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雀鬼との勝負

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第一章

                雀鬼との勝負
 コレット=フランベールは学生だが学生をしつつ凄腕のギャンブラーとしても知られている、特にルーレットが好きだが。
 その彼にだ、彼を雇っているカジノのオーナーが笑って言ってきた。
「麻雀もですか」
「そうだよ、これからはね」
「うちの店でやるんですか」
「君麻雀はするかな」
「いえ」
 首を傾げさせてだ、コレットはオーナーに答えた。
「東洋のギャンブルとは聞いていますが」
「テーブル、向こうでは卓というがね」
「それを使うゲームですか」
「そうだよ、牌というものを使ってね」
「牌ですか」
 そう言われてもコレットの知らないものばかりだった。
「どんなのでしょうか」
「まあ具体的にはね」
「それはですか」
「かなり複雑なゲームで」
「説明しにくいですか」
「かく言う私もね」
 オーナーにしてもだ。
「ルールを理解しているか」
「オーナーもですか」
「言えないよ」
「そこまで難しいですか」
「そうなんだよ、しかもね」
「強い人もいますか」
 直観でだ、コレットはこのことを察して述べた。
「そうですか」
「鬼とまで言われるそうだよ」
「鬼ですか」
「麻雀もね」
「それでその鬼も」
「若しうちで麻雀をはじめれば」
 その時はというのだ。
「その鬼も来るだろうね」
「そうですか」
「おそらくだがね」
「じゃあ僕は」
「今はルールを知らなくても」
「ルールを知れば」
「やってもらうかも知れない、当店のやり方はわかっているね」
 オーナーは穏やかだが強い声でコレットに声をかけた。
「負け過ぎのお客さんは作らない、そして」
「勝ち過ぎのお客さんもですね」
「だからだよ」
「その麻雀においても」
「勝ち過ぎのお客さんが出たら」
 その時はというのだ。
「負けてもらわないといけないからね」
「その時に備えて」
「よかったら麻雀も勉強してくれるかな」
「わかりました」
 コレットはオーナーの言葉に頷いた、そしてだった。
 麻雀の本を何冊か買って勉強をした、確かに難しいゲームだったが生粋のギャンブラーである彼は麻雀のことを完全に頭に入れた。
 後は実戦による実力を備えることだったが。
 四人で店員達の間で練習として打ちながらだ、彼はこんなことを言った。
「トランプやルーレットとは」
「また違うな」
「どうにも」
「別のゲームみたいだな」
「はい」
 一緒に卓を打った先輩達に言うのだった。
「ギャンブルとはいっても」
「全然違うな」
「四人で打つところといい」
「牌のあがり方といいな」
「何ていいますか」
 どうにもと言うのだった。
「コツを掴むことも」
「大変だな」
「二人じゃないしな」
「相手も三人いると」
「どうにも」
 微妙な顔で言うコレットだった。 
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