空に星が輝く様に
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65部分:第六話 次第にその三
第六話 次第にその三
「お菓子大好きだから」
「えっ、あいつが食うってことは」
「早く食べないとあっという間になくなる」
まさにそうなるというのだった。
「何なら呼ぶけれど」
「だから食うって」
「俺の分もあるよな」
「あるから安心しなさい」
赤瀬の言葉を聞いて焦ったのは陽太郎だけではなかった。狭山もまたかなり焦っていた。無論クッキーがなくなるかも知れないからだ。
それで津島は。すぐにこう彼に言ったのである。
「ちゃんとね」
「よかった、あるのかよ」
「はい、これ」
「おっ、チョコレートか」
「あんた専門よ。どう?」
「悪いな。じゃあ早速」
「それにしても赤瀬ってクッキー好きなの」
津島もこのことを聞いて言った。顔も考える顔になっている。
「成程ね」
「とにかく何でも食べる」
椎名は彼をこう評する。
「それも山の様に」
「でかいからか」
狭山はそれがどうしてかすぐにわかった。
「それでなのか」
「そう。大きいから」
とにかくそれに尽きるのだった。
「しかも成長期だから」
「おい、まだでかくなってるのかよ」
今度言ったのは陽太郎だった。もう既に起き上がっている。
「本当に二メートルいくんじゃないのか?」
「大きいのはいいこと」
だが椎名はこう言う。
「強いし」
「そういえば黒帯なんだよな。柔道の」
「二段」
「流石だな。本当に強いんだな」
「私のボディーガード兼パートナー」
椎名の赤瀬を評する言葉は続く。
「そして盟友」
「盟友だったのかよ」
「頼りになる。その赤瀬がクッキー大好き」
「まあ今は俺が貰うから」
「はい、どうぞ」
津島が赤いリボンでラッピングしている袋を出してきた。その中にあるのが何か言うまでもなかった。それを早速食べはじめるのだった。
三組はそんな呑気な調子だった。至って平和だ。だが四組は。
「そう、ゴールデンウィークも部活?」
「部活漬けだったの」
「やっぱり」
「バスケ部も厳しいわよ」
星華は困った顔で三人に言う。自分の席に彼女達が集まっている。そのうえで話すのだった。
「それもかなりね」
「まあうちの女子バスケ部って強いしね」
「練習だってハードだしね」
「そうだよね」
こう話していくのだった。
「野球部とかラグビー部も強いけれどね」
「女子だとバスケとかバレー強いよね」
「そのバスケだし」
「まあおかげで充実した日々だったわ」
それはしっかりと言う。
「何か剣道部も見たし」
「ああ、剣道部ってあれよね」
「走ったばかりだよね」
「そうよね、あそこは」
「何か走ってばかりだったわね」
また言う星華だった。
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