空に星が輝く様に
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
449部分:第三十五話 プラネタリウムその二
第三十五話 プラネタリウムその二
「酷い話でしょ」
「そう思います」
「全く。酷い話よ」
先輩はこう言ってもだった。やはり笑っていた。
「何考えてるんだか」
「ですよね。父親って」
「何処か抜けてるのよ」
困った笑顔だがだ。やはり笑っている先輩だった。
「そうしたところがね」
「うちもなんですよ」
星華も自分の父親のことを思い出しながら話す。
「けれどそれでも」
「そうよね。それでもね」
「ずっと見てくれてますからね」
それは確かだというのだった。
「私達のこと」
「そうね。それはね」
「子供は大事って言って」
「それはとてもわかるのよね」
「空回りはしてますけれどね」
それは否定できないことだった。どうしてもだ。
「けれど。だから余計に」
「感じるわよね」
「お母さんはそうでもないですけれど」
星華は今度は自分の母親を思い出しながら話した。
「空回りしませんよね」
「同じ女だからかしら」
「そうですかね。だから」
「そうだと思うわ」
こう星華に話す。
「女同士だから」
「それ考えるとお母さんだけでいいってなりますけれど」
「そこが難しいわよね」
「ですよね。父親としてはなんですね」
「黙っていられない」
二人は今は階段を昇っている。先輩はそうしながら笑顔で話すのだった。
「そういうことなんでしょうね」
「親は一人じゃないから」
「二人いてだからね」
「だから両親なんですね」
「そうよね。だから」
二人でだ。こう話していく。
「有り難いわよね」
「鬱陶しいって思う時もありますけれど」
「あはは、それはね」
先輩は星華の今の言葉にだ。思わず笑ってしまったのだった。
「どうしてもそういう時はあるわよね」6
「そうですよね。仕方ないですかね、それは」
「そうね。仕方ない一面はあるけれど」
「はい」
「それでも有り難いわよね」
それは間違いないというのであった。
「本当にね」
「いつもいてくれて見守ってくれて」
「私もそんな親になれたらいいなって」
「思われてるんですね」
「そうなるにはね」
どうするべきか。先輩は話す。二人は遂にホームに出た。黒いアスファルトと黄色の警戒を示すラインの二色が印象的である。
「まずは相手をね」
「相手っていいますと」
「だから。一人じゃなれないじゃない」
先輩がここで言うのはこのことだった。
「親には」
「あっ、そうですね」
言われてだった。それで気付いた星華だった。そのことにだ。
「相手がいないと」
「まずは彼氏よ」
話はそこからだった。
「彼氏を見つけてね」
「そうして結婚して」
「子供ができてね」
「それからなんですね」
「ええ、それからよ」
話は長かった。本当にそこからであった。
「彼氏ができたら」
「彼氏ですか」
「貴女もね」
星華に顔を向けてだ。そのうえで告げるのだった。
ページ上へ戻る