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空に星が輝く様に

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501部分:第三十九話 あの場所へその十一


第三十九話 あの場所へその十一

「それでもね」
「どっちが大きいの?」
「期待か不安かどっちかよね」
「そう。それはどっち」
「そうね」 
 少し時間を置いて考えて。それからの返事は。
「期待かしら」
「そっちなのね」
「六分ね。期待が大きいわ」
 その割合だというのである。
「そちらの方がね」
「多分。そうだと思った」
 その割合まで聞いてだった。椎名はぽつりと述べた。
「それ位だと」
「予想してなの」
「おぼろにだけれど」
 軍師としての才能をここでも出していたのである。
「それ位だって思った」
「とりあえず期待の方が大きいから」
 このことをまた言う星華だった。
「そっちの方がね」
「そうなの」
「うん、正直今何かうきうきしてるし」
 実際にだ。星華はそれを顔に出して述べた。
「その相手が誰かっていうのもね」
「それもなの」
「うん。それじゃあさ」
「それじゃあ?」
「吉報待ってて」
 星華はその笑顔で椎名に述べた。
「宜しくね」
「うん。そうしてる」
 こんな話をしてだ。星華は期待していた。そしてだ。
 ある日のことだ。橋口達がだ。放課後に部活に行こうとしていた彼女を呼び止めてだ。そうしてそのうえでこう言ってきたのだった。
「ねえ、星華ちゃん」
「ちょっと時間ある?」
「いい?」
「時間って?」
 それを聞いてだ。星華は三人に顔を向けて問うた。
「何かあるの?」
「ちょっと会いたい人がいるのよ」
「男子ね。一年の」
「一組のね」
「一組の?」
 それを聞いてだ。星華は少し考える顔になった。
 そしとのうえでだ。こう三人に尋ねた。
「一組の誰?」
「ほら、天道っているじゃない」
「あのサッカー部のね」
「あの子よ」
「ああ、天道ね」
 その名前を聞いてだ。星華はわかった。
 サッカー部でDFをやっている。背が高くすらりとしている。彫のある顔で小さく厚い唇に黒く癖のある髪をしている。その生徒である。
 そしてだ。その名前を聞いてまた言う星華だった。
「天道が私に?」
「そうなの。それでどうするの?」
「会うの?それで」
「今から」
「そうね」
 星華はここで察した。彼女が感じていた視線の主が彼であることをだ。
 そしてそれは隠したままでだ。三人に答えた。
「それじゃあね」
「うん、それじゃあ」
「会うのね」
「そうするのね」
「うん。それで何処にいるの?」
 微笑になって三人に尋ねた。
「天道、何処なの?」
「うん、そこにいるよ」
「あそこね」
 三人は四組のクラスを指差した。他ならない彼女達のクラスだ。
「あそこにいるから」
「っていうか私達中に入れたの」
「丁度誰もいないしね」 
 それでだというのである。
「だからね。それじゃあね」
「行こう、それじゃあ」
「今からね」
「ええ、それじゃあ」
 そしてだった。星華はその微笑で頷いた。そのうえでだった。
 クラスに向かう。三人はその彼女に言うのだった。
「どうする?私達もいようか?」
「星華ちゃんが会うのが不安だったら」
「それだったら」
「ううん、それはいいから」
 笑顔でそれはいいという星華だった。
「私一人で大丈夫だから」
「大丈夫?」
「一人だけれど」
「それでも」
「うん、大丈夫よ」
 星華はまたこう答えた。
「だから安心して」
「わかったわ。それじゃあね」
「星華ちゃん一人でね」
「頑張ってね」
 三人も察していた。どうして彼が星華と会いたいというかだ。だからこそ彼女を気遣いもした。それで今こうして声をかけたのである。
 そして星華はクラスに入った。彼女達のそのクラスにだ。 
 そしてだった。そこで、だった。彼女は新しい一歩を踏み出したのだった。


第三十九話   完


                    2011・1・27
 
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