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空に星が輝く様に

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495部分:第三十九話 あの場所へその五


第三十九話 あの場所へその五

「私そういうのはね」
「言うの」
「そう、言うから」
 また椎名にこう言うのだった。
「ちゃんとね」
「そこはつきぴーと違うのね」
「西堀とはなの」
「つきぴーは心の中で嫌だと思っていても中々そうだと言わない」
 それが月美だというのである。
「そういう娘だから」
「はっきりしないっていうの?」
「優しいから」
 そちらだというのだ。彼女の優しさ故だというのだ。
「だからなの」
「優しいのね、あの娘って」
「そう。とても優しい」
 それが月美だというのだ。このことを星華に話すのだった。
「あんな優しい娘いない」
「はっきりしなくてうじうじしてるって思ってたけれど」
「そうじゃなくて優しいの」
「そうだったのね」
「だから斉宮もああして」
「あの娘と一緒にいるのね」
「そういうこと」
 こう話すのだった。
「それはわからなかったの」
「ええ、ずっとね」
 言葉はここでも過去のものだった。星華はやや俯き眉も目も暗くさせてだそうしてそのうえで自分の横にいる椎名に対して述べるのだった。
「鬱陶しくて嫌な奴だって思ってた」
「今は?」
「違うから」
 やはりだ。過去のものだったというのである。
「そういう娘だったのね」
「誤解されやすい娘だから」
「そうね。私もそうだったし」
「けれど実は違う」 
 また月美に話した。
「そういう娘なの」
「本当は違っていたのね」
「そういうこと。けれど今は」
「わかったわ」
 星華は自分に顔を向けてきた椎名に対して小さく頷いて答えた。
「私、馬鹿だった」
「馬鹿じゃないけれど」
「人の本当の姿。わからないのは馬鹿だと思う」
 しかしだった。それがだとだ。星華は自省しながら言うのだった。
「だから。私は」
「それで」
「うん、だから馬鹿だった」
 また言うのであった。
「本当に。酷いことをしてきたし」
「そう思うんなら」
 椎名は顔を正面に戻していた。そのうえでの今の言葉だった。
「それなら」
「それなら?」
「二度としなかったらいい」
「二度とね」
「そう、それでいい」
 過去は過去だとだ。それが椎名が星華に贈る言葉だった。
「それで」
「そうなのね」
「過去はその為にあるものだから」
「その為って?」
「いい思い出は思い出して楽しむもの」
 まずはいいものから話した。
「悪い思い出は繰り返さない為にあるもの」
「それはなのね」
「そう、そういうもの」
 こう話すのだった。
 
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