| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

真田十勇士

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

巻ノ百四十九 最後の戦その七

「貴殿はかつては浪人であったとか」
「昔のこと」
 根津はこう双刀に返した。
「殿とお会いするまでの」
「その時から剣の腕を磨き」
「そして殿にお会いし」
 そしてというのだ。
「それからも剣の腕を磨いてきております」
「そしてその腕に至ったか」
「はい」
 まさにというのだった。
「この通り」
「そうか、よい主に出会えて」
「そうしてです」
 まさにというのだった。
「より腕を磨けた次第」
「何故腕を磨かれた」 
 双刀は根津と斬り合いつつ彼に問うた。
「それは」
「最初は強くなりたかっただけ」
「それだけだったか」
「左様、最初は」  
 そうだったというのだ。
「それだけでした、しかし」
「今は違うと」
「左様、今は殿と共に戦い殿の為になるからこそ」 
 だからだというのだ。
「剣の腕を磨いている次第」
「成程な」
「それが間違っていると」
「いや」
 双刀は鋭い目で根津に答えた。
「そう思えるだけの方を主に持てた」
「そのことがですか」
「根津殿の幸せかと」
 そうだというのだ。
「それがしが思うに」
「そう言って頂き何より」
「そしてそれは」
「双刀殿もですな」
「左様、我等の主は半蔵様」
 伊賀を率いる彼だというのだ。
「半蔵様程の主はおらぬ」
「だからですな」
「半蔵様の為に戦う、では今は」
「どちらの剣が上か」
「競おうぞ」
「さすれば」 
 二人はお互いに剣撃を繰り出し合いそうしてだった。お互いに一歩も退かぬ戦いを繰り広げていた。
 幸村達はさらに進む、そして今度はだった。
 幻翁が出て来た、幻翁は幸村達の前に出て言った。
「ここを通りたければそれがしを倒すこと」
「そう言うか」
「左様」
 まさにというのだ。
「ここは」
「そうか、ではな」
「殿、ここはです」
 幸村が前に出ようとしたところでだ、筧が出て彼に言った。
「それがしが」
「十蔵、お主がか」
「はい」
 引き受けるというのだった。
「ですから先に行かれて下さい」
「そうか、しかしな」
「はい、必ずですな」
「生きて帰れ」
 こう言うのだった。
「よいな」
「わかり申した、それでは」
「ここは戦う」
 こう言ってだ、そしてだった。
 今度は筧が残った、そうして彼は幻翁と門前での闘いに入ったが。
 幻翁は得意の幻術を使い筧に幻を見せてだった。そうして。
 そこに妖術を織り交ぜる、しかしだった。
 筧は幻術は使わないが様々な術、火や氷を出して幻翁を攻める。そのうえで幻翁に対していた。そしてだった。
 自分と互角に闘う筧にだ、彼は言った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧