ガンダムビルドファイターズボーイ
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第二十話 忍者対騎士
プラモ狂四郎へ向かう道にごついリストバンドを付けた香澄と天津の姿があった。
「ふんふ~ん♪」
『ご機嫌ね香澄』
「何か翼達に香澄が必要だからちょっときてくれ~って言われて~いや~何か照れますな~」
『どうせろくでもない事でも考えてんじゃないの』
ご機嫌な香澄をよそに考え込む天津。
そして建設途中の高層マンションの前を通りかかったその時、金髪のショートカットで長い筒のような袋をさげた少女がガラの悪い男たちに囲まれていた。
気にも止めずに素通りする香澄。
何故なら
(あの子・・・強いし)
香澄が通り過ぎると少女は周囲を見回し持っていた袋から・・・レイピアが姿を現した瞬間。
凄まじい衝撃が走った瞬間、男たちはパンツのみを残し気を失うのだった。
「##############」
何かを呟く少女だが上手く聞き取れない。
すると少女の頭上に位置していたクレーンが運んでいた無数の鉄骨がバランスを崩してしまい少女襲い掛かった。
少女が上を見上げたその時!!
「はあっ!!」
凄まじいジャンプで空中の鉄骨を全て安全な場所に叩き落とす香澄の姿が。
少女の前に着地する香澄。
すると少女は・・・
「・・・メルスィ」
そう言って何処かへと言ってしまうのだった。すると香澄は・・・
「あの子凄い方言で何言ってるかわかんなかった」
第二十話 忍者対騎士
プラモ狂四郎にて
「ふわ~・・・」
相変わらず暇そうにしている四郎の姿が・・・その横では・・・
両手に木刀持ってポーズをとらされる香澄の姿があった。
「こ・・・こう?」
たどたどしく二刀流の構えを取らされる香澄とカメラで撮影している翼と新之助。
実は近所のガンプラデザイナーが新しいガンプラの構想として武術をしている人の写真を募集していた為それに応募するべく忍術の心得のある香澄がモデルを務めることになったのだが・・・何故か宮本武蔵の二天一流のポーズをやらされるのだった。
「・・・呼び出しの理由はこれ・・・ていうかなんで二天一流?」
「そりゃ有名な武人と言えば宮本武蔵!その剣法といえば二天一流・・・って香澄何か決まんないぞ」
香澄に文句を言う新之助。
原因は明白
「ポーズが決まるわけないじゃん・・・大体私は二天一流なんて修行してないって」
いくら武芸の心得があってもにわか仕込みの構えでは気持ちを乗せられない香澄。
ガンダムボーイ達を微笑ましく見る四郎。
だが突然店のドアが開きボストンバッグと枕を持ったツバサとツバキの姿が・・・
「?・・・どしたの二人とも?」
「「しばらく置いてください!!」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
突然の宣言で目が・になる四郎。
取りあえず事情を聞くとサエグサ模型店での突然の出来事だった。
いつものように商売に精を出そうとするツバサとツバキだが・・・いきなり店長のミツキ
が・・・
「ツバキ・・・ツバサ・・・私は今日から二人の敵になるわ!」
「「はい?」」
「というわけで!出入り禁止ね♪」
とボストンバッグと枕を渡されて店から追い出されてしまったツバサとツバキ。
「「・・・??・・・??・・・えええええええええええええええええ!?」」
全然状況が理解できないのだった。
「心辺りは?」
説明が終了し四郎が心当たりを聞いてみるが二人とも身に覚えがないようである。ユアに相談したところプラモ狂四郎に空き部屋があるからという理由で呼び出されたのだった。
「まっ・・・娘が三人出来たと思えばいっか・・・けどミツキさん何で突然」
「そういえば光也さんが帰ってきたのが関係してるかもしれません」
「うん♪金髪の子連れてたよ♪」
頭を捻る四郎。
すると再びドアが開いた。
「どうも~」
「「「ミツキさん!」」」
噂の元になっているミツキの姿が・・・そしてその後ろにいたのは・・・
「光也!?」
「久しぶりだな・・・翼」
翼のライバル・響生光也の姿が・・・
そしてもう一人・・・
「・・・ボンジュール」
香澄が助けた(?)あの少女の姿が・・・
すると少女は香澄の姿を見るや否や鞘に納めたままのレイピアを構え香澄に襲い掛かった。
「ふぇ?」
咄嗟に木刀で少女の放った突きの軌道を変える香澄。
それがゴングとなり少女の攻撃が次々と襲い掛かるが木刀で受け止め続ける香澄だが勢い余って左手に持っていた木刀の柄を握り潰してしまい二刀流から一刀流に切り替えた。
そして少女の一閃が香澄の首筋を香澄の突きが少女の喉を捉える形で止まった。
するとミツキがパンっと手を叩き。
「はい!二人とも引き分け~真剣だったら確実に死んでたよ」
そう言って二人の得物を没収するミツキ。
それを見て居た翼と烈斗は・・・
「これ・・・ガンプラバトルの話だよね」
『話の方向性を見失う所だったぜ』
香澄と少女のリアルバトルに目を真ん丸にするのだった。
そして話が戻り・・・
「彼女はクロエ・シュバリエちゃん・・・光也君がヨーロッパで修行していた時にチームに入ってくれた子よ・・・因みにおフランスの子」
いきなり国際交流に驚くガンダムボーイ。
すると翼が・・・
「よし!新之助!行け!」
「なに!?なんで俺!?」
「この中で一番学校の成績良いだろ!!」
「小学生なんだけど・・・んんん!!」
意を決する新之助はクロエに近づき・・・
「ぼ!ぼんじゅうううる!」
超ぎこちないフランス語を話そうとする新之助だが・・・クロエは申し訳なさそうに・・・
「・・・ダイジョウブです・・・ニホンゴ話せますよ・・・皆さん好意をムゲにしていけませんので、いつキリダソウかと思ってました」
「「「良かったぁぁぁ」」」
「ガンダムとバイオマン観てオボエマシタ」
やや漢字変換に乏しいが取りあえず言葉が通じるという事で安心したガンダムボーイ。
「で?ミツキさんこの二人を連れてきた理由とツバサとツバキを追い出した理由は?」
「四郎さん・・・それはね」
どっから出したのかミュージックプレイヤーの再生ボタンを押しドラムロールが流れると・・・
「私!ミツキ・サエグサはこの子達の監督をやる事になりました!!」
「「「「ええええええええええええええええええええええ!?」」」」
思いっきり仰天する一同。
「じゃ・・・ボク達を追い出した理由って」
「勝負はフェアプレイでやらないと♪ツバサとツバキはガンダムボーイ側に入ってるからね~」
「いくらなんでも突然すぎです・・・それに完全に対決姿勢って」
「獅子は我が子を谷に突き落とすものなのよ・・・そして子供はいつかは親を乗り越えな(本心は?)この方が面白そうだから♪」
完全に悪ふざけで対決姿勢をとるミツキ。
「けどこういう過激なあいさつはちょっと・・・」
「ああクロエちゃんの家、剣術の名門の家なのよ」
「ハイ・・・香澄を見た瞬間・・・凄いハキを感じました・・・血がサワぎました」
国は違えど武芸を嗜む者同士に何か感じるものがあったようだ。
『私も興味あります』
クロエの持っている鞄の中から声がするとその姿を現すガンプラ。
「え?誰?」
『初めまして・・・私は騎士インパルス・・・』
香澄に丁寧にあいさつする騎士インパルスガンダム。
『スダ・ドアカワールドの騎士か』
『はい・・・私の親友です。天宮の武者頑駄無が着ていると聞き対決を楽しみにしていました』
騎士ストライク以外の騎士ガンダムをまじまじと見る烈斗。
すると騎士インパルスが・・・
『香澄さん・・・よろしければ手合せ願えますが・・・ガンプラバトルで・・・』
「はい?」
「インパルス・・・そうですね・・・ワタシも香澄と戦ってみたいです・・・」
騎士インパルスの提案にクロエも加わり
「そうね~クロエちゃんとインパルスのデータを取りたいし・・・香澄ちゃん相手なら二人の限界突破が見られそうだし」
ミツキも黒い笑みを浮かべながら香澄に詰め寄った。
「いや・・・ちょっとミツキさん」
「遠慮しないの~仮にもガンダムボーイのエースなんだから胸をかしてよ~」
「うううううう・・・はい」
ミツキの凄みに断れなくなってしまった香澄は天津と共にバトルフィールドに向かうが・・・
「!?」
クロエが何かに気づき香澄の袖と靴下をめくった。
そこには・・・
「何ですか?・・・ズイブンと重たそうなパワーリストとアンクルですね・・・」
「う~んざっくり見ても・・・両手50キロ両足50キロ・・・合わせて100キロ付けてるわね」
ミツキに装着重量を言い当てられ冷や汗を流す香澄。
そんな香澄にクロエは目を細め・・・
「あなたは・・・ワタシを舐めているのですか?」
「いや・・・そのこれには深ーい深ぁぁぁぁぁぁい訳があって・・・」
過去の回想
プラモ狂四郎のバトルフィールドでいつものように練習していた香澄・・・なのだが悲劇が起きた。
そもそものスペックが高いのか日々ガンプラバトルの腕前が上がり続ける香澄の超絶的な反応速度にバトルフィールドそのものが着いていけなくなってしまい・・・
ボン!!
壊れてしまった。
その後従来品では香澄のスペックに耐え切ることが出来ないため、プラモ狂四郎のバトルフィールドは知り合いのメカニックである楓の手により特別なチューンが施され香澄が本気を出しても壊れなくなったのだが・・・流石に大会のバトルフィールドそのものをカスタマイズするわけにもいかないので香澄のスペックを抑えるべく両手両足に重りを付ける事にしたのだった。
「バトルフィールド壊すって・・・どんだけスペック高いんだお前」
『信じられません』
香澄の身体能力に驚く光也と騎士ストライク。
「んま・・・香澄だし」
「ガンダムボーイのリーダーはお前じゃないのか?」
「確かにリーダーは俺みたいだけどエースは香澄だしブレインは新之助だし・・・」
「まぁ今の時代エースにリーダーやらせることに異議を唱えている人もいるしな」
翼の言い分に納得する光也だった。
そんなこんなでクロエのリクエストによりパワーリストとパワーアンクル外してバトルフィールドに立つ香澄。
「うわぁ・・・久しぶりに身体が軽くなった・・・」
『まぁ・・・取り外しがメンドくさいからって普段から付けっぱなしだったしね』
GPベースと天津をセットアップする香澄。
「インパルス」
『はい・・・彼女・・・強いですよ・・・これは本気を出さなければ勝てません』
「・・・ウィ」
100キロ装着した状態での香澄の体力を目の当たりにしたクロエは深呼吸しインパルスを構える。
「獅童香澄!武者天津頑駄無!!」
『はぁぁぁぁ・・・忍!』
忍びの構えを取る天津。
「行きます!!」
カタパルトから発射される天津はバトルフィールドに舞い降りた。
「えっと今回のフィールドは?」
どう見てもコロシアムのような場所で隠れるところなど皆無だった。
「あちゃーこれ逆に厄介かも~・・・天津・・・ステルスモードとか無いの?」
『こんな見え見えの場所でやったって意味ないよ』
「・・・あるんだ」
等と言っている間に砂塵が舞い凄まじい気が・・・
「はぁ!!」
「な!」
砂塵を切り裂き現れた騎士インパルスの一閃を避ける天津。
『大丈夫?香澄』
「これまともにやりあったらマズイかも・・・」
地面に騎士インパルスの一閃の跡が深くくっきりと残る。
「・・・ガンプラバトルはその程度ですか?」
あからさまなクロエの挑発
「・・・試してみるかぁぁぁ!!」
それならそれで乗ってやる香澄。
天津の忍刀と騎士インパルスの剣が交差し衝撃波が巻き起こると両者は距離を取った。
「何ちゅう一撃・・・」
『重かった』
「・・・ごめん天津・・・壊すかも」
『え?・・・うぎゃあああああああああああ!!!』
いきなりフルスロットルで突進させられた天津。
「・・・望むところ・・・!!」
『クロエ?・・・・うわああああああああああああああ!!!』
騎士インパルスもフルスロットルで突進させられる。
クロエの残像を発した突きを香澄は全て捌き懐に飛び込もうとするが、クロエは足に仕込まれていた剣を展開しそれを阻止するが、香澄はすり抜け様に足を掴み取りそのまま投げ飛ばす。
だがクロエは空中で体制を立て直し落下速度を利用した突き繰り出すが香澄は忍刀で刃を滑らせながら回避する。
香澄の拳圧が放たれるがクロエは剣で切り裂き負けじと魔法を放つが、香澄はその魔法を光速に近い無数の拳圧で相殺させる。
「なら!!」
クロエは騎士インパルスに二刀流の構えを取ると香澄も二刀流になった。
目にも留まらぬスピードで両者の剣が交差し続ける。
すると
ジジジ・・・
バトルフィールドにとても嫌な音が・・・
「嫌な予感」
「もしかして二人の操縦センスに耐えられなくなってるとか・・・」
翼と新之助の不安は・・・
「獅子!!咆哮ぅぅぅぅぅ!!螺旋!!!」
「エクスカリバー・・・クレセント・・・スマッシュ!!」
両者の必殺技がぶつかり合った時に的中した。
ジジジジ・・・ボカン!!!
バトルフィールドが爆発してしまった。
二人分のスペックに付いていけずに破壊されるのだった。
結果無効試合となってしまったのだった。
その後四郎は・・・
「う~ん・・・香澄のスペックが更に上がっちゃったのかな・・・」
「そう言えば普段からパワーリスト付けたままって言ってたし・・・クロエちゃんも身体能力超人的だし」
ミツキも加わり・・・
結論
「「バトルフィールドの新造するしかない」」
するとミツキが何故か黒電話を取り出しダイヤル回して・・・
「あ!もしもし~大会実行委員会ですか~?こうで~ごにょごにょ~ていうわけで~・・・へぇ~・・・そういう事言うんだ~あ!そういう事言うんだ~・・・え?ホント♪じゃ宜しく~」
といって電話を切るミツキ。
「バトルフィールド新造してくれるって♪」
サムズアップするミツキ。
「・・・ミツキさんどんな手を使ったの」
「そりゃ~文化的な話し合いの中に『世間話』を少々織り交ぜて」
それ以上は怖くて聞けないのでつっこまない事にした四郎だった。
そして天津とインパルスは・・・
『『ああ・・・あああ・・・あああああああああ』』
人間でいう筋肉痛のようになってしまい唸っていた。
「うわ・・・武者頑駄無と騎士ガンダムのパワーが宿ってなかったら一歩間違えたらガンプラがバラッバラになっちゃうような操縦だったな二人とも」
「・・・こりゃ・・・課題だな」
新之助の分析に頭を悩ます翼だった。
「まぁ!今日は挨拶という事で~あともう一人メンバーが必要だしいっそアロハ~でマハロな子でも連れてこようかしら」
「え?じゃミツキさん今度は・・・」
「ええ!それじゃこれからハワイに行くわよ~」
「え?今から!?日本帰って来たばかりなんだけど!」
ノリと勢いに任せたミツキの思いつきで急遽ハワイへ修行に行くことになってしまった光也たちは唸っている騎士インパルスを持って準備するとクロエが香澄に宣言。
「あなたをタオスのは・・・私ですから・・・」
「・・・え?」
いきなりライバル宣言されてしまった香澄にクロエは・・・
「ア ボンヌ(また会いましょう)・・・カスミ」
そう言い残していくのだった
のだが!!
「なんつったかわかんない!」
この後香澄は本屋さんに行ってフランス語辞典を買うのだった。
その夜プラモ狂四郎にて
四郎・ユア・ツバサそして呼び出されて楓とガンダムボーイの凄腕ビルダーたちが集まっていた。
「ええ!本日集まっていただいたのは他でもありません!今日の試合です」
ツバキが録画しておいた香澄対クロエの試合を流すと・・・
「うわぁ・・・」
「これは・・・」
無茶苦茶な動きを繰り出す香澄とクロエ。
それにより四郎が考えたのは・・・
「そろそろ・・・パワーアップを考えた方が良いような気がする・・・」
「確かに・・・少なくともマイナーチェンジはした方が良いかも」
ユアも賛成すると四郎が設計図を見せた。
「ここで作ろうと思うのは・・・プラモ狂四郎トレーニング用の機体として究極の運動性と柔軟性を追求したガンプラを作ろうと思います!」
「つまり・・・体操選手並みに動けてそれをお手本に烈斗達の中身を拡張させようって事ですか」
楓の質問にウンウンと頷く四郎。
「面白そう~っていうかお店どうするの?」
ツバサの質問に四郎が指差すと
『「ども♪」』
ツバキとAI姫子をハロ型端末に装着したヒメハロ。頭脳労働に特化したこの二人に店は任せることにしたらしい。
「それじゃ!がんばるぞ!!」
「「「おおおおお!!!」」」
こうしてビルダーたちのガンプラ制作開始されるのだった。
後書き
新之助
「いやはや・・・世間はハロウィンが終わった後・・・後片付けは大変だな~・・・ってマユちゃん何そのでかい石みたいなの・・・え?何か羽化した・・・て!怪獣じゃん!!
次回!ガンダムビルドファイターズボーイ! 小さな友達!
流石に怪獣は飼えないんじゃないの・・・」
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