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ねここい

作者:あちゃ
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第15話

 
前書き
8月中には終わらせたかったけど、
流石に間に合わなかったね。
如何しても9/1にはウルポンを掲載したかったから、
そちらを優先させちゃったからね。
でも9月中には終わらせる……つもり……多分……だと良いけど…… 

 
高校一年の二学期も始まって1ヶ月。
学校行事に困らない二学期ですよ。
つまり、女子との好感度を上げるイベントに困らない二学期って事です。

そして早速訪れたのが文化祭。
同じクラスの女子(勿論男子も含まれるけど)と一緒に、同じ目標へ向かって作業するワクワクがいっぱいなイベント。

ウチのクラスは『メイド&執事喫茶』をやっている……
まぁ名前を見れば解るけど、女子はメイドの格好で男子は執事の格好で客を向かえる喫茶店だ。男性客には女子が可愛らしく『お帰りなさいませ、ご主人様♡』と言い女性客には『お帰りなさいませ、お嬢様☆』と言って対応する。

なお蔵原は、出し物を決めるHRで『女子限定のノーパン喫茶をやりたい!!』と最後まで言い続けていた。アイツ、頭は良いが馬鹿だ。
俺はクラスの女子を敵に回したくないので、黙って成り行きを見守っていたよ。

さてさて、そんな訳でメイド&執事喫茶絶賛開催中。
ウチのクラスにはそれなりにイケメンが存在する。
そのお陰か女性客は尽きない。

だが……女子のグレードは学年トップだろう。
俺が猫に見えない女子だけでも、他のクラスには負けそうに無いレベルだ。
その所為か鼻の下を伸ばした男性客が多いの何のって……

特に人気なのが白鳥さんと渡辺さんだ。
佐藤さんも人気だったのだが、接客が無愛想な為に客足が遠退いた。
その為、俺と共に裏方へと左遷された。

あ、俺は左遷じゃないよ。
元々裏方だったんだ。
クラスの大半から『お前じゃ客は呼べん』と言われてね。納得はしてるけどね。

まぁ裏方も悪いもんじゃない。
幸運にも佐藤さんと一緒に作業できるようになったからね。
夏休みに一緒に旅行へ行った仲だから、和気藹々と作業が出来るよ。

でも不思議なのは、接客をさせると無愛想だったのに、裏方に回ったら凄く愛想が良くなったんだよね。日の目を浴びない裏方なんて退屈だろうに……
俺にはお似合いだけどね。

裏方がお似合いと言えば、俺よりも裏方じゃないと問題が出そうな蔵原の姿が見当たりません。
こう言ったイベントは率先して参加し、事ある毎にナンパしまくるだろうと思ってたんだが、何処かでサボってるのだろうか?

そんな事を考えていたら休憩の時間がやってきました。
食事を済ませたり、他のクラスの出し物を見学したりと、後退で休憩する決まりになっているのですが……

「大神君、一緒に体育館へ有志のバンドを見に行こ♡」
休憩時間が重なっている渡辺さんから、可愛くお誘いを受ける。
断る理由など存在しない。

ミニスカで可愛いメイド服の渡辺さんと一緒に体育館へ……と思ったら、同じタイミングで休憩の白鳥さんも「良いですわね。私もご一緒させて戴きますわ♡」と相乗り宣言。
きっと蔵原が見たら羨む様な光景。
でも俺には猫ですから!








他の出し物を楽しむのなら、映画同好会の自作短編映画とかでも良いだろうに、何故に素人バンドを見学するのか不思議だった。
夏祭りで散財してしまった金の無い俺を気遣ってのことかと思ったが、演奏が始まって理由が解る。

何と蔵原がギターを演奏してるではないか!
ボーカルは1組の吉川だが、ギターを弾きながらコーラスも担当している蔵原。
そうか、だからクラスの出し物には余り顔を出さなかったんだな。
にしても、認めたくは無いが格好いい……

俺は同じクラスで何人か仲の良い男子が居るが、他のクラスの奴とはそれ程親しくない……
だが蔵原は社交的だからクラスとか関係なく仲良くなっている。
そんな絡みなのだろう……ギターが弾けるって事で声がかかったんだな。

だが惜しいのはボーカルじゃ無い事だ。
ボーカルの吉川も下手では無いのだけど、蔵原の歌声を聞いた事があれば奴の方がボーカルに向いてると分かる。
ギターを弾きながらだって歌は歌えるのだから、蔵原をギターだけ(コーラスもしてるけど)にするべきではないのでは?

あ、でもそうすると吉川の存在が不要になるのか……
皆で仲良く一つの物事を進めるには必要な措置なのかもしれないな。
何でも出来るって事が時には弊害をもたらすことになるんだな……勉強になった。

「あの大神さん。この歌は何という歌かご存じですか?」
「全っ然知らん!」
かなりの爆音に気圧されながら、白鳥さんが俺の耳元で大声で質問してくる……残念ながら答えられないけど。

因みに白鳥さんとは反対側の隣に居る渡辺さんにも尋ねてみたが、答えは同じだった。
音痴だからって事で避けていた所為で、全然無知になっている。
スッと答えられたら、それだけでも格好いいのだろうけど。

「この曲は“X JAPAN”ってグループの“Weak End”だよ白鳥さん」
突然、俺等の後ろに居た先輩が情報を提供してくれた。
しかも白鳥さんの事を存じ上げてるらしい。
何? ストーカー? 怖い!

「あ……ど、どうも」
白鳥さんも俺と同じ様に感じたのか、軽く会釈をして礼を言うと顔を背けて俺の方へ寄ってきた。
教えてくれるだけならまだしも、ワザワザ名前を呼ばれるのはやっぱり怖いよね。

「い、行こうか……」
この爆音と騒がしいだけの歓声から逃げたくなったのもあるが、何かストーカーっぽいのが後ろに居るから白鳥さんと渡辺さんに声をかけて退散する旨を伝える。

勿論二人も同意見だったらしく、俺の腕にしがみつきながら蔵原等の演奏に熱狂してる人混みを掻き分けて体育館出口へと向かう。
チラッとだけストーカーっぽい先輩を見たが、凄く残念そうな顔をしていた。どうか追ってこない様に。







何とか静かな場所まで逃げてきたが、二人とも俺の腕にしがみつく形になっていたので、二の腕に胸の感触が……
普段は毛むくじゃら(俺視点)で分からなかったけど、二人とも大きい!
役得な感じがするね。

「さて……これから如何しましょうか? まだ休憩時間は沢山ありますけど……」
「もう騒がしいのは遠慮したいなぁ」
各人俺の腕にしがみついた状態で、これからの予定を話し合う。……あの、もう離れても良いんじゃないですか?

「じゃ、じゃぁ静かな場所で……の、のんびり過ごす?」
そう言って文化祭会場からかなり離れた場所に有る校庭の隅を指差す。
既に校舎から離れていた為、指定した場所はそれ程離れていない。

「うん。私はそれで良いよ」
「私にも異存はございません」
いっこうに離れる気配のしない二人に(いざな)われて、校庭の隅へと歩を進める。

そして校庭の端にある、筋トレ用のタイヤ(引きずって足腰を鍛えるやつ)に腰掛けた。
あぁ……蔵原曰く、二人は美人らしいから、普通に見えてれば最高の状況なんだろうなぁ!
今更ながらあの馬鹿()()が憎い!
折角美人四人とお近づきになれたのに、通常通りに見える様にするには、誰か一人に告白して四人との関係を一人に絞らなければならないんだろ? 勿体ないなぁ……

「ちょっとぉ~……折角の文化祭だって言うのに、何でこんな隅っこで落ち着いてるのよ?」
美女が猫にしか見えないこの状況と、この状況にした馬鹿()()を恨んでいると、突如話し掛けられた。

慌てて顔を上げ誰だか確認すると、そこには小林先生が立っている。
「あ~ら先生こそ、口内の巡回をサボってこんな僻地に何のご用でしょうか?」
そうだよね……教師陣は、生徒らが何か問題を起こさない様に会場内を巡回するのが役目なんだよね。

「三人引っ付いて校舎から出て行くのを見かけたから、僻地でも問題行動を起こさせない様に来てみたのよ」
確かに……ここも学校内ではあるのだから、教師が見回りに来てもおかしくは無い。
でも先生まで腰を下ろして寛ぎモードになるのは何故ですか?

「ふふっ……この状況を、まだ休憩時間が来ない佐藤さんが知ったら『ズルイ!』って言うわね」
「しかたありませんわ、本来は接客だったのに無愛想で裏方に回されたんですから……」
「そうよ、所詮は一時のことなんだから、不特定多数のお客さんに愛想良くしておけば良かったんだわ」

「た、確かに……でもアレは酷かったね。お客さんに呼ばれたのに『あ゛!?』って顔を顰めて返事してたからね」
「佐藤さんも笑ってれば可愛いのに……」
俺には判らない情報だ。
蔵原も佐藤さんは可愛いって言ってたし、今だって先生が可愛いって評価してる。

「で、でも裏方に回ったら機嫌が良かったよ。人前に出るのが苦手なだけかも……?」
「それは大神君の傍で働けたからだと思うわよ!」
渡辺さんの言ってる意味って?
そりゃぁ俺は他人(ひと)に命令したり指示出したりするのは苦手だけど……

「あの配置変えを見て私も無愛想にしようかと考えてしまいましたわ」
「あ、それ私も分かるぅー! 愛香音ちゃんだけズルいって思ったもん」
本当は二人も接客が苦手だったのだろうか?

何だか俺との共通点も結構在るんだなぁ……



 
 

 
後書き
次回は体育祭。

騎馬戦って危険だからと言って完全に廃止されたわけじゃぁないよね?
 
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