戦国異伝供書
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第八話 浅井家の内その七
「頃合いを見てお主達全員で本願寺を見てもらう」
「あの家はあたし達全員ですか」
風は信長の話を聞きその眉をぴくりと動かして信長に問うた。
「武田や上杉はそれぞれで」
「そうじゃ、お主達全員でじゃ」
「本願寺はですか」
「見てもらう」
飛騨者全員でとだ、信長はまた答えた。
「そうしてじゃ」
「全員で、ですか」
「あの寺のことは見てもらう」
「殿、やはりあの寺は」
「戦はしたくないがな」
「戦になればですか」
「恐ろしい相手になるからな」
このことがわかっているからだというのだ。
「それでじゃ」
「あたし達全員で」
「見てもらう、よいな」
「殿、まさかと思いますが」
飛騨者の一番手格である煉獄が言ってきた。
「本願寺に津々木って奴のことをですか」
「あの者のことはまだ一切わかっておらぬ」
「それで、ですか」
「あの寺におるやも知れぬ」
「そうも思われていますか」
「そして何よりもあの寺は大きい」
その勢力がというのだ。
「多くの門徒を抱え影響がある国も多い」
「い、伊勢にですね」
あやとりが言ってきた。
「近江、摂津、河内、和泉、紀伊、三河、越前、加賀、四国にまで」
「当家の領国も多いな」
「か、かなり大きい」
「それでじゃ、お主達にじっくり調べて欲しいのじゃ」
「そ、そうですか」
「頼むぞ、出来るだけ避けるが」
戦になればその時はというのだった。
「お主達から聞いたことを参考にするからな」
「ならばですね」
煙も言ってきた。
「我等飛騨者全員で」
「本願寺は見てもらうからのう」
「他の家に対するのとは違い」
「あの家はそうする」
「武田や上杉以上にですか」
「見ていく、出来るだけ石山の場所が欲しいしのう」
今現在本願寺が拠点を置いているその場所がというのだ。
「あそこに大きな城を築きたいのじゃ」
「殿、そのことは」
これまで信長の傍に控えていた滝川が言ってきた、彼もまた忍であり飛騨者とも馴染みが出来ているので今彼等と共にいたのだ。
「やはり」
「うむ、あそこに城を築いてな」
「西国の政の要とされますか」
「そう考えておるからな」
「何としてもですか」
「手に入れたい、あそこに他の勢力がおってはな」
織田家以外のというのだ。
「やはり邪魔じゃ」
「だからこそ」
「あの場所を手に入れたい、ではな」
「本願寺とは」
「戦には持って行きたくないが」
「戦になれば」
「当家の全ての力を使ってな」
そのうえでというのだ。
「勝たねばならぬ、だからな」
「飛騨者達にですな」
「調べさせる、しかしまずはな」
「今すぐ行ってきますね」
毬が明るい声で言ってきた。
「これから」
「頼むぞ」
「そのうえで戻ってきます」
「その様にな」
こうしてだった、飛騨者達は織田家が脅威と感じているそれぞれの家を見に行った、信長は彼等を出してからもだった。
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