レーヴァティン
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第六十八話 女枢機卿その六
「それで、です」
「枢機卿の叙任も出来るんだな」
「枢機卿は三段階あります」
「我々の世界と同じですね」
司祭である順一がここで言った。
「それならば」
「はい、私は枢機卿でも一番下の階級で」
「そして正のこの寺院の長の方は」
「一番上、副の方は二番目になります」
枢機卿の階級の中でというのだ。
「そうなっています」
「そうですか」
「この寺院の長はローマの主席司教とされています」
「この世界独特の称号ですね」
「そうです、今は眠っている世界にあるバチカンから任命されました」
その司教はというのだ。
「最上位の枢機卿の叙任は教皇様にしか出来ないので」
「だからですね。どうも私はこの世界の枢機卿の階級や叙任は」
司祭であってもとだ、順一はこのことに己の不勉強さを感じつつ述べた。
「疎かったので」
「そうだったのですか」
「キリスト教の教義や他の宗教、術等を学んでばかりでした」
久志と共に冒険の旅に出るまではだ。
「でしたから」
「その為にですか」
「はい、そうしたことは」
聖職者の階級そして叙任権まではというのだ。
「そちらは政治のお話になりますが」
「私も実は叙任されるまでは」
「そうしたことにはですか」
「疎かったです」
つまり知らなかったというのだ。
「そうしたことは」
「そうでしたか」
「叙任された時に知りました」
枢機卿、この位にだ。
「そうでした」
「左様でしたか」
「そして叙任されて」
そしてというのだ。
「それから知りました」
「そうでしたか」
「ただ他の政治のことは」
「ご存知ありませんか」
「知識では知っていても携わったのが行政で」
「それでは」
「よく言われる陰謀等とは」
自分から笑って久志達が言ったわけでもないが教会というと付きものだと言われるこちらのこともというのだ。
「私はです」
「無縁だったのですか」
「そうでした」
実際にというのだ。
「今も」
「そうですか」
「学問や術、格闘は好きで行政も経験がありますが」
「陰謀等は」
「あれは特殊な技術かと」
政治の分野でのそうしたものだというのだ。
「特によく言われている教会のそれは」
「よく聞くことですが」
「そちらは」
「そうですか」
「私の職業はモンクです」
聖職者の中でというのだ。
「ですから格闘もします」
「ああ、モンクだったのですか」
「はい、そうです」
「では本当に格闘もですね」
「専門的に行っています。それと名前ですが」
「ああ、それな」
久志が少女の名乗りを受けて問うた。
「あんた名前何ていうんだ?」
「奥村夕子といいます」
少女はこう名乗った。
「職業は先程申し上げた通りモンク、八条大学宗教学部二回生です」
「あんたも八条大学か」
「では」
「ああ、俺達全員そうだよ」
久志は夕子にこのことも話した。
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