繰リ返ス世界デ最高ノ結末ヲ
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06.そうだ、刑務所に逝こう。
第15回
前書き
琴葉視点
「あ"あ"ー……部屋飛び出してきちゃったよ………」
現在の黒華琴葉。
フランさんに痛いところを突かれて、状況が悪くなった為、如何にか逃げ出して、資料室で蹲っております。私が管理している所だから、鍵は私しか持っていない資料室に。
「喧嘩……じゃないんだよなぁ………」
只の喧嘩で済んだら良いなぁ、そう小さく呟く。
きっと、今頃猫の構成員達総動員で、私を探しているだろう。聖月さん達は一時的に違う棟に移って貰って、此の事が知られないようにしている。知られたら大変だから。
命の恩人が裏切者の可能性があると言われて、驚かない奴は居ないだろう?
「あー……何で言えないんだろうなぁ」
私が能力を集める理由は二つ。一つは、既にフランさんに伝えてあるとおり、黑猫の強化。そして、隠しているもう一つの理由は―――
「能力を具体化してそれをコレクションして、眺めていたいだけなのに………」
嗚呼。今口に出して思った。
―――くだらないな。
「こんな事になるんだったら、言っとけば良かったじゃん」
だが、此れを言ったら不味い事になる。能力を具体化する事が出来ると知られたら、何をされるか分からないからだ。
此れは能力だ。フランさんには言っていない。だから隠している。更に此れはグレースの能力であるのだ。絶対言えない。
「そして、糸を見る能力は、オマケみたいなモノなんだけど………」
実は、更に隠していることがある。
何故かは知らないが、空間に一つずつ、変なモノが存在しているらしい。自分で考えていて、何を考えているのかサッパリだが、まぁ兎に角変なモノなのだ。
硝子の破片の様な、宝石の破片の様な、欠片の様な感じのモノで、何をすれば良いのか、最初は分からなかった。
まぁ、出張先の宿に変な欠片が落ちていたって、塵としか思えないよな。
で、色々別空間を行ったり来たり為ていたら、何個か同じモノが集まった。何となく並べて、眺めていたら何故かくっついた。
色々調べてみたら、その欠片を全て集めると、薔薇の様な結晶が出来、結晶が完成すると、何でも一つ願いを叶えてくれるらしい。
「願いとかはどうでも良いけどね……」
そう、私が気になったのは、此の結晶が能力で出来ていると言う事。
私だってこう言う結晶が作りたいんだもん!
と言う訳で、地道に集めているのだ。
糸を見る能力は、聖月さん達世界の欠片を手に入れたら、何故か習得為ていた。
「何故……それで問題が起きる………!!」
まぁ、コレクションが増えてラッキー程度に思っていたのだが。
「あー、今は何時だ………時間の感覚が無くなった…………だと」
何となくショックを受けてから、静かに躰を横に倒し、床に寝転がる。あ、かなり掃除はしているから、凄く綺麗だよ?
此処で寝た筈なのに、明日起きたら拷問室かー、と思いながら、目蓋を閉じた。
◇ ◆ ◇
あー、暗い。
矢っ張り拷問室だ。
もう見付かったし………
もう死にそう………
何か、誤魔化し方を考えなくては―――
「お早う、琴葉」
狸寝入りをキメられる訳も無く、フランさんに髪を掴まれ、無理矢理上を向かせられる。あー、未だ考えられていないぞ。
「……お早う御座います、首領」
「ふーん……自分の置かれている立場は分かってるんだ」
此処まで真っ黒なフランさん、久し振りに見たなぁ。凄く怒っているじゃないか。
「で? 何を隠しているか、話す気になった?」
「………何も隠していないので、何も話す気にはなりません」
「あっそ。じゃあ、始めてくれ」
フランさんが下がり、代わりに黑猫の拷問班が出て来る。確か、響也の部下だったかな。
荒い手付きで、首と腹、太股、手首、足首を鎖で縛っていく。こういう所が響也っぽい。
「何をして欲しい?」
フランさんに言われるが、答えられる訳ないよね。何もして欲しくないって言ったら、絶対ありとあらゆる拷問法を使ってくる。
「………快感系以外なら何でもどーぞ」
まぁ、痛い系なら耐性があるからね。どれだけ痛かろうが、快感系に比べれば楽なモノさ。
「じゃあ快感系で。直ぐに準備して」
…………何なの? 此の人。
「強めの薬、兎に角沢山用意して。其れだけで良いよ」
絶対此れは無理だって。隠し事を話す前に絶対死ぬ。
「此れで良いですか?」
「嗚呼、一番強いヤツだね。君、中々センスが良いね」
「有難う御座います」
あの、すいません。
上手く説明は出来ないんですけど、カプセル状になっているアノ薬を部下から受け取ったフランさんは、それを持って近付いてきているんです。確か、一つでもかなりの効果があって、二つ以上同時に使うと、精神崩壊の可能性があるとか。でも、フランさんは三つ持っている気がするのですが……?
「一つずつで許してあげるよ。喋れなくちゃ意味無いからね」
そして、一つを私の口の中に突っ込む。無理矢理飲み込ませようと、喉の奥の方まで指を入れてきているため、息がし難い。と言うか、苦しい。
抵抗はしたが、飲み込んでしまい、一瞬で躰が冷えていった。
だが、其れも一瞬。
「~~~~~~!!?」
痺れるような快感が、躰中を駆け巡る。同時に、躰が焼けるように熱くなる。
此れは終わったな。そう悟った。
「気持ち良くして貰いたいなら、早く隠してる事を言え」
否、確かに此れは耐え難い快感だ。頂点の寸止め状態なのが辛い。
でも、此れで屈する訳には行かない。目の前に構成員だって居るのだ。
「……っ」
でも、言葉を作ろうとしても、声が出ない。
此れは駄目だと思い、せめてもとフランさんを睨み付ける。
「……言わないのか。じゃあもう一つ」
二つ目が口の中に入ってくる。次は、何故か素直に飲み込んでしまう。否、本当に何故だ!?
「やぁ……ぁ………」
先に言っておくが、私は決してマゾでは無い。
だが、今は躰を縛る鎖が気持ち良い。嗚呼、最悪だ。趣味が悪い。
「ほら、苦しいでしょ?」
「ぁ……ああ………」
嗚呼、もう誤魔化し方を考えるどころでは無い。何も考えられなくなってきて、絶えずに快感が襲ってくる。
きっと、肩を触って貰うだけで気持ち良くなれるんだなぁ、と考えながら、唇を噛む。
「早く言わないと、君が壊れちゃうけど?」
「……かく、し………て………ない…………から」
「未だ抵抗する気? 此の薬、結構高いから早くして欲しいんだけど」
買うのは私だけどな。
「ぁぁぁあああああ!!?」
三つ目を飲み込む。
駄目だ。自然と動く範囲で躰が仰け反る。
目の前でニヤニヤするフランさんを、今直ぐぶん殴りたい。
「ああ……やぁ………ふぁ………」
「ほら、言っちゃいなよ。直ぐに楽にしてあげるから」
鬼。悪魔。否、吸血鬼だったわ。
と言うか、後ろの構成員達が気まずそうな顔を……後で謝ろう。
「………大抵の人間は二つで限界なんだけど。流石、琴葉だね」
否、私だってそろそろ限界なんですけど。必死に誤魔化し方を考えているから、未だ理性が吹っ飛ばずに済んでいるだけなんですけど。
「でもなぁ……此処まで為ても何も言わないとなると、如何するかなぁ」
いいぞ、其のまま止めてしまえ。
「始める前だったら、絶頂に達する直前で止めてを繰り返せたんだけど…………此の状態じゃ無理だよねぇ」
おいおい常にその状態なんだそろそろ限界なのだが。
「あ、でも、今寸止め状態だよね?」
でも構成員達が居るんだよ? 絶対無理。
「てことは………えいっ☆」
「やぁぁぁああああ!!?」
遂にやりやがった、此の鬼。
耳を甘噛みして、私の我慢を無駄なモノにする。
「あーあ。遂に、構成員達の前でイっちゃったねぇ」
嗚呼、絶対許さん。もう私は死ぬしか無いじゃん。
「もう一回? それとも、言う?」
どっちも嫌。
「黙ってるって事は、言いたくないって事だね?」
そして、次は胸を触ってくる。一度絶頂に達した直後に、もう一度絶頂。
精神崩壊と言う言葉が浮かび上がる。
「ふふふ………そうやって、構成員達の前で辱めを受ける琴葉も、可愛いねぇ」
何故か意識は消えず、薄らと残っているのが気持ち悪かった。
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