空に星が輝く様に
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57部分:第五話 部活でその六
第五話 部活でその六
「うちの学校って制服多いけれどね」
「そのうちの一つだし」
「じゃあ間違いないわね」
「そうよね」
こうそれぞれ話していく。しかしであった。
三人は話しながらだ。目を細めさせてだ。月美だけでなく相手の男も見る。しかしそれでも相手が陽太郎だとはわからない。それは無理だった。
「何かしら、一体」
「あいつって」
「何年でどの組かしらね」
それはどうしてもわからなかった。しかし月美が男と一緒に歩いていることはそれぞれの頭の中にインプットした。そのうえで次の日教室でそのことを話すのだった。
「結局誰なんだろうね」
「そうよね。見てよ西堀」
「何さ、あれって」
その自分の席でいつも通り本を読んでいる月美を見て忌々しげに言うのだった。
「如何にも満足してます、充実してますって顔でね」
「そんな顔で本なんか読んで」
「ふざけないでよ」
「全くね」
「ちょっとあんた達」
そしてここで彼女達のところに星華が来た。そのうえで声をかけるのだった。
「何話してるのよ」
「あっ、星華ちゃん」
「おはよう」
「朝練終わったのね」
「今日も朝からハードだったわよ」
星華は少し笑って三人に応える。教壇のところの端に四人集まった形になった。そうしてあらためて四人になって話を再開するのだった。
「もうね。殆どダッシュで五キロ走るんだから」
「朝に五キロって結構じゃないの?」
「そうよね」
三人はその話を聞いて言う。
「女子でそれは」
「かなりなんじゃ」
「おまけに放課後も走るのよ」
星華はこのことも話した。
「もうね。走ってばっかりなのよ」
「それって陸上部みたいじゃない」
「まんまそれじゃない」
「走ってばっかりって」
「走るだけじゃなくてね」
星華は苦笑いを浮かべて三人にさらに話す。
「筋トレーニングも凄いしね」
「そんな部活なの」
「そこまで凄いのね」
「ええ。けれどね」
ここで星華の笑みが変わった。爽やかなものになる。
「強くなるって実感はあるわね」
「そこまで練習したらなのね」
「そういうことなのね」
「ええ、そういうこと」
練習すればそれだけ強くなる。そして自信もできる。そういうことだった。
「流石にそれだけのことはあるわ」
「そう。だったら」
「頑張ってね」
「うん、そうさせてもらうわ」
そんな話をしていた。だがここでふと橋口がさも嫌そうな顔で言うのだった。
「ねえ、見てよ」
「どうしたの?」
「何かあったの?」
「ほら、あいつ」
州脇と野上の言葉にも返す。こう言って月美を指差して言うのである。
「あいつよ。またああしてお澄まししてさ」
「うわ、本なんか読んで」
「如何にも勉強してますって感じよね」
「しかもその本がよ」
橋口はさらに言う。
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