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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百三十五話

千冬が発った翌日。

正午少し前。

「ふむ…」

一夏は自分の部屋の前の姿見でワンピースを着ていた。

星空のドレスだ。

「んー…」

もう橙は離れ、猫耳猫尻尾こそないが、その姿は並の女子よりもかわいらしい。

と、言うことを一夏は自覚していた。

「整った顔立ちではあるんだよなぁ…」

一夏には前世の記憶がある。

つまり、自身の容姿を他人として見る事ができる。

「ちょっと遊んでみるのもアリかな…」

開き直った今だからこそできる事だ。

一夏は一本結びにしていた髪をほどいた。

腰まである長髪がフワッと広がった。

「んー…。あ、GATEのロゥリィに似てるかも」

一夏は一本の杖を取り出した。

ソレに幻惑魔法をかけ、ハルバードに見せかける。

ソレをぶんぶんと振り回し、斬ッ! とキメポーズを取った。

「んー……なんか違う」

一夏は幻惑魔法を解除し、杖を仕舞った。

「パレード キャスト」

一夏はそう呟くと、右足を軸に一回転。

回る一夏の体が光に包まれる。

その光は形を成し、ウエディングドレスとなった。

「んー…似合わん」

ちょこん、といった擬音が似合うような体格の一夏がウエディングドレスを纏っても背伸びしているようにしか見えない。

「ディキャスト」

ウエディングドレスが光と消え、ソコには黒のワンピースが現れる。

「……………パレード キャスト」

再び回転する。

今度は西洋鎧だった。

マスク無しのフルプレート。

腰には長剣。

「……ダメだ。ディキャスト」

それも似合わず一夏は躊躇なくパレードを解いた。

「んー…ネットで調べるか」

一夏はホロウィンドウを開く。

橙を呼び出さず、視線ポインタでコスプレ衣装と打つ。

ロリ、と入力しないのは僅かながらの抵抗か、それとも無自覚か。

画像検索で表示された画像を興味深く見る。

「ふむ…パレード キャスト」

くるりと一回転して、光を纏う。

今度はチアコスだった。

「………?」

先ほどから一夏は疑問を覚えていた。

転生した自分の顔立ちが女性的かつ整っていることは自覚した。

容姿で遊ぼうと思ったが何故か似合わない…

そんな疑問に首を傾げていた。

再度くるりと周り、今度はセーラー服を纏う。

「んー…? なんだ?何がおかしいんだ?」

一夏は自分が写る姿見と画像検索の画面を見比べる。

くるりと一回転。今度は自分達の通う中学の制服だ。

「………?」

今度はそう違和感がなかった。

さらに一回転。

千石の通う中学の制服。

こちらも違和感がなく、一夏は首を傾げる。

「見慣れてるかどうかって事なのか…?」

じゃぁ試しにファイアーシスターズの通う中学の制服を、と一夏は一回転したが、何も起こらなかった。

スペルファンブル。

普通であれば如何なる魔法も一夏が失敗することはあり得ない。

そう普通なら。

例えばパレードの上からもう一枚パレードを被せられたりすれば、定義破綻を起こし、失敗する。

そして一夏以外にそんな器用な真似が出来るのは一人だけ。

一夏が恐る恐るドアの方を見ると…

ニヤニヤ×4。

箒、円香、リム、エレンが部屋を覗いていた。

「パレード キャスト」

箒の声が響き、一夏のワンピースがぶれる。

気付けば一夏は黒いドレスを着ていた。

フリフリのレース。モノクロなのに暖かみを感じさせる不思議さ。

黒の甘ロリであった。

「うむ。やはり一夏には『ロリィタファッション』が似合うな!」

それを聞いた一夏は何とも言えないそそる顔をした。

頬を赤く染め、羞恥のせいか目に涙を浮かべ、口を真一文字に閉じ、肩をぷるぷると振るわせる。

それはひどく…【虐めたくなる】表情だった。

「い、いつから見てた………?」

「お前がハルバードを振り回し始めた時から」

「最初からじゃねぇかクソが!」

箒がパレードを解き、その手に一着の服を量子展開する。

「ま!まて箒! ソレをどうするつもりだ!」

「くく、コスプレしたいのだろう?」

「や、ヤメロォー!」

箒が一夏に組み付き、星空のドレスに触れる。

抵抗する一夏を組み敷き、箒が無理矢理着替えさせる。

「うぅ……」

「これでよし」

白いヘッドドレス。

フリルのついたミニスカート。

エプロンのような前掛け。

フレンチメイドだ。

「あぅあぅあぅあぅ…………」

顔を真っ赤にした一夏がミニスカートの裾を押さえる。

「どうだ三人とも、似合っているだろう?」

「うん!一夏おねーちゃん可愛い!」

「お兄さん、綺麗です」

「お兄ちゃん可愛い! なんかゾクゾクする!」

円香の危険な発言はともかくとして、一夏の格好は異性同性問わず魅了する。

男ならばその恥じる仕草に劣情を覚えるだろう。

女ならばその愛らしさに保護欲をそそられるだろう。

「ぱ、パレード!」

「私が許すと思うか?」

一夏の姿が一瞬ぶれるが、パレードは発動しなかった。

「うぅぅぅ………」

調子に乗った箒はパレードで西洋甲冑を纏う。

片手で一夏を持ち上た。

恥じらう一夏の頤に手をやり、クイッと顔をあげさせる。

「一夏」

そうして、水音を響かせながら唇を貪る。

時折体を震わせる一夏だが、次第に大人しくなる。

箒が唇を離した時にはくたっとしていた。

「さて、では昼食にするか」

四人は束が昼食にするから一夏を呼んでくるよう言われていた。

「束お姉ちゃんって料理できるの?」

「ああ、普通に作れるぞ」

箒が一夏を抱き上げたままダイニングに戻ると、テーブル中央にザルに入った素麺と人数分の椀とめんつゆがおいてあった。

「お、いっ君のその格好どうしたの?」

束は一夏ではなく箒に尋ねた。

「一夏がコスプレしていたから無理矢理着せてみた。
似合っているだろう?」

「いっ君がくたっとしてるのは?」

「うむ。ちょっとキスをしてみたらやり過ぎてな」

「はー…。で箒ちゃんが甲冑姿なのは?」

「女騎士とメイドのカップリング、というのはどうだろうか?」

「うーん…なーちゃんってGL書いてたっけ?」

なーちゃん、というのは言うまでもなく千石撫子の事だ。

自分とは方向性の異なる撫子の創造力を、束は評価していた。

「いや、千石はNLとBLだけだった筈だ。
ふむ……試しにカンファレンスに書かせてみるのも面白いかもしれないな」

「女騎士とメイドじゃなくて女侍と女中の話なら確かアマテラスが書いてたけど?」

「後で読むとしよう」

「ソレは置いといてお昼にしようよ」

全員が席につく。

「じゃ、いただきます」

一夏が未だに無気力状態なので束が場を進める。

一夏は顔を赤くしてうつむいたまま素麺をすすっていた。

「いっ君、美味しい?」

「…………うん」

小さい口でもきゅもきゅと食べている姿を、ロリ三人組もじーっと見ていた。

「なんだよ…メイド服がそんなにおかしいかよ」

「おかしくはないですよお兄さん」

「……ありがと、リム」

「だきしめたいくらいです!」

「……そっか…うれしいよリム」

「私も一夏お姉ちゃん抱き締めたい!」

「リム、エレン、後で好きなだけ抱きついていいぞ。円香もな」

「おい、俺の意思はどうなるんだ」

「ん? 円香達が勉強を頑張ったご褒美だが?」

一夏は内心ガッデムと叫びたくなった。

一夏と束が食べ終わっても箒とロリsはまだ食べていた。

「よく入るな」

「私は基礎代謝だけでボクサー並みだからな。
円香達は……成人男性クラスだな」

「よく足りるな」

「平時は回さないよう心掛けている。
円香達は今の食事量で十分な筈だ」

「はぁー…。なーんで俺の周りってこう…俺より強くなろうって女子がおおいかなぁ…。
コレじゃ守る必要なくなっちゃうじゃん」

すると円香がドン! とテーブルを叩いた。

「守られるだけじゃやなの!お兄ちゃんに甘えてほしいの!」

「そうだよ! 一夏お姉ちゃんはかわいいんだから守りたいの!」

「可愛いは守るべきもの、です!」

「何の話だよ…」

一夏が訳がわからない、といった顔をする。

「お前に甘えて貰える千冬さんが羨ましいんだそうだ」

「ふーん……。いやまて俺そんなに姉さんに甘えてたか?」

「「「「「うん!」」」」」

一夏以外の全員が頷いた。

「あー…そう。歯ァ磨いてくる」

一夏は逃げるように自分の食器を片付け、洗面所に向かった。

ソレを見た束が優しげな笑みを浮かべた。

「まぁ、いっ君は自分の容姿自覚してるからさ、せめて男らしく守ってあげたいんだよ。
そこら辺はちゃんとわかってあげてほしいな」

とフォローを入れる辺り、やっぱり本妻は束なのだった。

 
 

 
後書き
『うつろいねじり』ものっそい便利っぽくないですか? 
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