍵を渡しました。
「ありがとうございます。」
雅は鍵を受け取ると、階段を上り指定された部屋に向かい、扉をノックします。
「すみません!受け付けの方に、相部屋になるようにと言われた者ですが。」
雅が声を掛けます。すると、
「ミヤビさんでしたか。この部屋は随分と広いので、大丈夫ですよ。」
中からキノが現れ、雅を部屋に入れます。
「どうも、この国の方は不親切で、独特の考え方を持っています。僕の知っている騎士道とは、何か違いますし…」
「とても、誇りを大切にしているように思えません。」
「そうです。とりあえず、長旅で疲れていますし、僕はお風呂に入ったらすぐに寝ます。」
雅はそう言うと、浴室に入ります。
二十分経ち、雅が出ると、キノが続くように浴室に入ります。
「エルメスさん、お休みなさい。」
「はいよー。」
雅は身近にいたエルメスに挨拶をして寝ます。
翌朝、雅が目を覚ますと、キノは既に起きていました。
「キノさん、お早う御座います。ッ!済みません!」
雅は朝の挨拶をしますが、薄手のシャツ一枚しか着ていないキノを見て、咄嗟に目を逸らします。
「お早う御座いますミヤビさん。どうかしましたか?」
キノは疑問に思いますが、
「お兄さんも、年頃の男の子って事。」
エルメスが代わりに答え、二人は身支度を整え、王城に向かいます。
王城に着くと、先日の兵士がいました。
「旅人さん、国王陛下がお待ちです。」
兵士は雅達を通します。
「よく来たな、旅の者達。なんでも、我が国に疑問を持っておるそうだが、特別にこの国の事を話してやろう。この国はかつて、キムトスという一人の若者がいた。その頃はまだ国が荒れていたが、キムトスが唱えた礼儀と誇りを大切にする、騎士道と後に呼ばれるものが国を平和にし、その騎士道と誇りは様々な国に語り継がれた。それを語る壁画が、これだ。」
国王は話すと、自身の後ろにあった壁画を見せます。
「へぇ~、これは大体今から75年くらい前に画かれた壁画だね。」
壁画を見てエルメスが言うと、
「エルメス、無礼なことは言わないで。」
キノがエルメスを叱ります。
「国王陛下、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。キノさん、エルメスさん、行きましょう。」
雅は国王に深々と礼をして、キノと一緒に王城から出て行きます。
「エルメス、さっきの話はどういうことだい?」
キノは質問します。
「画くのに使った画材の年代を調べたら大体それくらいの画材で、それくらいの年代に画かれたみたいだった。」
エルメスがキノに説明していると、
「誰か助けてくれ!」
昨日の男性が助けを求めていますが、誰も知らん振りをしています。そして、
「ようやく見つけたよ。」
そこには仮面ライダーディエンドがいました。
「海東!?」
「この世界のお宝、ハンドパースエイダー(注:パースエイダーは銃。この場合は拳銃)の『森の人』は僕、頂く。」
ディエンドは問答無用で乱射します。
「そんなこと、させない!」
【KAMEN RIDE-DELOAD-】
「変身!」
雅はディロードに変身します。
「シャナ、力を貸して!」
【SUMMON RIDE-SYANA-】
ディロードはカードの力でシャナを召喚して、息の合った連携でディエンドを攻撃し、変身を解除させます。
「参ったね。仕方がない。この世界のお宝も諦めるよ。」
海東は去ろうとします。
「待て!このまま世界を渡っていても埒があかない。次の世界、あなたの出身世界で決着をつけましょう!お互いの成そうとすることを賭けて!」
去ろうとする海東を雅は呼び止めて、ある提案をします。
「僕は構わないよ。君に邪魔されるのもそろそろ嫌だったしね。」
海東はそう言うと、次元のオーロラを通って自分の世界へ向かいます。
「身分を隠して申し訳ありません。」
変身を解除した雅はキノに近づきます。
「貴方は一体?」
先程の光景を見て警戒したキノはハンドパースエイダーのカノンを構えています。
「先程の男、海東は色々な宝を奪う悪党で、僕が追いかけている者です。キノさんの森の人も海東に狙われていると聞いて、用心の為にこのような行動をしていました。ところで…」
雅はキノに説明すると、国民の方を向きます。
「貴方達にはがっかりです!騎士道も誇りもない!何故あの時誰も奴の足止めをしようとしなかったのですか!」
雅は国民に話すと、マシンディローダーに乗って宿に向かいます。
「ミヤビさん、お話があります。」
相部屋であるため、キノが入ってきます。
「どれから話せば良いですか?」
雅が聞きます。すると、
「お兄さん?単刀直入に聞くけど、お兄さんってもしかして多次元世界出身?」
エルメスが真っ先に質問します。
「エルメス、どこを間違えているのか分からないんだけど。」
「キノ、どこも間違っていないよ。世界には、キノ達が存在している世界の他に、あり得る可能性の世界、ある事柄が起きなかった世界、これが起きた世界、様々な可能性とかがあるけど、それを大括りにして多次元世界って言うんだ。それで、どうなのお兄さん?」
「エルメスさんの推測通りです。あの海東も、僕と異なる多次元世界出身です。」
「やっぱり?通りであの時、あっちのお兄さんの出身世界って言っていたわけだ。」
「はい。それで、キノさんから質問は?」
「いえ、先程のエルメスの質問である程度の把握は出来ました。それで、カイトウさんが去りましたが、ミヤビさんは?」
「滞在期間はあと一日ありますので、それを消化しましたら。」
キノの質問に雅は答えます。
「そうですか。」
キノは一言言いますと、カノンの手入れを始めます。
翌日、雅とキノが外に出ますと、一昨日とは違うお祭りをしていました。
「これは…」
屋台には至る所に『ヒーロー』と書かれていました。
「もしかして…」
雅が呟くと、
「見つけました、旅人さん達!国王陛下がお呼びです!今すぐ来て下さい。」
兵士が現れ雅とキノに伝え、雅とキノは兵士に付いて行きます。
「よく来たな、旅の者達。ミヤビ殿の姿、ヒーローと呼ばれるものは我が国が発祥である。この壁画が、証拠でございます。」
国王は昨日の壁画を見せます。
「もういいです!予定を半日ほど切り上げて出国させていただきます。」
雅はそう言うと、そのまま出国手続きを進めて出国してしまいます。
「ボク達はもう少し観光して出国させていただきます。」
キノはそう言って国を周り、出国しました。
「お待ちしていました。」
キノが国を出ると、雅が待っていました。
「キノさん、僕と貴方はここでお別れです。その前に、このカードに願いを込めていただけますか?」
雅はキノに白紙のカードを渡します。そして、
「集え、世界の願い。」
雅はこの世界のワールドホープを完成させます。
【WORLD HOPE-KINO NO TABI-the beautiful world--】
雅はワールドホープを発動します。
「それでは、お互いの旅に幸運がありますように。」
雅は別れの言葉を言い、この世界から去りました。
「さて、次は正念場だ。海東と決着を着ける。」
雅が言うと、フェイト達は頷きます。雅が手に持つ絵巻には、ディエンドに刃を向ける仮面ライダーグレイブが描かれていました。
to be continued
次回、仮面ライダーディロード
ついにディエンドとの決着の時。雅達チームディロードはディケイドの真実にたどり着けるのか!次回『決着!ディロード対ディエンド』
後書き
新カード紹介
シャナ:炎髪灼眼の討ち手 シャナを召喚するカード
キノの旅-the beautiful world-(ワールドホープ):キノの世界のワールドホープ。お互いの旅に幸運が来ることを願う
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