空に星が輝く様に
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518部分:最終話 空に星が輝く様にその六
最終話 空に星が輝く様にその六
「こうも回転してるとな」
「そんな気になるのね」
「何かな。そうなるんだよな」
こう話すのだった。
「ちょっとな。気のせいだけれどな」
「そうなの」
「ああ。それに」
「それに?」
「ちょっとここはな」
「ここはって?」
「何か妬けるな」
笑いながらの、明るいそれのままでの言葉だった。
「周りカップル多いしな」
「何言ってんのよ」
その言葉を聞いてだ。津島は笑ってこう言うのだった。
「それは私達もじゃない」
「ああ、俺達もか」
「そうよ、カップルじゃない」
自分達もだ。そうだというのである。
「だったら妬くことないじゃない」
「妬かれる方か」
「それよ。だからそれはしなくていいから」
「じゃあ妬かれるか」
「そうしよう。周りもそう言ってるかもね」
「あはは、そうかもな」
そんな話をしてだった。そうしてだった。
二人で楽しんでいく。その中でだ。最初に気付いたのは津島だった。
「あっ」
「あっ?何かあったのかよ」
「ほら、あそこ」
津島から見てだ。右手を指し示しての言葉だった。
「あそこのカップル」
「んっ?ありゃ」
津島が指差した先にいるカップルを見る。するとそこにいたのは。
「あの四組の」
「そう、佐藤さんと」
「一組のあれか。サッカー部の」
「天道君だったっけ」
「天道宗次だったか?」
彼の名前は狭山が言った。
「確かそうだったよな」
「そんな名前だったっけ」
「そうだったと思うけれどな」
「とにかくよ。二人よね」
津島は二人が共にいることについて言った。問題はそこだというのだ。
あの二人一緒にいるわよね」
「ああ、間違いなくな」
「デートね、つまりは」
「いや、それは見ればわかるだろ」
「それはそうだけれど」
「あの二人も付き合ってんだな」
狭山はコーヒーカップの中で冷静に述べた。
「成程な」
「あんた何か冷静ね」
「だってよ。騒ぐことでもないだろ」
だからだというのである。
「誰と誰が付き合ってもいいじゃねえか」
「ううん、かなり気楽に考えてるわね」
「深く考えても仕方ないだろ」
「言われてみればそうかしら」
津島も首を傾げながらもだ。狭山のその言葉に頷く。
そうしてだった。そのうえであらためて話すのだった。
「むしろ喜ぶべきことかしら」
「そうなるんじゃないか?」
「そうね。じゃあ二人を祝福してね」
津島は狭山の言葉を聞いてこの考えに至った。そうしてそのうえでだ。狭山に顔を向けてにこりと笑ってこう話すのだった。
「私達もね」
「俺達もかよ」
「楽しめばいいわよね」
その笑顔での言葉だった。
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