空に星が輝く様に
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481部分:第三十八話 明るい運命その二
第三十八話 明るい運命その二
「君さえよかったら」
「どうかしら」
「えっ、それって」
それを聞いてだ。陽太郎は思わず箸を落としそうになった。そうしてそのうえでだ。狼狽しきった様子になって二人に返すのだった。
「つまりは」
「そうだよ、言ったままだよ」
「どうかしら、それで」
「あの、ちょっと」
返答に困っていた。いきなり言われたからだ。
勿論こうしたことを言われるとは彼も予想していなかった。それで戸惑いながらだ。二人に対してこう答えるのだった。
「ええと、今は」
「ははは、今すぐ答えなくてもいいよ」
「後でいいわよ」
二人は穏やかな笑みで二人に話すのだった。
「けれど。考えておいてくれよ」
「月美もね」
「私もなの」
話を振られてだ。月美も戸惑いを見せた。
そのうえでだ。こう自分の両親に言うのであった。
「つまりそれって」
「そうだ、結婚だ」
「貴方達のね」
「結婚って」
「あの、お父さんお母さん」
陽太郎も月美も戸惑ったままである。
「そんな、俺達」
「まだとても」
「いやいや、昔は十六になれば立派に結婚していた」
「それによ」
生きている時間がより長いせいかだ。ここでは両親の方が上手であった。二人のペースのままでだ。話はそのまま続いくのだった。
「そうだな。女の子は十六になればな」
「男の子も十八でね」
「結婚できるっていうんですね」
「高校生で」
「法律的にはそうだからな」
「だからね。今からね」
「その話を前提として、ですか」
「私達は」
自然とお互いを見てしまった。二人共同じ顔になってしまっている。
その鏡のようなものをそれぞれ見ながらだ。二人はまた言うのだった。
「ええと、じゃあ」
「これからは」
「いやいや、堅苦しくなることもない」
「そういうのはいいのよ」
「けれど。結婚って」
「そんなこと言ったら」
どうしても戸惑いを消せない二人にだ。両親はまた言うのだった。
「だから結婚はお互いをよく知って幸せになる為のものだからな」
「堅苦しくなっても仕方ないのよ」
「だからなんですか」
「それで、ですか」
「そういうことだ」
「交際はそのままでいいのよ」
両親は余裕を持った笑みで二人に話す。
「ただ。何時かはな」
「それは頭の片隅に入れておいてね」
「わかりました」
「じゃあそれは」
二人は月美の両親の言葉に頷いた。もう食事どころではなかった。だがそれでも食事を楽しみだ。それが終わってからであった。
陽太郎は月美の家を後にした。当然両親に挨拶をしながらだ。そしてそれが終わってから家を出る。だがその帰りにだった。
月美がだ。こう申し出てきたのだった。
「さっきお話した通り」
「帰り道一緒に。だよな」
「はい。いいですか?それで」
「断る筈ないじゃないか」
微笑んでだ。月美にこう話すのだった。
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