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空に星が輝く様に

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460部分:第三十六話 思わぬ出会いその二


第三十六話 思わぬ出会いその二

「ああいう奴か」
「そうね。あいつね」
 まさにそれがその官房長官だというのだ。
「あいつはその域に達してるわね」
「屑以下かよ」
「そう、ああいう奴だっているし」
「じゃあそういう奴もかよ」
「いるわよ、中にはね」
「流石にそういうことする奴は知らないな」
「じゃあだけれど」
 そんな狭山の話を聞いてだ。津島はそのファミレスについて察したのだった。確かにだ。
「そのお店は美味しいのね、パスタ」
「俺も食うんだぞ」
 狭山が今度言う根拠はこれだった。
「だから美味いに決まってるだろ」
「そうよね、そう言われるとね」
「納得できるだろ」
「よくね。そう、美味しいの」
「パスタもいいしソースもいい」
 その両方がだというのだ。
「あとオリーブもな」
「いいのをたっぷりとなのね」
「ああ、ガーリックもな」
 大蒜もだというのだ。
「勿論チーズも唐辛子もいいのだぜ」
「ううん、聞いてるだけで涎出そう」
「じゃあそこ行くよな」
「ええ、わかったわ」
 津島はここで遂に頷いた。そうしてであった。
 二人でそのまま海辺を去ってだ。ファミレスで向かった。そこは海辺の近くにある洒落た店だった。テラスで食べられるように外にも席がある。
 店は白と黄色の清潔かつ明るい色彩の店である。店の中には緑の木々も多い。しかもそれは本物の緑の小さな木々であった。
 その木々を見てだ。津島は満足そうに言うのだった。
「いいわね、これ」
「店の内装気に入ったみたいだな」
「この木がいいわね」
 実際にその木をだ。今も見ながら狭山に話すのだった。
「洒落ててね」
「海辺の店って感じでか?」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「まあどれも夏の木だけれどね」
「その季節がシーズンの店だからな」
「それは仕方ないけれどね」
「けれどまあ。いいわ」
 いいという津島だった。
「冬に夏のお店の入るのもね」
「それもいいんだな」
「ええ、じゃあそこ座りましょう」
「ああ、ここな」
「そう、そこね」
 座ったのは傍にあった四人用の席だ。ファミレスらしく席はそのまま壁と一緒になっている。その四人用の席に二人で座るのだった。
 そして座ってからだ。お店の人が来た。黒と白のメイド服であった。
「いらっしゃいませ、御主人様」
「これ、狙ってるでしょ」
 狭山はそのお店の人を見てすぐにこう言った。
「メイドさんよね、絶対に」
「そんなの見ればわかるだろ」
「あんたこういう趣味があったの」
 津島の狭山への目が冷たいものになる。
「コスプレの」
「ああ、そういうのはないけれどな」
「嘘でしょ、それって」
「だから嘘じゃないよ。今日たまたまなんだよ」
「本当に?」
「入り口に書いてただろ。今日はパスタ食べ放題でしかもメイドフェスタだってな」
「色々やる店なのね」
 津島は実はこのことには感心していた。商売人の娘らしくだ。
「努力してるわね」
「味も努力してるからな」
「そう。それじゃあその努力をね」
「たっぷり味わえ」
「ええ。じゃあパスタ食べ放題二人です」
 津島はそのお店の人にはこう礼儀正しく述べた。
 
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