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東の不思議なお土産

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第三章

「ここにね」
「うん、不思議な生きものがだね」
「いるって聞いたから来たのに」
「姿を見せないね」
「いるのよね」
 カインに心配そうな顔になって尋ねた。
「そうよね」
「そう言われているけれどね」
「けれどね」
「今は影も形も見えないね」
 カインもこう言った。
「本当に」
「湖の中に隠れているのかしら」
「どうだろうね、ただね」
「ただ?」
「姿が見えないなら」
 それならというのだ。
「仕方ないよ」
「諦めるしかないのね」
「それに湖の景色自体がいいから」
 それでというのだ。
「そちらを楽しもう」
「そうね、それじゃあね」
 それならとだ、リーナも頷いた。そうしてカインと共に湖とその周りの景色を楽しんだ。そうしてだった。
 リーナは趣味である土産もの集めに入った、この島のこれまで行った場所でもそうしたがここでもそうした。
 しかしだ、その土産ものを見てだった。
 湖に出るという生きものから造ったという置きものを見てだ、リーナもカインも。
 どうかという感じにだってだ、二人で話した。
「恐竜よね」
「この置きものはね」
 見れば首長竜である。
「どう見てもね」
「そうよね、けれどね」
「この湖の辺りというか島全体がね」
「寒いのに」
 それでというのだ。
「この寒さで恐竜のいるかしら」
「無理だよね」
「あの、それでもなの?」
「恐竜の置きものお土産なのかな」
「おかしいわよね」
「僕もそう思うよ」
「ううん、変よね」
 リーナはこう思わずにいられなかった。
「これは」
「この湖の生きものは恐竜っていうのかな」
「そうなのかしら」
「そんな筈がないのにね」
「夢?」
 考える顔になってだ、リーナはそうではないかと述べた。
「これって」
「ああ、土産屋の人達の」
「そう、それでね」
「恐竜であって欲しい」
「そう思ってね」
 それでというのだ。
「恐竜にしてるのよ」
「そういうことかな」
「まあ恐竜だとね」
 リーナもそれならと考えて述べた。
「確かにロマンあるわよね」
「そうだね、本当に」
「もういないってされているから」
「その恐竜がいたら」
「夢があるから」
「そういうことだね、じゃあどうするのかな」
 カインはリーナに問うた。
「このお土産は」
「買うわ」
 にこりと笑ってだ、リーナはカインに答えた。
「是非ね」
「そう、それじゃあね」
「一個買ってお家に送って」
「それでだね」
「お部屋飾るわね」
「このお土産でもだね」
「ええ、じゃあ今から買うわ」
 こう言って実際にだった、リーナはそのお土産を買った。そのうえでこの北の島での旅をさらに続けた。そして家に帰った時に。
 恐竜のお土産を部屋のここにという場所に置いて飾った、そうしてにこりと笑ってカインにまたあの島に行きましょうと言った。カインもそうしようと応えた。


東の不思議なお土産   完


                  2018・8・30 
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