オズのガラスの猫
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第九幕その九
「色々な種族や生きものと一緒にね」
「それも楽しくですね」
「そうよ、不思議が普通の国だから」
「こうした猫もいるしね」
ガラスの猫は胸をピンと張って言ってきました。
「ガラスの身体と宝石の脳味噌と心臓を持つね」
「そういえば貴女は妖精以上に不思議ね」
「そうでしょ、あたしはね」
まさにとです、ガラスの猫はナターシャに言いました。
「まさに妖精以上に不思議で他の世界にはいない」
「そうした猫ね」
「その通りよ」
「あたしも他の世界には絶対にいないわよ」
つぎはぎ娘もくるくると踊りつつ歩きながら言います。
「身体は布の生地のつぎはぎ、服と靴は最初から着ていてね」
「中身は綿で」
「そんな人他にいないでしょ」
「いる筈がないわ、かかしさんや樵さんやジャックと一緒で」
まさにとです、ナターシャは五人を代表してつぎはぎ娘に答えました。
「貴女の他には誰もね」
「こんな身体の人はいないわね」
「見たことも聞いたこともないわ」
「そうよね、まさにあたしはね」
「どんな世界にも他にいない」
「そんな人間なのよ」
こう言うのでした。
「あたしはね」
「そんなあたし達がいるのよ」
また言うガラスの猫でした。
「だったらね」
「もうそれこそ」
「こんな不思議な国はないわ」
「妖精だけじゃないから」
「本当にね、それとね」
「それと?」
「いえ、あんた達も不思議な存在よね」
ガラスの猫のこの言葉にです、ナターシャ達五人はまずは目を瞬かせてそのうえでお互いでお話をしました。
「私達不思議かしら」
「別にね」
「そうじゃないよね」
「これといって」
「不思議じゃないわよ」
「何言ってるのよ、外の世界から自由にオズの国に出入りしているのよ」
ガラスの猫が言うことはこのことでした。
「だったらね」
「私達も不思議なの」
「そんな子達は他にいないから」
「だからなんだ」
「僕達も僕達で不思議なんだ」
「そうした子達なの」
「そうよ、まああたし達も渦を通って外の世界とオズの国を出入り出来るけれど」
それでもというのです。
「それをいつもしている子達はあんた達だけだからね」
「私達は普段の生活は外の世界で送っているから」
ナターシャがガラスの猫にお話しました。
「だからね」
「こうしたことはなのね」
「普通だって思っていたわ、けれど」
「どっちの世界も楽しんでる子達は他にいないでしょ」
「ええ、確かに」
「こんな不思議なことはないわ、それにどっちの世界も楽しめるなら」
こうも言うガラスの猫でした。
「これは凄い幸せなことでしょ」
「二つの世界を行き来出来てどちらの世界も楽しめるなら」
「そうじゃないかしら」
「そうね、不思議でね」
「幸せでしょ」
「ええ、確かに」
実際にと答えたナターシャでした。
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