般若の面
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第二章
「人は死ぬし俺達もな」
「警察は何やっていた、ですからね」
「そう言われて叩かれまくる」
世間、特にネットにだ。警部は巡査と共にすっかり暗くなり人気のなくなった夜の街を歩いてその怪人物を探しつつ述べた。
「そうなりたくないだろ」
「はい、実際に」
「だったらな」
「最初からですね」
「そんな怪しい奴はな」
「最低でも身元を確認して」
「見張っていないと駄目だ」
それ位はしなくてはというのだ。
「何かある前にな」
「そういうことですね」
「あまりやり過ぎると警察国家だ監視国家だとも言われるがな」
「マスコミに言われますね」
「公安がどうとかも言ってな」
「俺達公安じゃないですよ」
「警察を妙に嫌い連中もいるんだ」
世の中にはだ。
「そうした連中は実際に公安に目を付けられる様な連中だったりするがな」
「正体は過激派とかですね」
「後ろに世襲制の共産主義国家がいたりするんだよ」
「実際にそうした連中もいるってことですね」
「そうだ、しかしな」
「あまりやり過ぎるってのはですね」
「本当だからな、要は匙加減だ」
怪しい奴を見張ることもというのだ。
「大抵の人は何もないだろ」
「不審者でも過激派でもないですね」
「そんな連中はそうそういないさ」
現実はそうだというのだ。
「だからな」
「そこは安心してですね」
「ああ、僅かな変な奴だけをな」
「わかりました、今回みたいにですね」
「やっていくぞ」
「わかりました」
巡査は警部の言葉に頷いた、そうしてだった。
二人で夜の街を歩いていった、すると目の前の十字路を横切る一人の着物の者が目に入った。しかも。
その者は横から見てもわかる鬼の面を被っていた、巡査はそのぱっと見ただけでも怪しいその人物を見て警部に言った。
「あれですよね」
「間違いないな」
警部もこう答えた。
「あいつだな」
「そうですよね」
「目撃例そのままの姿だ」
「モンタージュの」
「それを見るとな」
「あいつで間違いないですね」
「ああ、それじゃあな」
警部も自分達の前を歩いていくその者を見て言った。
「今からな」
「あいつにですね」
「まず職務質問だ、しかしな」
「何かする時に備えて」
「俺が職務質問をする」
警察手帳を出してだ、警部は巡査に顔を向けて述べた。
「だからな」
「俺はですね」
「あいつが何かしそうならな」
その時はというのだ。
「銃は使わなくてもね」
「警棒をですか」
「使え、いいな」
「俺実は剣道四段なんですよ」
巡査は警部に笑って言ってきた。
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