繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
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06.そうだ、刑務所に逝こう。
第17回
前書き
(客の方の)レン視点
「お早う御座います、お客様。早速ですが、本日は何処かお出掛け為さっては如何ですか?」
朝起きて、目を擦りながら体を起こすと、ベッドの脇に琴葉が立っているではないか。
「うおっ!? びっくりさせんな!」
「失礼しました。お客様」
ぺこりと頭を下げる琴葉。あれ、何か違う。何か、立方体が球体になった感じがする。
「………チョット待て。『お出掛け』とは」
「そのままです。聖月様達と共に、外に出ては如何ですか? 外の景色が恋しくなった頃でしょうし」
「もうムショに慣れすぎて落ち着かねぇ」
「あら、そうでしたか」
あー、ペースが掴めん。と言うか、性格とかも掴めん。
何なんだこいつ。
「それでは、お出掛けの準備をしましょうか」
「おい、いつ決まった」
「レン様が起きる前です。聖月様に、レン様を起こすついでに、今日外へ出掛けることを伝えて、と言われておりますので」
アイツならやりかねない。と言うか、常識くらいになってるんじゃないか?
「朝食の準備が出来ましたので、支度を済ませて、食堂へ」
「あいよ」
◇ ◆ ◇
「それではお客様。行きましょうか」
ということで、現在ショッピングモール(?)的な所に居る。
ーin洋服屋
「好きなお洋服を、何着かお選び下さい」
琴葉はに言われて店内に入ったものの―――
値段くっそ高ぇ!! 何だ"60000円"て!
取り敢えず、安いもののだ!
「お客様、会計は私がしますので、お値段は気にせず、お好きなお洋服を選んで下さい」
…………其処まで言うなら、御言葉に甘えて。
俺は、沢山の洋服の前で、うーと唸りながら、好みの洋服を探す。
…………俺は思った。
「この八人だと、ワイシャツにベストしかねぇだろ……?」
因みに、吸血鬼組は毎日その格好だ。
ー会計ー
「3459204円になります」
「カードで」
「かしこまりました」
…………トンデモナイ額が聞こえた気がするのだが。
「それじゃあ、次のお店に行きましょうか」
大きな紙袋を提げ、琴葉が店から出て来る。重そうな感じは微塵も出していない所が流石すぎる。
「次は靴屋ですね」
そして、これまた高級そうな店に着く。
「お好きな靴をお選び下さい」
チョット待て。それ、さっきトンデモナイ出費をしたヤツの台詞か?
零のヤツは相変わらず、容赦なく好みの靴を探している。涙もだ。
何故人の金をそんなに遣おうとしてんだよ。
―会計―
うん。もう何も聞きたくねぇ。
大量の箱を体の前に積み上げて、琴葉が戻ってくる。紙袋も持っているため、かなり重いはずなのだが……と言うか、顔が見えない!
「それ、前見えてんのか……?」
「見えません。ですが、気配で如何にかなるので、ご心配なさらず」
もごもごとしか聞こえない。と言うか、良く崩れないな、それ。
「少し持つ」
「いいえ。お客様に荷物を持たせるわけには行きません」
「危ないんだよ。持たせろ」
「あ……済みません、お願い致します」
取り敢えず、持てそうな分だけ箱を取る。……結構重いな。
「後は、お客様のお好きなところへ行きましょう。何処か、行きたい所はありますか?」
いや、この荷物じゃ無理じゃね?
「今日は荷物も沢山あるし、明日にしない……?」
よく言った、聖月。
「畏まりました。それでは、帰りますか」
…………バランス感覚やばいな、この人。
◇ ◆ ◇
色々移動をして、部屋に戻ると、既にベッドの上に服が置いてあった。
「……あれ、俺が選んだヤツじゃ無いのもある」
真紅のシャツに、ダークレッドのベスト、黒いネクタイに黒いジャケット、黒いズボンに黒革の靴。
俺の好みをド直球で攻めてきているのだが。
「私が事前に服屋に頼んで作らせました。喜んで頂けましたか?」
「うおっ……何だ、琴葉か。俺の好みド直球だよ」
「有難う御座います。それでは、失礼しました」
びっくりしたな。
…………ってか、オーダーメイド!?
やばいな、マジで。頭可笑しいどころじゃ無い。
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